ニューノーマルで悩む管理者の夜

第二夜 試験で悩む管理者の夜

概要

変化を体言するキーワードが、「ニューノーマル」。珍常態を、システム管理者目線でゆるーく語っ ていこうと思います。

目次
はじめに
日本は試験大国
試験業界でのニューノーマル化
「三密」対策の具体策
オンライン化した試験
折衷案なリアルタイム試験
ニューノーマルに逆行する長老の意見
おわりに

はじめに

2020年4月7日(火)の安倍元首相による特別措置法に基づく「緊急事態宣言」の発令。その発令が早かったか遅かったか、妥当だったのか、いろいろと議論があると思います。結果として、いろいろな業種の企業が自粛に追い込まれ、各種イベントなどが中止や延期に追い込まれました。日本国として一番影響の大きかった延期イベントは、パチンコやサウナではなく、オリンピック・パラリンピックだったと思いますが、IT業界としては、各種試験の受験の中止や延期もインパクトが大きかったと思います。今回は、この試験について考えてみたいと思います。

日本は試験大国

電気工事関連、建築関連、医療、語学。資格試験(*1)には、職に就くための資格もありますし、スキルを認定するもの、知識のみを問うものと多々あります。1級-2級-3級、初級-中級-上級のように1つの資格に、複数の階級/グレードがついているもの(英検なんかもそうですね)、1つの技能に複数の団体が資格を定義しているもの、(語学系、セキュリティ(*2)、IT系(*3)もそうです)もあります。システム管理者認定資格というのもありましたね。

検定名など 主催・事務局 URL その他
ねこ検定 ねこ検定実行委員会
日販セグモ
https://www.kentei-uketsuke.com/neko/ 初級・中級・上級。会場は、主要都市。
第4回(2020.08.23)では、受験者にオリジナルボールペン配布特典。
クレーンゲーム検定 日本クレーンゲーム協会 http://kuretatsu.com/ クレーンゲームの達人検定1級、2級、3級。実技あり。
沖縄歴史検定 沖縄歴史教育研究会
東洋企画印刷
https://toyo-plan.co.jp/campaign/rekiken_2020.html 2020年は開催延期中
はんだ付け検定 日本はんだ付け協会 https://handa-npo.com/about-kentei 1級、2級、3級。講習と試験。
認定眼鏡士 日本眼鏡技術者協会 https://megane-joa.or.jp/about/ 試験合格で、SS級の認定眼鏡士。SSS級もある。
SS級は学科と実技(加工調整、視力測定、フィッティング)

図表2-1 いろいろな(マニアックな)検定・認定試験

こう考えてみると「日本って資格大国では?」と思います。日本独自資格もありますが、海外の資格(*4)もあります。ついでに、ネット作成+ネット受験のなんとか検定というゆるふわ資格もあります。そのような資格や試験に対して、それを教育するというビジネス、対策本の作成や出版、そして試験の実施をサポートする試験監督ビジネス(*5)があり、それなりのマーケットを築いています。
今回は、資格ではなく、それを認定するための試験についてがテーマです。資格については、IT専門誌で毎年、「いる資格、いらない資格」を特集(*6)しており、「この資格が上がった、下がった」で、一部で大騒ぎしています。興味のある方は併せてお読みください。資格についても、語りたいことは多々ありますが、別コラムでたくさん語りたいと思います。

試験業界でのニューノーマル化

2020年7月頃から、試験会場での集合形式での試験が開始されました。当然、三密に対する対策をとっていることが前提になります。三密とは、もう忘れた方もいるかと思いますが、図表2-2に記載しています。自分が過去に経験した試験を思い浮かべてください。たくさんの人たちが、密閉された試験会場に一定時間閉じ込められています。試験が終わると、「この問題どうだった」などと、会場や近くのラウンジ・ベンチで密着して、会話をしていなかったでしょうか。「まさに三密」です。

図表2-2 三密と対策

 

再開された集合形式試験での「三密」対策は、以下のようなものになります。

  • ①入室/退室での手指消毒
  • ②マスク着用
  • ③座席の密集化防止

 

まず、どの試験会場も上記の①~③は、実施しているかと思います。これが最低限の対策です。もし、実施していない場合、試験の実施主催に文句を言ってかまいません。ついでに、所轄する官公庁にも、ちくりましょう。所轄がわからない場合は、都道府県などの各自治体へ文句ではなく陳情しましょう。
受験者の試験時の持ち物として、鉛筆、消しゴム、時計あたりは今までのデフォルトだったのですが、マスクも必須となっています。最近では、熱中症対策として飲用のペットボトル可としているところもあります。

