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組織横断で取り組むIT資産運用プロセス構築 ~クラウド・仮想化環境の全体最適化、ガバナンスの獲得~ 第25回:ITガバナンス向上には戦略と全体設計が重要です
~ServiceNow などで統合的な資産、ベンダーコントロール には整合性を考慮した全体設計が不可欠です~
2020年11月18日 8:00

あっという間に2020年も終わろうとしています。まったく、毎年のように同じことを言って、あっという間に過ぎていく年を積み重ねて、あっという間に子供たちが成長し、社会人になり、嫁いだり、孫ができたり、まったくあっという間の人生です。(笑) 私がITSMやITIL(サービス管理→構成管理→IT資産管理→ベンダー管理:詳しくは第24回コラムをご参照ください)に関係するようになって、あっという間の20年でしたが、なかなか現場はあっという間に自動化や連携ができて管理成熟度が高まる、というわけにはいかず、どちらかと言えば旧態依然、遅々として進まない、運用現場の労働集約的な苦労が絶えない状況が続いている、と言わざるを得ません。 しかし、ここにきて、ようやく、経営層もITガバナンスについて統合的な自動化を検討しなければという、重い腰をあげようかという様相を呈してきました。 今回は、ServiceNow に代表される統合管理ツールが基礎とするサービスマネジメントの考え方やプロセスに基づいた構成、資産、ベンダー管理に関係する考慮すべきポイントを解説します。

ガバナンス・コントロールは、ライフサイクル、組織横断、全体最適化で考える 今日の複雑なIT環境を構成しているのはすべてITの資産です。 つまり、IT資産というのは物理的なハードウェア、ソフトウェア、ソフトウェアを定義するライセンス契約条件、クラウドなど契約で定義されるリソースやデータ、人的資源などすべてです。 サービス管理における定義では構成管理の対象となるCI(構成アイテム)は、これらのIT資産を含み、さらに関係する要素をCIとして定義して、これらの関係性を管理し、コントロールすることで、提供されるサービス製品の品質をコントロールします。 サービス管理においては、社内のユーザーまたは社外(市場)ユーザーが消費するサービスを「製品」と見立てた場合のサプライチェーンマネジメントを含めたビジネスモデルをベストプラクティスとして解説しているのがITIL(IT Infrastructure Library)と言えるのです。 これらのIT資産には、標準化、予算、調達、リクエスト管理、課金(チャージバック)、コンプライアンスなどの要素が関係してきます。さらに、最終製品が市場をターゲットとしている場合であれば、製品コストとして管理しなければなりません。 IT資産のライフサイクルという観点から、そのIT資産に関与する人、つまり組織横断的に関係しコントロールに関与するステークホルダーの役割と責任を定義し、何を目的として、誰が、どのタイミングで、どのような情報をコントロールすることで、最終的な目標を実現し、コントロールを可能とするのかを全体最適化の観点から設計する、全体設計が求められるのです。 例えばServiceNow のITSM でサービスデスク機能である「インシデント/問題/変更管理/CMDB」を使用してIT資産を管理し、ベンダーコントロールを利かせて、コスト削減や課金、ライセンスコンプライアンスを維持しようと考えます。すると、リクエスト管理でサービスカタログや、予算、課金などビジネス(ファイナンシャル)系のモジュールをCMDBやSAM Pro、HAM Pro、Discovery、MECM(Microsoft Endpoint Configuration Manager: 旧SCCM) などの整合性を考慮し連携させることが必要になります。 これは運用部門だけで実現できる内容ではなくなります。開発部門や調達部門、IT企画、リスクマネジメント、人事部門などシステム担当者だけではなく、ユーザー情報まで、非常に広範囲におよぶ整合性を考慮し全体設計を可能とするための「グラウンドビジョン」を組織横断的なステークホルダーと共有し、さらに運用部門が還流の中心のコントローラとして新たなケイパビリティを獲得しながら、ニューノーマル時代のエコシステム環境のコントローラの役割を担わなければなりません。 運用部門が旧態依然とした「川下」に位置付けられていては、新しい時代のガバナンスを獲得することは不可能なのです。 IT環境はサーバ統合、仮想化、ハイブリッドクラウド化などにより複雑化を極めています。 IT環境を可視化するにはもはや物理資産のたな卸しでは不可能です。物理資産と「資産を定義する契約条件」を可視化し、実際に物理的に導入、あるいは論理的に利用されているすべての資産の組み合わせの構成を管理する能力(ケイパビリティ)が要求されます。 そのためには、ServiceNow などのような統合管理を幅広い対象でカバレージを持ち、ITIL などグローバル標準のプロセスによる全体設計やグラウンドビジョンの共有に寄与する自動化ツールなども必要となります。 共通言語としてのITILは、運用管理のベストプラクティスにとどまるものではありませんし、カスタマイズした方言にしてしまっては本来のベネフィットを損なう恐れがあります。 今一度、全体設計のための共通言語、フレームワークとしてのITILを見直し、活かしていくことをお勧めします。 ITIL を理解していると ServiceNow などITIL をベースに設計された製品構成の全容が非常に理解しやすくなります。 さらに、提供されている機能がどのように作用するのか、データがどのように再利用されるのか、管理メトリクスがどのように監視されレポートされるべきなのか、などが見えてきます。 同様に、不足する機能や、どのようにプロセスが自動化されるべきなのかが見えてくるので、要求もしやすくなります。 ぜひ、改めてITILで学んだ知識をリフレッシュし、新しい観点で見直して、今後のガバナンス・コントロールに活かしてください。

