- 目次
- 今回のテーマは…
- ハイブリッドの定義
- 異世界でのハイブリッドはLGBT
- ハイブリッドと二刀流
- IT業界でのハイブリッドな構成
- ハイブリッドなリモートワーク
- ハイブリッドな人材とは
- DX、AIよりもインパクトが小さい「ハイブリッド」
今回のテーマは…
今回の執筆時期は2025年10月下旬であり、日本の政局は「
ハイブリッドの定義
「ハイブリッド」とは、異なる種類のものを組み合わせること。前述の自民党と日本維新の会の連立はハイブリッドかどうかは不明ですが、よく聞くハイブリッドは「ハイブリッドカー」でしょうか。ガソリンを使う内燃機関(エンジン)と電気を使う電動機(モーター)を動力源とした自動車です。
以下は2019年の情報ですが、単なる電動車よりもHV車(ハイブリッドカー)の方が販売量が多いようです。
ハイブリッドカーの特徴としては、ガソリンエンジンと電気モーターという2つの動力源を組み合わせており、走行状況に応じて2つの動力を使い分けることが可能。通常のガソリン車よりも燃費性能や静粛性が高くなり、走行中に自動でバッテリーが充電されるため、外部からの充電は基本的に不要。まさに、次世代カーなのですが、お値段は高めです。
異世界でのハイブリッドはLGBT
さて、異世界やファンタジー世界でのハイブリッドといえば、やはり「ハーフエルフ」があげられます。作品によってその設定などが異なりますが、人間とエルフとの混血です。その特性としては、耳がやや長く細身、寿命は人間より長くてエルフよりは短い、魔法特性が高い、などになります。以下は、日本においてエルフのイメージを定着させた「ディードリット」(*2)ではなく、ハーフエルフの「リーフ」(スパークの友人)です。
「ハーフエルフ」に対するあるある設定として、エルフからは「お前はエルフじゃない」と蔑まれ、人間からも「成長が遅く(大人になるのが遅い)、使えない」とされるため、いじめられっ子で捻くれた性格なことが多いみたいです。現代におけるLGBTのような扱いなのでしょう。
そういえば、「ハリーポッター」シリーズ(*3)でも「半純血(half-blood))」がキーワードだったりします。ハリー自体が魔法使いの父親とマグル生まれの(魔法使いだが)母親、セブルス・スネイプは「半純血のプリンス(Half-Blood Prince)」、ハグリッドは巨人族の母親と人間の父親の子供です。ストーリーでも純血なマグル生まれのハーマイオニーが、純血のマルフォイ一族から「穢れ(けがれ)た血(=英:
ファンタジーの古典である「指輪物語」ではエルフと人間が登場していますが、人間のアラゴルン(Strider:馳夫)とエルフのアルウェン(エルロンドとケレブリーアンの娘)は結婚しますが、その子供はハーフエルフとなるのでしょう。
そういえば、ドラゴニュート(Dragonewt)という種族もありますが、これは竜人であり、ハーフドラゴンとはいえないようです。それをいうなら、リザードマンはハーフリザードで、魔王と人間の子供はハーフ魔王では、とかいろいろ妄想できますが、閑話休題します。
ハイブリッドと二刀流
ここで、ハイブリッドと少し前に流行った二刀流との違いについて述べたいと思います。
2021年末、「第拾五夜 二刀流で悩む管理者の夜」で二刀流について語りました。
「二刀流」は「2つの異なる役割を同時に行う」、「ハイブリッド」は「複数の種類をかけ合わせる」ことである、と言われています。極論すれば、2つの既にあるモノを高みまで伸ばすのが「二刀流」で、2つの特性を混合させ、新たなコンテンツを生み出すのが「ハイブリッド」になります。「二刀流」の延長が多才であり、「ハイブリッド」は異才と言えるのかもしれません。でもWSでの
IT業界でのハイブリッドな構成
ここで、IT業界でのハイブリッドを説明したいと思います。IT業界でハイブリッド構成といえば「オンプレ」と「クラウド」の構成。基幹システムをオンプレ(=非クラウド)とかパッケージで構築し、一部のシステムをクラウドに移管、などが多いと思います。さらに、システム開発において「アジャイル・スクラム」と「ウォーターフォール」を組み合わせたりすることも最近では良く見られます。
さらに、「AIハイブリッド」という言葉もあります。例えば、以下のような業務は複数のAIを組み合わせたりすることで対応しています。
| 保守コールセンター業務 | 定型的な質問はFAQ+RAG、難易度が高い質問は生成AIが回答 |
| ヘルスケア業務 | 通常の遠隔監視と対面診療の組み合わせ(これは数値データ+問診と似ている) |
