組織横断で取り組むIT資産運用プロセス構築 ~クラウド・仮想化環境の全体最適化、ガバナンスの獲得~

第21回:Oracleライセンス契約管理の処方箋!

概要

デジタル トランスフォーメーションへの期待が高まるなか、大手企業の IT部門への期待はますます高まっています。その期待に応えるためには今まで以上に IT環境のガバナンス、コントロール、セキュリティ対策などの成熟度が求められます。 ますます複雑化する ITインフラに対して、どうすれば成熟度を高めることができるのか? 欧米の大手組織では、その鍵は「全ての IT資産のコントロールである」として取り組みが進んでいます。 本シリーズでは、「IT資産運用プロセス」という組織全体で取り組むべき業務プロセスの設計やガバナンスの獲得により、「IT環境の全体最適化」を最終ゴールとして解説していきます。

目次
Oracle ライセンス契約の課題
4つの分野の処方箋

先週は連日、昼間にリモート会議、Webセミナー講師、夜はヨーロッパ時間でOracle契約管理関係の資格講習を受講し、金曜日には既に真っ白に燃え尽きていました。ネットワークやリモートの技術は場所や時間に関係なく可能性を広げてくれます。しかし、便利も度が過ぎると老体には厳しい。(涙) 移動時間がいらないからと予定を入れすぎました。反省点としては、予定が空いているからといって詰めすぎてはいけない、という当たり前のことでした。(笑)
実は、ITIL Expert の受講も10年以上前ですが米国のオンライン講習で受験したので、日本の半額のコストで取ることができました。昨今のメガベンダー系の契約管理における情報は欧米の方が圧倒的に多く、専門家やサービスも多いのが現状です。そういった専門家とのネットワークなどもLinkedIn などで常に最新の情報を入手し、専門家のサービス連携なども可能になり嬉しい限りですが、タイムゾーンに気を付けて仕事をしなくては休む時間が無くなるので注意したいと思います。
さて、今回のコラムでは、最近実施したWebセミナーのアンケートで受講者が回答したOracleライセンスの課題をいくつかあげ、それらに対する具体的な処方箋を解説したいと思います。


Oracle ライセンス契約の課題

  • ① ライセンス形態が複雑でわかりにくい。
  • ② 自社に必要なライセンスの算定が容易でない。
  • ③ 条項、規約のわかりにくさ、リセラーやシステムベンダーの理解不足、オラクル社の解釈の変更
  • ④ VM環境でのライセンス
  • ⑤ 契約内容の正確な把握
  • ⑥ コスト

上記は回答のすべてではありませんが、やはり多くの組織でいまだにどこから着手してよいのかわからずに困っているのだなと実感しました。そこで具体的にアプローチする方法として、以下に処方箋をまとめました。これらのサービスは日本ベンダーマネジメント協会(VMAJ)からご紹介できるサービスですので、詳しくは VMAJ にお問い合わせください。

4つの分野の処方箋

① 教育
Oracleライセンス契約が非常に複雑である理由の一つが、「ライセンス契約を読んだだけでは理解できない」ということです。そもそもすべての条件が1カ所にまとまっていないので、契約の条件自体が複数のドキュメントに点在し、さらにそれを補助する補助ドキュメントが構成されます。それにより条件の全容を把握することが、非常に困難になります。

処方箋: VMAJ Oracleベンダーマネージャ研究会ナレッジベース
日本ベンダーマネジメント協会(VMAJ)では、「Oracleベンダーマネージャ研究会」のナレッジベースに、ライセンスや契約に関係する様々な条項や規約などの条件を網羅的にまとめて共有しています。VMAJ の無償お試し期間として「30日間の体験入会が無償」になります。その体験入会期間中にナレッジベースにもアクセス可能ですので、まずはナレッジベースで必要十分な情報をまとめて学習し、お試しください。

処方箋: SLAM for Oracle 講習
Oracle ライセンス契約を学習し、監査対策、契約交渉するための1日講習です。
まったくの初心者で、エディション、ライセンスタイプの条件の定義や違いという基礎的な内容や、仮想環境におけるライセンス消費、オプションの注意点、ライセンス監査対策、ULA(包括契約)対策などを体系的に学習したいという方から、組織として共通の理解の構築や、Oracleライセンス管理の要件を理解したいという方々のチーム学習まで、幅広い層にお勧めです。

② ライセンス運用状態の把握
処方箋: Oracleライセンスたな卸し分析
スクリプト出力を分析し、製品、バージョン、エディション、オプション、物理環境、仮想環境などにおけるライセンス消費を分析します。分析データを基に、ライセンス運用状態を是正し、コンプライアンス順守の状態を構築し、現在の契約の課題、今後の契約改善のポイントを洗い出します。
現在の運用環境におけるコンプライアンス状態(ライセンス違反)の確認や、ライセンスの算定が難しい、という組織にお勧めです。

