システム管理者のためのBookCafe

Vol.56 カイシャの3バカ

概要

書籍のインク独特の香りを感じながら、出会ったことのない世界、新たな発見、体験してみませんか?

目次
内容紹介
Shinya’s Review

今回のBookCafeは、雑誌を購入しようと本屋に行った時、TVで紹介された本が平積みされており、「人気のある本だなぁ」と思い購入した本を紹介させていただきます。

 

出版社の紹介文では、なかなか過激な言葉で表現していますが、心理学博士である著者は、3バカの深層心理を解析し、「なるほど!こんな人いる」や「私の上司と同じだ」と言ったような、単なる紹介だけではなく、心理面から分析した対処法を紹介しているのも本書の特徴です。

 

内容紹介

カイシャの3バカ
会議好き、規則好き、数字好き

 

榎本 博明 著

 

会社には必ず「バカ」がいる。職場を混乱させるだけの「会議・規則・数字」好きがその典型。
迷惑なあの上司・同僚たちとどう接すべきか?
心理学博士が彼らの心理構造を解剖し、対処法を伝授。

 

──もしかしてあなた自身が「3バカ」かも!?

 

朝日新聞社出版 紹介文抜粋)

 

Shinya’s Review

タイトルに「会議好き、規則好き、数字好き」とある通り、本書では特にその3つを主題として取り上げていますがその他「イエスマンバカ、前例踏襲バカ、手柄横取りバカ、使い分けバカ、オレは聞いていないバカ」などなど、いろいろなパターンの人間をバカという言葉で表現しています。

 

下記は引用となりますが、主題の3バカの心理メカニズムを筆者は以下のように述べています。

 

「会議好き」の例
・どんなにムダな会議でも本人の「承認要求」が満たされる。
・「責任の分散心理」が彼らの心の中に潜んでいる。
・「みんなで決めた」から当事者意識が希薄になり、気楽でいられる。

 

「規則好き」の例
・自分で考える習慣も能力もないが、規則を検索する能力はある。
・自己判断を避けるのは、「成功追及動機」よりも「失敗回避動機」が強いから
・自己防衛本能で妬みの感情を無意識の世界に封じ込める。
・自己チェックモニターカメラが壊れていて「セルフ・モニタリング」ができない。これは3バカ共通の欠陥。

 

「数字好き」の例
・「認知的複雑性」が低く多面的な観察ができないから、数字を単純に信奉してしまう。
・論理的思考力と発想力が、ふつうの人よりも欠けている。
・「目標設定理論」のさじ加減ができない。

 

筆者が言いたいことは「バカ」は『自身の存在を誇示』するために、このような行動をとるのであって、だからこそ、本人も無自覚で精神的にタフであるということであり、まさに手に負えないなと思いましたが、結局のところ、利己的な人間がバカなのかなというのが率直な感想です。
「規則好き」は規則不備のために規則をつくっていって悪循環にしたり、「数字好き」は都合のいいデータを出すようにと指示し、いざ困ったら「どうするんだ?」と丸投げしてくるというようなこともあるのかなと想像しました。
これらに対して、筆者は以下の対応をあげています。

 

「会議好き」の例
1.会議中に本来の仕事を内職する
2.やむを得ないさぼり方を工夫する

 

「規則好き」
1.前例を探す
2.自己愛をくすぐる
3.ツルの一声を期待する

 

「数字好き」の例
1.数字好きにつけ込んで、数字好きの弊害を防ぐ
2.「見える化」へのこだわりに合わせて、大げさに見せる工夫をする
3.都合の良いデータを生み出す

 

対処方法の詳細について興味がありましたら、本書を読んでいただければと思います。基本的に非常識な自己肯定的評価、過大視されたコントロール感、超がつくほどの楽観主義であるからこそ周囲の人たちを困らせているのに、いつもアッケラカンとしていられるのが「バカ」であると著者は述べています。結局、これらの筆者のいう「バカ」というのは「自分大好きバカ」と集約できるのかもしれません。

 

ただ、他人の否定だけではあまり自分のためにもなりませんので、自己反省も含め読んでみてはいかがでしょうか。

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筆者紹介

“システム管理者のためのBookCafe” レビュアーのご紹介
●システム管理者の会 推進メンバー
システム管理者の会の企画・運営をする推進メンバ―が、会員の皆様にお奨めする本をご紹介してまいります。

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