「三密」対策の具体策

「そんな対策実施などたいしたことはない」と思われるかもしれませんが、管理者的に深く考えてみます。

まず、①の手指消毒。手指消毒用のボトルを会場入り口に置いたり、各教室前に置いたりしなくてはいけません。当然、不特定多数の受験者が接触しますから、試験前後の机・椅子などへの消毒も必須です。この手指消毒と机・椅子などの消毒のボトルは異なるものであり、よく間違えるので注意です。

②のマスク着用の必須化。そう、これは、試験における「本人確認」に重大な影響を与えます。大抵の試験では、偽装受験防止のため、受験票と受験者の一致を確認します。簡単にいうと、受験者が本人かどうかを確認するわけです。マスクをはずして本人確認するパターンと、マスク着用のまま本人確認をするケースの2通りの事例があります。だいたい、マスクをはずす場合が多いようです。

③の座席問題。これは、before afterを図示しましょう。

図表2-3 試験会場の座席表

 

実際の試験会場の少し席数を減らした座席表です。パターンを2つ図示しました。左が密集前、右が密集対策後です。教室A’や教室B’(市松型と呼ばれます)のように、意図的に席を抜かして、密集を避けた座席配置にしています。試験というものの特性上、多数の受験者が入る空間で機密性を高くしなくてはいけません。文字通り「密室」にしないといけないわけです。となると、「密室」空間で、席を離す対策をするしかないわけです。結果、試験教室が足りなくなる事態が発生します。図表2-3にも記載しましたが、机当たりの効率性は、教室Aで30人から20人なので約67%、教室Bで20人から10人となり、50%になります。ということは、受験者数が同じ場合には試験会場の数が、1.5倍から2倍になります。実際に、試験会場が確保できないための影響が出ています。

 

・2020年の情報処理10月試験(*7)では、受験者数が多い「情報セキュリティマネジメント試験(SG)」と「基本情報技術者試験(FE)」の実施を延期。【参考】IPA 2020年9月18日掲載の「令和2年度における情報処理技術者試験、情報処理安全確保支援士試験の実施について」
https://www.jitec.ipa.go.jp/1_00topic/topic_20200918.html

・TOEICでは、2020年10月25日のL&R公開テストから、1日1回の試験を1日2回に変更(https://www.iibc-global.org/iibc/press/2020/p159.html)。さらに、定員制での受験(受験者は抽選)に変更(https://www.iibc-global.org/iibc/press/2020/p161.html)。

・統計検定では、2020年11月実施予定だった、1級、統計調査士、専門統計調査士を中止。結果、11月22日実施予定の紙媒体による統計検定試験は、すべての種別で中止が確定。(https://www.toukei-kentei.jp/post-9152/

席を離すことのメリットは、のぞき見やカンニングといった不正防止などがありますが、試験会場の確保のためのコスト増に比べると微小かと思います。
三密などに対する対策としては、他にも、

  • ・出入り口を一カ所にして、導線を極小化
  • ・受験者(だけでなく試験監督含む)の事前体温チェック
  • ・健康問診票(*8)の提出



 などを実施することが多いです。
さらに、駅から会場へ行く道筋、試験準備・試験中・試験後の状況を思い描いて、どこで「三密」が発生しうるかなどの綿密なシミュレーションが必要となります。当然、現調(*9)も必須です。受験者がどのような導線で動くのか、休憩時のトイレ、自販機、教室前のベンチ(試験前などに、対策本で学習するために座るから)、試験後の集まりそうな場所(友人で来て答え合わせしますよね)など。机上で考えているだけだと、難しいです。特に、エレベーター(*10)は要注意です。複数の階に試験会場がある場合、各階から乗り込むエレベーターは「密集」空間となり、まるで映画のゾンビ(*11)と同じよう恐怖を味わいます。ここまで、しっかり考えてこそ、ニューノーマルな集合形式試験の対応といえます。

 

