システム管理者のためのBookCafe
Vol43 人工知能は人間を超えるか
何かと話題の人工知能(AI)ですが、ニュースではあれもこれも次々とできること、将来できるであろうことが紹介されています。
正直多方面すぎて、今一つ人工知能という技術がどんな技術であるのか輪郭が見えてきません。
そんな疑問を抱き、ここは一つ研究の歴史から学べば、全体が俯瞰できるのではないかと思いこの本を手に取りました。
同じ疑問を抱えた方にお勧めです。
内容紹介

人工知能は人間を超えるか
松尾 豊 著
グーグルやフェイスブックが開発にしのぎを削る人工知能。日本トップクラスの研究者の一人である著者が、最新技術「ディープラーニング」とこれまでの知的格闘を解きほぐし、知能とは何か、人間とは何かを問い直す。
Tsutomu’s Review
著者は長年人工知能研究に携わる研究者で、技術解説書なので専門的なことも多少出てきます。しかし難しいことは読み飛ばしても、本書の構成では人工知能研究の歴史全体に触れているため、流れに沿って読み進めるだけでも(拾い読みするだけでも)基礎から段階的に理解が進み、人工知能についての理解が深まるようになっています。
ライターではなく研究者による解説なので、内容に妙にリアリティーがあり、挿入される逸話も体験談ですから理解しやすいです。
そして今話題の「ディープラーニング」。今までと何が違うのか「ディープラーニング」によってもたらされる次世代の技術に関する考察へと続きます。
この辺はさすが専門家、圧巻の内容です。
研究の歴史の中には何度もの挫折(著者は冬の時代と言っています)が繰り返され、そのたびに新たな発見(ブレークスルー)があり、一歩一歩技術が進む様子がわかりとても面白く、世代的に第2次AIブームで世間が騒ぐのをリアルタイムに見てきたので、その裏で研究者がどのように苦悩してきたかがわかり感心してしまいました。
また、本書の中では人工知能が社会や経済に与える影響についても幅広く考察されており、参考になります。
専門家の意見なので過度に煽った所もなく、とても納得できる説明です。
人工知能に対する説明はとても抽象的な概念が出てきて理解しづらいことが多いのですが、文字通り(歴史ですから)初めから順に解説され徐々に複雑な話題へと進むので理解できたような気がします(理解できたのははじめだけで、高度な部分は理解した気がするだけかもしれませんが)。
確実に社会を変えるであろう技術について、本書は幅広い情報で理解しやすく工夫され、人工知能の歴史と現在、そして未来への展望について理解できる本だと思います。
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