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ニューノーマルで悩む管理者の夜 第八夜 3密で悩む管理者の夜
2021年5月26日 10:00

はじめに

今回のテーマは、第一夜の注15であげた「試験」「セミナー」「香水(ドルチェ&ガッバーナ)」「3密(*1)(*2)」のうち、いまさら感がただよいますが、残った「3密」にしたいと思います。「3密」の定義などについては、これも第二夜「試験」で提示しました。

  状況 対策
密閉 窓が無かったり、換気が悪い場所 ・換気する
・ドアを開ける
・サーキュレータの設置 など
密集 人が多数集まること ・人数制限 など
密接 近距離での会話・発声・運動の実施 ・マスク着用
・手指消毒
・ソーシャルディスタンスを保つ など

図表8-1  3密と対策

 

また、「3密」に関連して、英語版の「3密」である”Three Cs”(*3)、類似語の「集近閉(*4)」などもあります。うまいですね。

 

3密再考、そして最新ITでの対応

第二夜「試験」では、「3密」対策として「密閉」については換気、「密集」については人数制限、「密接」についてはマスク着用や手指消毒などをあげました。結構アナログです。
それ以外でも「3密」とは関係ないですが、「検温」や「健康状態確認チェック」なども、行われていることが多いですが、「検温」は非接触型の温度計、「健康状態確認チェック」も紙で事前記入などが多かったようです。
さすがにIT業界的には、こんなアナログな対策はどうにかしたいところです。手作業なんて辛いじゃないですか。調べてみますと、文字通り「3密」対策のシステムがいくつかあります。

例えば、ウフル社の3密可視化システム、ローカライズ社のTRAFFICの新機能「SIGNAL」などがあります。

・ウフル社 3密可視化システム紹介サイト(https://uhuru.co.jp/solutions/3cs/
 対密閉…VOCセンサー
 対密接…騒音センサー
 対密集…人感センサー

・ローカライズ社のLocarise TRAFFICに新機能「SIGNAL」追加
「カメラに搭載したAI(人工知能)エンジンが、撮影画像を分析して、人の頭と爪先を認識することで一人ひとりを識別する。また、マスクをしているかどうかや、人の集積度を示す「ヒートマップ」の表示も可能だ。」
(日経ビジネス記事から https://business.nikkei.com/atcl/NBD/19/00109/00083/

うん、現在の技術で十分「3密」に対応、というか可視化が可能なんです。入口での体温センサーカメラ、フロアの天井にあるカメラ、顔認証による男女/年代分析。マスクの着用可否も判断できます。フロア人数を把握しての「密集」防止、ついでに人数とサーキュレータや換気機能を連動すれば、「密閉」もクリアできます。フロアで「密接」な状況を把握した場合に、スポットライトを当てて、サイレンを鳴らし、「密です!」という警告アナウンスを出すようにしたら、完璧です。

 

マスク問題、非着用はヌーディスト?

さて、「マスク」です。昨年(2020年)にも「アベノマスク」が流行語になったり、マスク品薄になったり、ユニクロのエアリズムマスクに行列ができたり、いろいろありました。コロナ禍で、ライフスタイルのニューノーマルとして一番画期的だといえるのが、このマスクのファッション化といえるかもしれません。アベノマスク的な布マスクや不織布マスクから、エアリズムマスクや絵柄印刷マスク、自作マスクまでありとあらゆるマスクが登場しています。

図表8-2 鬼滅マスク

また、マスク着用が嫌だといって、着用しない困ったちゃんも相変わらず存在します。そのような反体制派というか自己主張派などの代表が通称「マスク拒否おじさん(*5)」。飛行機搭乗で拒否し逮捕、翌年飲食店でも拒否、警察官を殴って公務執行妨害容疑で現行犯逮捕された方です。筆者の身の回りでも、なぜかマスクを毛嫌いしている方々がいらっしゃいます。

