蛇口を捻れば水が当たり前のように出てくる時代がやってくると、消費者は自ら品質の高い水を購入するようになりました。ITも企業活動のインフラとして当たり前のように活用される時代を経た今、顧客やユーザは次第により付加価値の高いITサービスを選択するようになってきているのではないでしょうか。インフラ化からサービス化へパラダイムシフトが求められる中で、ITサービス提供者は今までのシステムを維持管理する役割を超える役割を期待されています。
安定したITサービスをより適切なコストで、ビジネスの成長スピードに合うように迅速な提供を求められる中では、自社のリソースの範囲だけでビジネスを考えていては競争に勝つことが難しい時代を迎えています。そのような背景の中で他社の専門性やリソースを活用する「アウトソーシング」について必要性が高まってきているのではないでしょうか。本日ご紹介する『戦略的BPO活用入門』はアウトソーシングを考える上で必読の“虎の巻“と言われる一冊となります。戦略における意思決定をする方はもちろん、今後そういった役割を担っていきたい方にオススメいたします。
内容紹介
「戦略的BPO活用入門」
著/ブラウン,ダグラス、ウィルソン,スコット 訳/尚 捷、此本 臣吾
コア業務への集中をはじめ、生産性向上へ向けてアウトソーシングをいかに活用するか。準備段階の検討事項から、コスト削減・効果・リスクの評価方法、ベンダーの選択と管理などを詳細に解説。
SUZU’s Review
アウトソーシングに関する基本的な用語から、アウトソーシング対象の選定、意思決定のポイント、計画、運営、効果測定などアウトソーシングを行う上での検討事項を分かりやすく説明しています。本書の中では前提知識から、プロジェクトの計画方法と読み進めることで知っておくべきことを把握できるようにつくられているので、本当に虎の巻としての評価に間違いはないように思います。
今回はその中でもアウトソーシングを導入するための、立ち上げステップについて触れてみたいと思います。以下の流れは、自社でアウトソースを活用して成長を図るという方針がたってからの検討すべき特に重要な事項をまとめたものになります。
1.自社のコア業務の見極め
最初のステップとなるのは、自社の顧客にとっての存在価値を見極めることです。自社の顧客は誰か?顧客が真に求めていることは何か?自社にとって、何がコア業務で、何がサポート業務か?
2.アウトソーシングに向けたノン・コア業務の評価分析
次にどのノン・コア業務がアウトソーシング候補となるかを検討します。その業務に今後も追加投資を行っていくか?業務改善を行っていく方針か?その業務に関連した規制のアウトソーシングサービスが存在するか?
3.ベンダー企業候補の調査
自社業務の評価分析の結果、何かの業務プロセスをアウトソーシングする方針になれば、次はアウトソーシングベンダー候補の調査と評価です。考慮するのは、スキル、実績、地理的条件、価格、要因などが挙げられます。
4.リレーションシップ確立の目標設定
ベンダーが選定された後は、アウトソーシングを通じての自社とベンダー、顧客企業とのリレーションシップが確立されるための、共有された目標や施策の立案を行います。
5.ベンダー企業候補の調査
プロジェクトの目標、業務の評価測定指標、モニタリング方法、コミュニケーション手段、費用などを交渉しながら契約書の作成を行います。
6. 業務移管の管理
最後のステップは、自社/ベンダー間の業務移管に関する管理です。人材の移動や資産のベンダーへの譲渡、モニタリング手順の確立、非常に多岐にわたる範囲で重要で難しいステップ。
その他には、アウトソースをするかどうかの意思決定シートやプロジェクトを立ち上げた時の計画書に記載すべき事項が挙がっているなど、盛りだくさんの内容です。決して新しい書籍ではありませんが、知っておくべきベーシックな知識として、手にとってみてはいかがでしょうか。
連載一覧
筆者紹介

●システム管理者の会 推進メンバー
システム管理者の会の企画・運営をする推進メンバ―が、会員の皆様にお奨めする本をご紹介してまいります。
この本を読んだことがある方、読まれた方のご感想もお待ちしております!(⇒ぜひ、コメント欄にコメントをお寄せください☆)
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