オンライン化した試験

コストが増加し、複雑怪奇化する集合形式の試験では難しいと考え、試験をオンラインにするという方法もあります。近年、ニューノーマル以前から、資格試験は集合形式からインターネットを使ったCBT/IBT方式(*12)に変わってきています。
メリットは、いつでも受験できること(制約がある場合もあります)、環境がある試験センター(*13)に伺えばどこからでも受験できることなどです。
デメリットは、基本PCでの受験のため、試験問題の形式は確実に制約されます。そう、キーボードやマウスで入力できる形式です。必然的に選択式の問題が多くなります。また、同一受験者が近々に何回も受験できることが可能になるため、問題はランダムにすることが多く、結果、出題予定の問題数を多くして、プールしなくてはいけない。また、カテゴリごとに問題数、難易度を設定し、特定の受験者に不利になるような問題構成にしないようにする、などの仕組みも必要になります。
ただ、試験でトラブルが発生しても、リセットしてやり直せば、違う問題(ランダムなので、同じ問題になる可能性もありますが)でやり直せる、というメリットもあります。
代表的なCBT/IBT試験としては、特にIT業界で有名なものとしては、PMP試験やOracleMasterなどがあります。旧態依然とした情報処理技術者試験も、必要に迫られてCBTに移ることが決定しました。ITパスポートもCBTでの受験(*14)です。マークシート形式の試験は、基本CBT/IBTに移行できるはずです。そもそもマークシートは、コンピューターで回答を読み取る仕組み(*15)なのですから。

折衷案なリアルタイム試験

また、ある民間試験では、オンラインでのライブな試験を計画・実施したらしいです。つまり、受験者のライブ映像を必須とし、オンラインで受験するという方法です。広角WebカメラとかPCを必須としており、なかなか大変だったようです。監督者は、受験者の鼻ほじ映像とかを見つけた場合、「不謹慎だ」と採点NGにしたのでしょうか。逆に、「あっはん」な映像の場合は、ボーナス点・芸術点とかが加算されるのかどうか。これは、不謹慎な発言でした。失礼。
さらに、ライブな試験の場合、技術的な問題、例えば回線が切断した場合や外的要因でNWが重い場合などの対処はどうするのか、などもあります。必要機器の調達、受験場所の確保(自宅でも良いですが、背景が流出するリスクがあります)。ところで、これって、一斉にライブ形式で実施する必要ってあったのでしょうか。物理的に集合させて、アクリル板で区切って受験すれば良かった気もします。試験中に会話や接触することってないですし、したら不正行為で失格とすれば良いのですから。試行した努力とチャレンジングシップは認めるところです。

ニューノーマルに逆行する長老の意見

このような、さまざまな試みがあり、オンラインやCBT/IBTにすべきではないか、という声も挙がってきていますが、やはり反論をする長老方が多いようです。

業界長老A曰く「コンピューターだと選択式しかできない。しっかりと書かれた文章で判断しないと、資質があるかどうかわからん」

 論文や長文解答(*16)でないと資質を測れない「あなた」の資質に問題があるのでは?

業界長老B曰く「選択問題だけでは、運で受かってしまう輩がいる」

問題数を多くしたり、択一ではなく複数選択式にしたりする方法もあります。それに、長文記載テクニックを学習する手間もなくなります。

さらに、議論というか言いがかりは続きます。

 業界長老C 「書かれた文章に愛があるかを見ているのだ」

 中堅技術者X 「愛よりも、論理的に書かれているかのほうが大事ですよね」

 業界長老A 「誤字、脱字は論外、規定文字数内に収める、読みやすさも大事だ」

 中堅技術者X 「そんなもんは資質と関係ないのでは。汚い字でも分かりやすい文章を書いてある人のほうが優秀でしょう。ペン習字の試験ではないのですから」

 業界長老B 「汚い字は仕事に対するやる気が足りないということ。やる気や真剣度を見るために書かせるんだ」

よくわかりません。そんなものはスキルに関係ありませんし、入社試験とかで測ってください。

それに、誤字・脱字などで減点って、あくまでも落とすための判断ですよね。そんな受験テク(*17)よりも、しっかりとスキルを持ったひとが合格するような試験になってほしいものです。そもそも、汚文字で書かれている論文は、書く人も読む人にも苦労(書く労力、読む労力、文字を消す労力など)を強いる不健全なものです。やめましょう。
集合形式+紙では、氏名や受験番号の記載漏れがよく発生しています。これは、CBT/IBT形式では発生確率が下がります。キーボードからの打ち間違いがあるかもしれないと思われますが、そもそも記載漏れの防止自体は、入力チェックでガードができます。
課題は、本人確認、つまり受験者本人が本人であることを証明するもの持参し、受験行為をしている、ことをどう確認するか(*18)ですね。血液から遺伝子コードを読み取る仕組みが早期に実現すれば一発で解決できそうです。少なくとも、試験会場にいるバイトの試験監督による目検本人チェックよりは信頼性が高そうです。

