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システム管理者のためのBookCafe Vol 71 AI vs. 教科書が読めない子どもたち
2019年2月6日 11:00

ここ数年のIT業界において「AI」というキーワードは欠かせないものとなり、次第にわれわれの生活の身近なところに活用されつつあります。

例えば、スマートスピーカーの普及。対話型の新しい家電として浸透しつつありますが、いざ「Alexa!○○教えて!」と話しかけても、内容が理解できないからか、急にプツンと応答が切れて無視されてしまうことも多い。「AIって言ってもまだまだだよなー」と上から目線で言いたくなる場面ですが、長らくAIの開発に携わった人の視点からすると、AIを活用する人間側の現在、そして将来的な問題も垣間見えるようです。

今回のBook Cafeは、AIの学習過程から見えてきた人間の認知にまつわるお話です。

内容紹介

Bookcafe

AI vs. 教科書が読めない子どもたち

新井 紀子 著

東ロボくんは東大には入れなかった。AIの限界――。
しかし、“彼”はMARCHクラスには楽勝で合格していた!
これが意味することとはなにか?AIは何を得意とし、何を苦手とするのか?

AI楽観論者は、人間とAIが補完し合い共存するシナリオを描く。しかし、東ロボくんの実験と同時に行なわれた全国2万5000人を対象にした読解力調査では恐るべき実態が判明する。AIの限界が示される一方で、これからの危機はむしろ人間側の教育にあることが示され、その行く着く先は最悪の恐慌だという。
では、最悪のシナリオを避けるのはどうしたらいいのか?最終章では教育に関する専門家でもある新井先生の提言が語られる。

東洋経済新報社 紹介文抜粋)

Kuma’s Review

上記の書著紹介にある「東ロボくん」とは、東大合格を目指すAIロボットの愛称。そしてこの本の著者はその人工知能プロジェクト「ロボットは東大に入れるか」のプロジェクトディレクター。このプロジェクトそのものに対する著書もいくつかあるそうですが、本書は研究の過程で実施した中高生の教科書の文章理解度の結果などを取り上げ、人間側のAI的な能力とその行く末を考察したものです。

「AIはいつ人間の知能を超えるか」といういわゆる「シンギュラリティ」の到来について明確に否定する著者は、人間の持つ読解力とAIが習得する認知とは切り離して考えられています。しかし、その人間の読解力について、中高生に回答させた設問の例文と結果を見ると「へ!?」と言いたくなる傾向が現実にある。このリサーチから導き出された結果がこの書を起こす大きなモチベーションとなったのでは?と思わせます。

東ロボくんに試させた入試レベルという点でMARCHクラスと東大クラスの読解力が明らかに違うこと、そして現実に東大クラスの能力を持つ子は教科書を理解できるので自律的に学習できるという見解は、単純な学力偏差値としての差よりも興味深いです。

日本の入試は白黒明確な問題解決が求められる故に詰め込み型の学習が有効であり、膨大な記憶と多彩な処理パターンの能力を伸ばそうとする風潮となるのは理解できます。ただ「記憶」をメモリやHDD、「処理パターン」がCPUや組み込みプログラムに例えられるとすると、まさにこの能力はAIとの勝負となります。AIとの勝負に勝てないホワイトカラーが失業してするというストーリー通りならば、シンギュラリティが訪れなくても「AI恐慌」は訪れるというサイエンス・フィクションは結構現実味もあります。

2020年度からの大学入試改革においては「思考力・判断力・表現力」を重視されているといいます。AIを意識したということはないとしても、人間の能力を記号の処理能力以外で評価するならば、AIとのすみ分けも見極めがつく時が来るのかもしれません。もっとも、AIが現代から想像できない進歩を遂げる可能性もありますが。

そういえば、街中でやたらと連呼されるようになった「ヤバイ」という言葉。本来別の豊富な語彙の中から表現されるべき場面の言葉が「ヤバイ」だけに置き換えられている時流も、表現力の低下を促しているなぁと感じます。

そんな風に若者の将来を案じたくなる中高年である私も深慮せずに生きていると、5歳の小娘に「ボーっと生きてんじゃねぇよ!」と返される世の中ですが。

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