システム管理者のためのBookCafe

Vol.144 どう生きる?――人生戦略としての「場所取り」の教科書

概要

書籍のインク独特の香りを感じながら、出会ったことのない世界、新たな発見、体験してみませんか?

目次
内容紹介
Miya’s Review

2025年7月に開催された第19回システム管理者感謝の日イベントで、藤原和博氏の講演を拝聴する機会がありました。『講演』というよりも『ライブ』のような形で進行したので、『拝聴しました』というより『参加しました』と言う方が相応しいかもしれないです。
これからの時代に求められる力として「情報の編集力」の重要性が強調されていました。単に情報を処理するだけでなく、それらを組み合わせて新たな価値を生み出す力、まさにAI時代の人材に求められる本質が語られていました。
講演の内容をもう少し深堀したいと思い、本書を手に取ってみました。

内容紹介

どう生きる?――人生戦略としての「場所取り」の教科書
藤原和博(著)
 

組織を離れてもメシが食えるために
大手企業の倒産や事業の吸収合併が示すように、
会社寿命は社員の仕事寿命(在職期間)より短くなりました。
会社に身を任せて生きていくのは危険です。「でも、才能も実績もない……」。
ご心配なく。成功するのに、才能は要りません。
必要なのは、自分に合った「場所取り」です。
勝てそうな場所を探して、陣地を作るのです。
そのためにスキルを磨き、「キャリアの大三角形」を築きましょう。
本書は、その方法を実例と共にわかりやすく説明。
運の掴み方、60歳以降のお金についても言及します。
さあ、人生戦略としての「場所取り」を始めましょう。
組織を離れてもメシが食えるために。

(以下、目次)
はじめに――才能よりも、どの場所を取るか
第1章 自分の人生を生きられない国・日本
第2章 勝てそうな場所を探して、陣地を作る
第3章 私は、こうやって「場所取り」をしてきた
第4章 人間の器を大きくするには?
第5章 運を味方につけるには?
第6章 50歳からの「定年のない生き方」
第7章 60歳からの〝本当の〟お金の話
おわりに――「死」を想うことで、人生は拓ける

祥伝社 紹介ページ)

 

Miya’s Review

出版社は本書を『組織を離れてもメシが食えるために「場所取り」を始めましょう。』と紹介しています。私は『「場所取り」とは?』『なぜ「場所取り」が必要なの?』と疑問を抱きながら読み始めました。

「日本人は、自分で人生を自由に選択して生きていると考えていますが、それは大半のケースにおいて、大いなる勘違いです」と衝撃的な内容から始まります。日本の社会システムを「日本というクルマ」に例えて、「多くの日本人が知らず知らずのうちに自動運転のクルマに乗せられている」のだと。
これを読んで、映画「マトリックス」シリーズの世界を思い描きました。
人類が現実だと思っている世界は実はコンピュータにより作り出された「マトリックス」と呼ばれる仮想世界で、現実世界では人間たちはコンピュータに支配され、眠らされているという世界。

さらに著者は、社会が成熟しAIが普及すると、働き手は、誰でもできるマニュアルワークを行う「コモディティ会社員」と、代わりがいないかけがえのない仕事をする「レアカード仕事人」に二分されると説きます。前者はAIに仕事を奪われ、後者は代替不可能な存在として生き残るのです。

では、希少性を持つにはどうすればよいか。
著者は「才能は不要」と断言します。1万時間(5-10年の練習量)を費やせばその分野でプロになれる。それを3回繰り返せば誰だって希少性の高い人材になれると。
さらに、著者による「場所取り」の具体例や自分の「器」を広げる方法、運を味方に付ける考え方などが紹介されており、まさに『教科書』です。

リクルート社でプレゼン力を身に着け、東京都初の義務教育の民間校長となった著者の文章はまるで2時間の講演を聴いているかのよう。あっという間に読み終わりました。
30〜40代で一度手に取りたい内容ですが、定年が65歳に延び、さらに70歳へ延長されようとしている今、50代や60代からでも遅くはありません。著者は「1万時間(5-10年の練習量)を3回繰り返せば誰でも希少性を持てる」と語ります。そのうちの一つがAIに奪われたとしても、時代に合わせて『次の場所取り』をすればいいのです。
人生は一方通行。思い立ったその日が最良の始まりです。あなたの『場所取り』、今から始めてみませんか。

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筆者紹介

“システム管理者のためのBookCafe” レビュアーのご紹介
●システム管理者の会 推進メンバー
システム管理者の会の企画・運営をする推進メンバ―が、会員の皆様にお奨めする本をご紹介してまいります。

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