マスク非着用者A曰く「私は自己責任でマスクを着用していない」

 いやいや、あなたの責任は知りませんが、壁に「マスク着用での作業を推奨」と書いてあります。

マスク非着用者B曰く「ぜんそく気味のため、マスク着用を遠慮したい」

 あんたは、そもそも会社に来るな。テレワークでの作業を第一に考えろ。飛沫が飛ぶし、そもそも体調不良者の外出は非推奨。

マスク非着用者C曰く「この場所で、マスク非着用でのクラスターの実例はない」

 うん、そして最初の実績を作るわけです。悪魔の証明(*6)ですね。

先日の三重大学での誓約書問題(*7)みたいに、この手のことに反対する方々は、「個人の自由」を主張することが多いみたいです。でも、そもそも公共の場やオフィスという場で、その場を支配するルール・要請などを無視するのは問題です。これがOKになると、個人の自由を盾に、個人情報を持ち出したり(小さい会社ではたぶん個人情報系の誓約書を書いていない)、サーバーの電源をいきなり切ったり(それをしてはいけないとわざわざ社員規則に書いていない)もOKになります。かなり牽強付会っぽいですが、ルールは守りたいものです、特に生命に関することは。でも、自己主張派は、それでもマスク非着用という自己主張をするでしょうね、残念です。まぁ、盗んだバイクに乗ってガラスを割っていく(*8)、よりはマシかもしれませんが。
ただ、コロナ禍というゲートを抜けて、一般的には「マスクはパンツのようなものと考えている」という傾向(日常化・常態化)が出てきていると思います。それでも「いや マスクはしたくない」というような方は、一定数いるとは思います。そう、それこそ携帯電話やスマホを持たない(持ちたくない、持っていても使い方がわからない)人と同じようなものです。常態と化している文化に乗らない/乗れない/乗りたくないという旧常態なだけです。ちなみに、ビル・ゲイツは、マスク着用に抵抗する人々を「あれはヌーディストみたいなもの?」(*9)と語っています。ヌーディストもファッションですからね。

 

行列、そして迫りくる恐怖

次に「行列」です。行列自体はたぶん問題ないのですが、「密着」するような距離で行列することが問題です。コンビニなどでは、1メートルごとにバミって(*10)いるところもありますが、案外ソーシャルディスタンスは守られていません。そもそも各人の距離1メートル以内で行列なんてしていないことが多いですし、2列になったりしたら、横の距離は確実に1メートル以内だし。
あとは、エスカレーターとかトイレの入口(特に女子トイレ)、第二夜でも書いたエレベーター内なども要密着エリアです。考えてみれば、トイレの手洗い場所なんかもアクリル板などで囲っていないですよね。そのような場所で、食事後に歯磨きとかするのって大丈夫なんですかね。マスクを外さずに歯磨きって無理ですし。
というような本文を書いている日に、たまたまある店で買い物し、レジ前で行列(筆者の前に1人)していたら、筆者の後ろに並んできたおじさんがいました。それもマスクなし。で、いきなり距離を詰めてくる。直後にくるな、マスクをつけろ、どう見ても非衛生的だろ、後ろにたくさん空間があるやん、などいろいろな考えが渦巻きました。前の客はカードで決済して、レジの店員は操作が分からず時間がかかっている。前のレジ待ち、後ろのコロナ。恐怖空間です。「なんて日だ!」。本人の感染防止のためというよりも、周りの精神衛生上、マスクとソーシャルディスタンスを守ってほしいものです。というか、店員は注意しろよ、そのような客。近くに詰めたからっといって、レジ精算が早くなるわけじゃないんだしね。

 

「密」対策の切り札、無人店舗や無人レジ

「行列」回避というわけでもないのですが、店員の飛沫回避策として、無人レジなども増えてきています。近年、コンビニでは無人レジが配置されていたところも多かった(*11)のですが、一般の店舗でも増えてきています。

図表8-3 無人レジ/セルフレジ

注文は端末から行い、レジも無人。図表8-3は、ラーメン店での無人レジ/セルフレジなのですが、高齢の常連客などはとまどっていますね。使い方がわからないようです。使い方が分からずに、時間がかかり、そのために行列、そして「密接」、さらに店員を呼んで、無人化のメリットをなくすというパターンもできています。「無人レジ/セルフレジというITを導入すれば、『3密』はクリアだ」ではなく、システム導入後の運用の大事さが試されています。

 

設置よりも日々運用

今回は「3密」をテーマにしてみました。近場にある店舗やコンビニなどの実例をあげつつ、書いてみましたが、いかがでしたでしょうか。ガイドラインや指針(*12)などでは、「アクリル板設置(して、飛沫の防止)」とか「座席を離す(ことによるソーシャルディスタンスの確保)」などの「何をすればいいのか」が書かれていますが、現況での課題はそれを日々、着実に、正しく運用することではないかと思います。設置して終わりという考え方は、新システムを導入すれば、コストが削減されますというトークにつられた「動かないコンピュータ(*13)」になってしまいます。初期導入よりも、継続的な運用が大事です。当然、長期運用による慣れやダレなどの引き締めも必要です。でないと、「10年に1度の大災害」(*14)ではなく、クラスター発生による10日に1度の緊急事態宣言という事態になりかねません。また、最新のIT技術で3密対策を検討できますが、現時点では「見える化」までのようです。もっと進化してほしい気もします。
では良き眠りを(合掌)。

「毎晩眠りにつくたびに、私は死ぬ。 そして翌朝目をさますとき、生まれ変わる」by マハトマ・ガンジー

 

 

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*1 「三密」から「3密」に記述を変更しました。全角漢字と半角英数字の混在は気持ち悪いんですけどね。