おわりに

今回は、「試験」をテーマに書いてみました。本当に、まだまだアナログなことが多いですね。試験の実施自体がノウハウと考えている頭の固い高齢者が多いため、共通化できずサイロ化しているようです。ただ、大きな方向性としては確実にCBT/IBTに進むでしょう。メリットが多すぎます。技術的な課題は少なく、ただ今までの常態から新常態へ移行するパワーがあるかどうか、変なことにこだわる方々をうまく排除できるか、に尽きると思います。それが一番難しい、というのが真実かもしれません。 次回は、ニューノーマルから少しだけ離れて、このタイミングでしか書けない「ドールチェ&ガッパーナ」をネタに語りたいと思います。
では良き眠りを(合掌)。

「王様は仰向けに寝、賢者は横向きに寝、金持ちはうつ伏せに寝る」by ことわざ

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*1 資格は、国家資格、公的資格、民間資格に分けることもできます。国家資格は、国が認定する資格。公的資格は、省庁が認定するもの。民間資格は、民間企業などが独自に定めた資格らしいです。国家資格の特色は、まず法律で定められていること、例えば税理士とか行政書士など。公的資格は、簿記(簿記も日商簿記・全経簿記・全商簿記があります)や英検などが代表的なものです。民間資格は、ITILやOracleMasterなど。ITコーディネータは民間資格です(経産省推進資格のため)。情報処理技術者試験(*19)は、意外です(*20)が国家資格になります。「情報処理の促進に関する法律(昭和45年法律第90号)」第29条の規定に基づいています。また、誤解がないように言いますが、国家資格だから偉いとかそのようなことはありません。単に、認定がどのようになされたか、という区分だけです。難易度も関係しません。

*2 セキュリティでは、やはりCISSP(Certified Information Systems Security Professional)、情報処理安全確保支援士など。それ以外に各種団体が個人情報保護法とかマイナンバーとかセキュリティのプロセスとかについての、複数の認定資格を認定しています。

*3 IT系で有名な試験は、やはり情報処理技術者試験です。そして、ベンダーの独自資格の取得者が多いです。例えばMCP(Microsoft Certification Program:Microsoft認定資格制度)、OracleMaster(Oracle認定資格)、SAP認定資格など。システム管理系では、ITILが有名ですね。

*4 海外の団体が認定している資格として代表的なものとして、PMP(Project Management Professional)は、米国PMIが認定する資格。ITIL(Information Technology Infrastructure Library)、正確にはITIL Fundation/ITIL Service Managerは、EXIN(オランダ)とISEB(英国)が主催する認定資格。米国ISACAでは、CISA(Certified Information Systems Auditor)やCISM(Certified Information Security Manager)などを認定しています。

*5 試験監督はバイトさんが多いです。派遣やバイトの1カテゴリとして、「試験監督」があるくらいです。時給は、場所と時期にもよりますが、1000円~1500円ぐらいでしょうか。なので、何か問題が発生して、試験監督に文句を言っても、対応は本部(契約元)に問い合わせとなります。契約上、責任がないので。

*6 「IT資格実態調査」今は、日経XTEC(クロステック)で実施しています。確か旧日経SYSTEM誌やWEBのITproで実施していました。日経SYSTEM誌は休刊しました。

*7 令和2年度(=2020年度)は、春期試験が中止となり、その代替として、秋試験ではなく10月試験として10月18日に実施。秋期試験はやっていません。秋期試験ではなく、文字通り「10月試験」なのです。2020年度は通常秋期のみに実施するITサービスマネージャ、ネットワークスペシャリスト試験などは実施されていません。苦情は出ないのかな。

*8 健康問診票は、要するに、当日の体温、近々に海外に滞在していないか、身近に感染者・濃厚接触者がいないか、当日の体調は問題ないか、をチェックして、提出するものです。病院などに行くと、診断前に書くことがありますが、それと同様のものです。健康状況の把握だけでなく、感染発生時の早期濃密接触者の特定・連絡にも繋がります。

*9 「現調」というと「現地調達」と「現地調査」の2つがありますが、この場合は「現地調査」のこと。

*10 エレベーターの機能としては、満員の場合に自動的に通過する機能、基準階帰着機能(これが自動的に戻る機能)、行き先階取り消し機能(CMでやっていた階ボタンの二度押し)、自動停止階制御(停止できる階を指定)などあります。でも、密空間であることは変わりありません。

*11 「ゾンビ」、原題は「Dawn of the Dead」。1987年公開のジョージ・A・ロメロ監督の映画。エレベーターのドアが開くと、そこにゾンビの集団がいて、エレベーター内に乱入するシーンがありました。逃げ場のない状態です。エレベーターって、ホラー・サスペンス映画でよく使われる小道具ですよね。「不意打ち」(Lady in a Cage)などもそのままエレベーターがメインのホラー・サスペンスです。