③ 内部ライセンス監査/外部ライセンス監査対策
処方箋: Oracle ライセンス監査アドバイザリ
Oracleライセンスたな卸し分析結果を基に、是正活動を支援、正しいコンプライアンスの状態を構築し、ライセンス違反による多額の監査補正請求を未然に防ぎます。「ライセンス監査のプロセスをどのように管理、対応すればよいのか心配だ」という組織にお勧めです。

④ 契約交渉/ULA(包括契約)終了/第三者保守移行
処方箋: Oracleライセンス契約交渉アドバイザリ
Oracleライセンスたな卸し分析結果を基に、正確な現状把握、是正活動、コンプライアンスの状態を構築し改善すべき契約のポイントをまとめ、契約交渉/ULA(包括契約)終了/第三者保守移行 に備えます。
「契約交渉したいが、どのように交渉すればよいのか不安がある」「ULA終了したいができるのか?」「第三者保守でコスト削減したいが不安がある」といった組織にお勧めです。

Oracleライセンス管理で不安を抱えている組織は非常に多く、その多くの原因が「情報不足」です。情報を的確にコントロールすることで不安を解消し、戦略的な対応を計画することが可能です。VMAJ では組織に必要となる情報をまとめてわかりやすく提供し、教育やサービスなどの支援を提供しています。アクセスして損はないと思いますので、一度お試しください。

一般社団法人日本ベンダーマネジメント協会では、Oracleベンダーマネージャを含むメガベンダーのベンダーマネージャ育成などを支援しています。4月から「Oracleベンダーマネージャ研究会」も活動を開始しています。この機会に日本ベンダーマネジメント協会の活動をチェックしてみてください。

ベンダーマネージャの社内育成とアウトソーシング
グローバル市場では、特定のベンダーに特化したベンダーマネージャのアウトソーシングサービスやコンサルテーションなどが多数存在しています。特にOracle社の契約は複雑で、専門的知識が要求されますので、この分野の専門コンサルティング会社の増加が顕著です。しかし、サービスの品質はまちまちですので注意も必要です。

これらの課題を経営層に対して理解を促し、現場の取り組みを支援する組織としてベンダーマネジメントの啓蒙から教育、ベンダーマネージャ同士の横の繋がりをもって、より良いベンダーとの関係性を構築するためのパートナー戦略や、契約交渉力を身に着けるために「一般社団法人 日本ベンダーマネジメント協会」(https://www.vmaj.or.jp)が発足されました。
日本ベンダーマネジメント協会では「Oracleライセンスたな卸しサービス」などもグローバル市場のOracle専門コンサルティング会社との連携サービスなどをご紹介しています。自社のOracleライセンス契約の状態に不安がある方は、日本ベンダーマネジメント協会に問い合わせることをお勧めします。

日本ベンダーマネジメント協会では、ベンダーマネージャ育成や、新時代に求められるVMOの定義を可能とする「ソフトウェアライセンス契約管理講習:SLAM(Software License Agreement Management)」(https://www.vmaj.or.jp/archives/member)(Oracleライセンス契約管理オプションあり)を、 VMOやSLO管理ツールの運用アウトソーシングのためのRFP策定の定義の教育などを講習としても提供していますので、ご利用ください。

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筆者紹介

武内 烈(たけうち たけし)
1964年生まれ。
一般社団法人
日本ベンダーマネジメント協会
代表理事
ITIL Expert、IAITAM認定講師

IT業界では主に外資系ソフトウェアメーカにおいて約25年間の経験を持つ。
技術的な専門分野は、ネットワークオペレーティングシステム、ハードウェアダイアグノスティック システム、ITマネジメントと幅広い。大手外資系IT企業ではプロダクトマーケティングスペシャリストとして、ITマネジメントの分野で、エンタープライズJavaサーバー(WebLogic、WebSphere)、SAP、Oracle、ESB(Enterprise Service Bus)などからWeb Serviceテクノロジーまでの管理製品を手掛ける。
IT 資産ライフサイクル管理プロセス実装のためのAMDB・CMDB 製品開発プロジェクト、データセンターのCMDB およびワークフローの実装プロジェクト、IT資産管理(クライアント環境) MSP のサービスプロセスの開発・実装プロジェクト(CMS/サービスデスクを含む)、ライセンス管理のためのSAMプロセスおよび自動化テクノロジー (CMS/サービスデスク)の設計・実装プロジェクトなど多数のプロジェクト経験を持つ。
IT資産管理のポリシー、プロセスを、どのように自動化テクノロジーに結び、ITサービス管理戦略やロードマップとの整合性を取りながらIT資産管理プログラムを実行性の高いものにしていくのかのコンサルティングを得意とし、大手組織におけるIT資産管理プロセスとサービス管理プロセスの統合プロセス設計、自動化設計、実装プロジェクト、IT資産管理プログラムの運用教育の実績多数。

 

【ホームページ】
一般社団法人
日本ベンダーマネジメント協会
www.vmaj.or.jp/
【情報】
Twitter( @VMA_Japan)


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