 

 

一般社団法人日本ベンダーマネジメント協会では、Oracleベンダーマネージャを含むメガベンダーのベンダーマネージャ育成などを支援しています。4月から「Oracleベンダーマネージャ研究会」も活動を開始しています。この機会に日本ベンダーマネジメント協会の活動をチェックしてみてください。

 

ベンダーマネージャの社内育成とアウトソーシング
グローバル市場では、特定のベンダーに特化したベンダーマネージャのアウトソーシングサービスやコンサルテーションなどが多数存在しています。特にOracle社の契約は複雑で、専門的知識が要求されますので、この分野の専門コンサルティング会社の増加が顕著です。しかし、サービスの品質はまちまちですので注意も必要です。

これらの課題を経営層に対して理解を促し、現場の取り組みを支援する組織としてベンダーマネジメントの啓蒙から教育、ベンダーマネージャ同士の横の繋がりをもって、より良いベンダーとの関係性を構築するためのパートナー戦略や、契約交渉力を身に着けるために「一般社団法人 日本ベンダーマネジメント協会」(https://www.vmaj.or.jp)が発足されました。
日本ベンダーマネジメント協会では「Oracleライセンスたな卸しサービス」などもグローバル市場のOracle専門コンサルティング会社との連携サービスなどをご紹介しています。自社のOracleライセンス契約の状態に不安がある方は、日本ベンダーマネジメント協会に問い合わせることをお勧めします。

日本ベンダーマネジメント協会では、ベンダーマネージャ育成や、新時代に求められるVMOの定義を可能とする「ソフトウェアライセンス契約管理講習:SLAM(Software License Agreement Management)」(https://www.vmaj.or.jp/archives/member)(Oracleライセンス契約管理オプションあり)を、 VMOやSLO管理ツールの運用アウトソーシングのためのRFP策定の定義の教育などを講習としても提供していますので、ご利用ください。

運用研究レポート
組織横断で取り組むIT資産運用プロセス構築 ~クラウド・仮想化環境の全体最適化、ガバナンスの獲得~
デジタル トランスフォーメーションへの期待が高まるなか、大手企業の IT部門への期待はますます高まっています。その期待に応えるためには今まで以上に IT環境のガバナンス、コントロール、セキュリティ対策などの成熟度が求められます。 ますます複雑化する ITインフラに対して、どうすれば成熟度を高めることができるのか? 欧米の大手組織では、その鍵は「全ての IT資産のコントロールである」として取り組みが進んでいます。 本シリーズでは、「IT資産運用プロセス」という組織全体で取り組むべき業務プロセスの設計やガバナンスの獲得により、「IT環境の全体最適化」を最終ゴールとして解説していきます。
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筆者紹介


武内 烈(たけうち たけし)
1964年生まれ。
一般社団法人
日本ベンダーマネジメント協会
代表理事
ITIL Expert、IAITAM認定講師


IT業界では主に外資系ソフトウェアメーカにおいて約25年間の経験を持つ。
技術的な専門分野は、ネットワークオペレーティングシステム、ハードウェアダイアグノスティック システム、ITマネジメントと幅広い。大手外資系IT企業ではプロダクトマーケティングスペシャリストとして、ITマネジメントの分野で、エンタープライズJavaサーバー(WebLogic、WebSphere)、SAP、Oracle、ESB(Enterprise Service Bus)などからWeb Serviceテクノロジーまでの管理製品を手掛ける。
IT 資産ライフサイクル管理プロセス実装のためのAMDB・CMDB 製品開発プロジェクト、データセンターのCMDB およびワークフローの実装プロジェクト、IT資産管理(クライアント環境) MSP のサービスプロセスの開発・実装プロジェクト(CMS/サービスデスクを含む)、ライセンス管理のためのSAMプロセスおよび自動化テクノロジー (CMS/サービスデスク)の設計・実装プロジェクトなど多数のプロジェクト経験を持つ。
IT資産管理のポリシー、プロセスを、どのように自動化テクノロジーに結び、ITサービス管理戦略やロードマップとの整合性を取りながらIT資産管理プログラムを実行性の高いものにしていくのかのコンサルティングを得意とし、大手組織におけるIT資産管理プロセスとサービス管理プロセスの統合プロセス設計、自動化設計、実装プロジェクト、IT資産管理プログラムの運用教育の実績多数。

 

【ホームページ】
一般社団法人
日本ベンダーマネジメント協会
www.vmaj.or.jp/

 

【情報】
Twitter@VMA_Japan
twitter.com/VMA_Japan

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