また、データ駆動型のAI(ディープラーニングなど)と理論知識型AI(ルールベースなどの推論)を組み合わせたAIを「ハイブリッドAI」と称することがあり、データからの学習能力と論理的な思考能力を組み合わせて、より複雑で高度な問題を解決することを目指しています。
■ハイブリッドなリモートワーク
コロナ禍以降に定着した勤務形態として、テレワークやリモートワークがあります。コロナ以前の昭和なオフィスへの出勤と組み合わせて、在宅+出勤のハイブリッド勤務も多くなってきています。しかし、完全在宅勤務とハイブリッド勤務を比較した調査(
・「出勤時の勤務よりオンオフ(仕事とプライベートの切り替え)がつけにくいことがストレスである」(55.1%)
・「在宅勤務をする物理的環境(家、机、椅子など)がないことがストレスである」(52.0%)
などの苦情があるそうです。
「どこまで昭和かよ」「こたつで仕事しろ」「会社来るな!」などと言いたくなりますが、オフィスにある備品や大画面のモニターなどは、あったほうが便利なことは確かです。でも、通勤ラッシュやそれに伴う人いきれ、食事の時間にわっと集まる社畜な群れとレジ待ち行列などに比べると、どうでも良いことのような気もします。「お前らどれくらい『蜜』が好きなんだ」。ハイブリッド勤務で充分です。
【参考】日経XTECH ハイブリッド勤務でストレス上昇、出社頻度の柔軟な設定が必須に
(https://xtech.nikkei.com/atcl/nxt/column/18/00989/100400099/)
ハイブリッドな人材とは
次にハイブリッドな人材について考えてみたいと思います。例えば、文系×理系な人材、そして技術×営業。前者はすでに「文理融合学部」
DX、AIよりもインパクトが小さい「ハイブリッド」
今回のテーマはハイブリッドでした。単なる技術用語ではなく、社会・文化・働き方・ファンタジーなどにも関連する素晴らしいタームです。でも、流行なタームとは言い切れず、AIやDXなんかに負けていますし、中途半端な用語ではあります。最近では自動車を中心に使われることが多いですが、それもこれもHV車が売れているからなんでしょうね。やはり、爆売れは正義です。でも高いですよね。
では良き眠りを(合掌)。
「強者を弱くすることによって、弱者を強くすることはできない。」 by マーガレット・サッチャー(英 元首相)
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*1 マーガレット・ヒルダ・サッチャーは、イギリスの政治家で第71代首相。通称「鉄の女(Iron Lady)。在任時期のアメリカ大統領はレーガン、日本の総理は中曽根氏。在任中の1982年に、「フォークランド紛争」が発生。フォークランドへの軍の派兵をめぐり、閣僚たちが尻込みする中、「この内閣には男は一人しかいないのか」と叱咤したというエピソードが新聞で紹介されたことがある。
*2 ディードリットもリーフも水野良作「ロードス島戦記」(*4)の登場人物。
*3 ハリーポッターシリーズの19年後、ハリーたちの子供世代が出演する舞台「ハリーポッターと呪いの子」は、東京TBS赤坂ACTシアターで上演中。東京講演の総観客数は2025年10月時点で120万人を突破し、さらに新たな修学旅行スポットとして注目を浴びています。
*4 「ロードスという名の島がある。」で始まる超名作で古典な日本のファンタジー。というかRPG小説。小説だけでなく、基となった「リプレイ」、アニメ、ゲーム、さらには内容的には全く関係ない 塩野七生「ロードス島攻防記」にまで影響を与えたレジェンド本。私は、リプレイ、紙版、電子版、新装版、ゲーム、ビデオと持っていますが、それが何か。小説の出だしは、正確には異なりますが、イメージ的に「ロードスという名の島がある。」というフレーズは強いのです。
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筆者紹介
大手IT会社に所属するPM兼SE兼何でも屋。趣味で執筆も行う。
代表作は「空想プロジェクトマネジメント読本」(技術評論社、2005年)、「ニッポンエンジニア転職図鑑』(幻冬舎メディアコンサルティング、2009年)など。2019年発売した「IT業界の病理学」(技術評論社)は2019年11月にAmazonでカテゴリー別ランキング3部門1位、総合150位まで獲得した迷書。



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