*2 「3密」の起源?としては、2020年3月25日の小池東京都知事による記者会見、「NO!!3密 3つの密を避けて行動を」というボード(と思われる)。

*3 英語版3密である”Three Cs” は”Closed spaces”、”Crowded places”、”Close-contact settings”。ちなみに、WEBでそれぞれ翻訳してみますと、
・Closed spaces = 閉ざされたスペース
・Crowded places = 混雑した場所
・Close-contact settings = 密着設定
と出ました。(Google翻訳より)
また、WHO(世界保健機関)では、
・Crowded places (人が集まる場所)
・Close-contact settings (濃厚接触になる状況)
・Confined and enclosed spaces (閉鎖かつ密閉された空間)
であり、若干異なります。(WHOは2020年7月19日TwitterやFacebookなどから)


図表8-4 WHOの3C

*4 「集近閉に気を付けろ」という言葉。避けるべき状況をあらわしたネットでの標語。新型コロナウイルス感染症の発生源と言われている中国の国家主席である習近平をもじったもの。
・集 =人が集まる場所を避けよ。
・近 =近距離での会話や交流を避けよ。
・閉 =閉鎖、又は密閉されている、換気の悪い環境を避けよ

*5 2020年12月に飛行機の中でマスクの着用を拒否して威力業務妨害罪などで1月に逮捕・起訴。2021年4月には、公務執行妨害で現行犯逮捕。いやー、マスク拒否で前科がつくのか。

*6 「『この世には悪魔など存在しない』と主張するのなら、それを証明してみせろ」という考え。「悪魔の証明」の一般的な使用方法です。マスクを外して勤務しても、ここでコロナクラスターが発生するという証明がない、だから大丈夫、という論調で使いました。若干「悪魔の証明」とはズレてますかね。

*7 三重大学が、学生に対して「会食はしません」「カラオケはしません」など感染防止を目的とする8項目を守ることを誓約する書類を求めた事案。誓約書はやりすぎ、制限がきついという意見が多いのですが、三重大学って過去に何回かクラスターを発生させている場所なんですよね。誓約書などで縛らないと、大学としても注意しようがない。しかし学内でクラスターが発生したら責任を問われる。休校やオンラインオンリーでは教育研究活動には差し支え、かといって現行のガイドラインでは緩すぎ、間をとって誓約書で、という考えかと。

*8 尾崎豊の「15の夜」、「卒業」などから。尾崎が好きだからといって、バイクを盗んだり、夜中に校舎のガラスを割るのは、どうかと思います。まさか、マスクを着けないのは、アベノマスクへの反抗?

*9 2020年11月16日にリリースされた、ポッドキャスト・シリーズ「Bill Gates and Rashida Jones Ask Big Questions」(https://www.gatesnotes.com/podcast)で、ビルが語っているらしい。EP1″What will the world look like after COVID-19?”

*10 舞台上で役者の立ち位置や小道具の場所などに目印をつけること。また、その目印をバミリといいます。ガムテープ/ビニールテープなどを使用することが多いです。よく、スーパーやコンビニなどで、レジ前に1メートル感覚で線が引いてありますが、それです。


図表8-5 某コンビニのバミリ

*11 コンビニなどでの無人レジ化は、日本では人手不足が起因と言われています。ただ、完全無人化ではなく、有人と併用が多いようです。

*12 近々で有名なガイドラインやチェックリストなど
・大阪府の感染防止対策セルフチェックリスト  http://www.pref.osaka.lg.jp/attach/38112/00000000/check.pdf
・山梨県のグリーン・ゾーン構想の認証基準(山梨モデル)  https://www.pref.yamanashi.jp/koucho/coronavirus/green_zone_main.html
要するに、細かくこんな対策をすれば良いというわけです。でも、国や自治体がいちいち細かく指定しないと対策ってできないものなのか、と疑問です。

*13 「動かないコンピュータ」は、創刊号から続いている日経コンピュータ誌の名物連載。

*14 「10年に1度の大災害」は、前回第七夜 みずほ障害で悩む管理者の夜でのワードです。ぜひ、ご参照を。

ニューノーマルで悩む管理者の夜
2020年に発生したいわゆる「コロナ」のため、日本人のみな らず全世界の人々の生活は一変した(と言われています)。その 変化を体言するキーワードが、「ニューノーマル」。新常態と訳 すべきものですが、このニューノーマルに対応するために、ビジ ネスマン、エンジニア、家庭の主婦まで、日々あたふたする姿が 見られます。この珍常態を、システム管理者目線でゆるーく語っ ていこうと思います。
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筆者紹介

司馬紅太郎(しば こうたろう)
大手IT会社に所属するPM兼SE兼何でも屋。趣味で執筆も行う。
代表作は「空想プロジェクトマネジメント読本」(技術評論社、2005年)、「ニッポンエンジニア転職図鑑』(幻冬舎メディアコンサルティング、2009年)など。2019年発売した「IT業界の病理学」(技術評論社)は2019年11月にAmazonでカテゴリー別ランキング3部門1位、総合150位まで獲得した迷書。
TW @shiba_koutaro

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