*12 IBT(Internet based testing) インターネット経由で行われるテスト。CBT(Computer based Testing)コンピューターを利用したテスト。ほぼ同じだが、CBTだとスタンドアロンや外に繋がらない独自LAN経由もありえます。対して、従来の紙ベースの試験のことをPBT(Paper Based Testing)と呼ぶこともあります。

*13 代表的な試験センターは、プロメトリック社(http://www.prometric-jp.com/navigation_page/testcenter_reserve.html/):ITIL FundationやIoT検定など、ピアソンVUE:OracleMasterなどのOracle系やPMP、オデッセイ社(https://cbt.odyssey-com.co.jp/):Pythonエンジニア認定や統計検定など。

*14 ITパスポート試験は、国家試験として初めてCBT導入したらしい。また、身体不自由などでCBT受験が困難な場合、特別措置として年2回、筆記による方式の試験を実施しています。(https://www3.jitec.ipa.go.jp/JitesCbt/html/examination/exam_summary.html

*15 マークシートの読み取り率についでは、東京都教育委員会による平成27年度(=2015年)「マークシート方式の導入の成果と課題」(https://www.metro.tokyo.lg.jp/tosei/hodohappyo/press/2015/06/documents/20p6b802.pdf)から、数値を挙げたいと思います。マークシート方式モデル実施校で行われた試験の結果なのですが、①記号選択式問題で、だいたい0.017%~0.008%の読み取りエラー率、②受検番号読み取りで、0.6%~0.4%の読み 取りエラー率でした。誤読理由は、正しくマークされている回答の誤読ではなく、2カ所マークやマークの薄さが原因という結果です。精度が高いといえるのではないでしょうか。

*16 長文での回答については、2020年の10月度情報処理技術者試験でも、システム監査、とプロジェクトマネージャの午後2試験で要求していました。500文字以上です。高齢受験者が多い分野に見られる特徴ですね。それなりの理由はあるのでしょうが、それを変えるのがニューノーマルなのです。

*17 受験テク、つまり受験テクニックについては、「ドラゴン桜」(漫画家:三田紀房)などを見ていただければ参考になることも多いと思います。また、良質な試験対策本や資格対策予備校でも、受験テクニックは教えてくれます。私も試験対策勉強会などで語るときには、単なる「でる知識」よりも試験テクニックを教える方が多いです。知識は、参考書を何度も読めば良いだけなので。ただ、主催団体とか事務局、頭の固い老人たちには、凄く嫌な顔をされます(笑)。

*18 本人確認については、セキュリティの多要素認証で考えます。セキュリティでいう本人認証の三要素とは、1.本人が知っていること、2.本人が所持しているもの、3.本人の身体的特徴の3つなのですが、現行の確認は、2.本人が所持している受験票の「証明書」+3.本人の特徴「顔」で判定しているといえます。本人確認書類持参の場合は、2.を重ねているだけですね。

*19 情報処理技術者試験は、例年50~60万人が受験し、国家試験としては自動車運転免許の次に多いらしい(Wikiから)。ただし、年々受験者が減少しているのも事実です。新試験ができると増加し、だんだん受験者が減少する傾向にあります。近年では「安全確保支援士」、その前は「セキュリティマネジメント試験」ですね。

図表2-4 情報処理技術者試験の年間応募者と受験者推移表

IPAが発表している「応募者・受験者・合格者の累計」https://www.jitec.ipa.go.jp/1_07toukei/oubosya_ruikei.pdf を見ますと、ここ数年の年間受験者数の平均は35万人強です。図表2-4のグラフを見てわかりますように、応募しても受験しないひとは3割近くいます。

*20 情報処理技術者試験=国家試験が意外というのは、ITパスポートが含まれるからです。「国家試験だから、凄いし難しい」と断言している頭の固い人には、ITパスポートは、2017年に9歳の小学生が合格していると教えてあげましょう。ちなみに、業界の人であれば、ITパスポート合格は当たり前で、何点取ったかを重視します。

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筆者紹介

司馬紅太郎(しば こうたろう)
大手IT会社に所属するPM兼SE兼何でも屋。趣味で執筆も行う。
代表作は「空想プロジェクトマネジメント読本」(技術評論社、2005年)、「ニッポンエンジニア転職図鑑』(幻冬舎メディアコンサルティング、2009年)など。2019年発売した「IT業界の病理学」(技術評論社)は2019年11月にAmazonでカテゴリー別ランキング3部門1位、総合150位まで獲得した迷書。

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