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Vol.142 論理的に説明する技術 説得力をアップする効果的なトレーニング法とは

概要

書籍のインク独特の香りを感じながら、出会ったことのない世界、新たな発見、体験してみませんか?

目次
内容紹介
Taka’s Review

日頃の業務において、社内社外を問わず自身のお客様に対して、技術的な説明を行うことが多々あります。またお客様とのコミュニケーションをとる上で、また説明や主張する上で論理的に伝える必要があります。その際の「論理的」とはいったいどのようなものか、改めて理解・整理しておく必要があると思い、こちらの書籍を手に取りました。

内容紹介

 
論理的に説明する技術 説得力をアップする効果的なトレーニング法とは
福澤 一吉(著)
 

論理的に説明したいと思っても、なにをどうすれば論理的になるのか、わかっている人は少ないものです。本書は、現代にあふれる説明困難症候群の人たち、論理的に説明できない悩みをもつ人たちに、具体的にわかりやすく、改善のポイントと強化のためのトレーニング法を解説します。その大原則は、考えるときはおおらかに、第三者に伝えるときは慎重に、です。身近な事例で誰でも説得力アップの秘訣をマスターできます。本書を読んで、日々実践し、説得力を身につけましょう。

サイエンス・アイ新書 紹介ページ)

 

Taka’s Review

左ページでは文章の解説を、右ページではその解説に対応するカラーのイラストや図による説明を掲載しているため、読者はイメージしやすく、少しずつ読み進められるようなページ構成になっています。
本書では、まず論理的に説明できない理由を提示し、その問題点を解決する方法を提案しています。その上で、段階を踏みながら論理的に説明できるようになることを目指します。
「論理的」に説明するためにはどのような知識や手法を身につけるべきか、具体的な方法を多数学ぶことができます。本書では、論証を構成する「主張」と「根拠」の定義や意味を理解することで、どのように話を展開すれば良いかを学べます。また、根拠から主張へと展開する際の接続詞の重要性を再確認することができます。加えて、隠れた暗黙の根拠=「論拠」を明確化することで、より主張の展開や流れを意識することが可能になります。この論拠については練習問題が用意されており、普段はあまり意識しない論拠を意識するトレーニングができます。
また、論証の2つの主要なスタイル、「帰納的論証」と「演繹的論証」についても再学習することができます。こちらも練習問題があり、学生時代に学んだ「帰納」と「演繹」の違いを改めて思い出す良い機会となりました。
さらに、質疑応答に関する重要なポイントも取り上げられています。例えば、質問を簡潔にすること、主張を混ぜないこと、まず自分の立場を明確にすることなど、これらは会議などの場で活用できる有効なテクニックです。
このように、理論を学びながら同時に実務で役立てることができる具体的な手法を習得することができます。
特に印象的だったのは、「やっぱり」などの言葉によって暗黙のうちに展開される内容が、論理的な説明にとって最大の障害である点についてです。話の中での理由(根拠や論拠)に疑問を投げかけることが、議論を進める上で非常に重要であることを認識しました。
最後の章では、対話で衝突した際の対処法も詳しく述べられています。上記の方法を習得していても、対話がうまくいかない場面に直面することがあります。そのような場合には、論証における「主張」「根拠」「論拠」のいずれかに問題がないか再検討したり、共通して使用している言葉の意味に齟齬がないか確認したりする方法を学ぶことができました。
これまで論理的なコミュニケーションにあまり意識を向けてこなかった方でも、本書を通じて「論理的とは何か」をしっかりと理解し、身につけることができる一冊です。

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筆者紹介

“システム管理者のためのBookCafe” レビュアーのご紹介
●システム管理者の会 推進メンバー
システム管理者の会の企画・運営をする推進メンバ―が、会員の皆様にお奨めする本をご紹介してまいります。

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