今回のテーマは2025年アニメ化
今回は番外編です。番外編ではビジネス書以外の本を、ひとつのテーマで複数ピックアップして紹介します。当然、技術書も対象外です。そのような本は周りの新旧のエンジニアにどんな本が良いかを聞いてください。もしくは以下のようなサイトも参考になるかもしれません。
【参考】ITエンジニア本大賞
(https://www.shoeisha.co.jp/campaign/award/about/)
ITエンジニアがITエンジニアに読んでほしい技術書とビジネス書を選ぶイベントなのですが、2013年からの歴史ある章です。翔泳社主催ということで、しっかりとメジャーな本も並んでいます。
過去の番外編は
・「第拾三夜 番外編 異世界で悩む管理者の夜」
・「第拾七夜 番外編 三国志で悩む管理者の夜」
・「第弐拾一夜 番外編 働く女性で悩む管理者の夜」
・「第弐拾五夜 番外編 ねこ本で悩む管理者の夜」
・「第弐拾九夜 番外編 エンジニア本で悩む管理者の夜」
・「第参拾三夜 番外編 スローライフで悩む管理者の夜」
・「第肆拾四夜 番外編 2024年アニメ化ラノベで悩む管理者の夜」
・「第肆拾九夜 番外編 戦士で悩む管理者の夜」
2025年にアニメ化された作品のなかで、特に筆者が気になったものをピックアップしてお届けしたいと思います。
絶対に外せない「鬼滅の刃」
2025年のアニメといえば、ラノベではないのですが絶対に外せないのが「劇場版『鬼滅の刃』無限城編 第一章 猗窩座再来」です。日本映画史上初である、興行収入 1000億円を突破したアニメです。「無限城編」は劇場版三部作で製作される予定なのですが、この「無限城編」で原作ラスト第205話「幾星霜を煌めく命」まで描ききるかも、です。「無限城編」の第二章は、2027年らしいですが、となると第三部は2029年~2030年でしょうか?「もっと早く、速く、疾く」という声が聞こえそうです。
| 「竈門炭治郎 立志編」 | 2019年4~9月 |
| 劇場版「無限列車編」 | 2020年10月公開 |
| 「遊郭編」 | 2021年12月~2022年2月 |
| 「刀鍛冶の里編」 | 2023年4~6月 |
| 「柱稽古編」 | 2024年5~6月 |
そして、興行記録だけでなく、多数の賞を受賞しています。
劇場版「鬼滅の刃」無限城編 第一章 猗窩座再来」主な受賞
| 受賞 | 部門 | 備考 |
| SNS流行語大賞2025 | ドラマ・映画部門 | 漫画・アニメ部門は「機動戦士Gundam GQuuuuuuX」 |
| 第50回報知映画賞 | 作品賞 アニメ部門 | 作品賞は「国宝」。 新人賞は 松谷鷹也(「栄光のバックホーム」(*1)) |
| ABEMA日本アニメトレンド大賞2025 | – | 2024年は、「ダンダダン」が受賞 |
2025年は、キャラクターは「ミャクミャク」、映画は「国宝」、アニメは「鬼滅の刃 無限城」、漢字は「熊」、そしてITは生成AIの年だった、といえるかもしれません。
名作の貫禄「薬屋」と海外ラノベ
「薬屋のひとりごと」の2ndシーズンも2025年でした。1stシーズンでは日常ストーリー調でしたが、2ndシーズンでは壬氏の正体から始まり、国家のイロイロな話が沸き上がります。「茘の国」の仕組みや政治体制などもだんだん判明していく回となっています。1stシーズンはお試しのPoC、2ndシーズンから本格開発に着手という感じです。
また、「最強の王様、二度目の人生は何をする?」もアニメ化されています。この作品は北米のオンライン小説が原作です。「Tapas」(Tapas Media)にて、2017年1月17日より連載中であり、原題は「The Beginning After the End」、史上最強の王様が死後に、異世界で赤子に転生して・・・という話です。ラノベは文体などもかなり読みやすさに影響すると思うのですが、海外原作の作品(*2)がコミカライズされ、アニメ化というのは珍しいのではないでしょうか。
人類がいなくなった後の…世界の話
「アポカリプスホテル」、「終末ツーリング」、この2作品も2025年のアニメです。共通点は「文明崩壊後」。「アポカリプスホテル」は人類が滅亡、というか消滅した後の地球で「ホテル銀河楼」というホテルでロボットが粛々と業務をしているという設定です。原作なしのオリジナルストーリーですが、キャラクター原案を竹本泉(*3)が行っています。
「終末ツーリング」は、さいとー栄によるマンガですが、文明崩壊後の日本の名所を少女2人がバイクで旅をしていく。似たような作品に「少女終末旅行」(2017年にアニメ化)などがあります。
さて、「アポカリプスホテル」の舞台である銀河楼には、社員というかホテルワーカーが斉唱する「銀河楼十則」なるものがあります。
図表55-2は「アポカリプスホテル」内の銀河楼十則ですが、読みづらいので以下に転記します。
| 一.銀河一のホテルを目指して |
| ニ.食と礼儀に文化あり |
| 三.お客様の人生に今日という栞を |
| 四.笑顔は最高のインテリア |
| 五.おもてなしにはうらもなし |
| 六.伝統に革新と遊び心を |
| 七.シーツの白さは心の白さ |
| 八.限りある時間に惜しみないサービスを |
| 九.お辞儀は深く志は高く |
| 十.ホテルに物語を |
この十則は、ホテル銀河楼の朝会で斉唱しますが、その標語はIT業界に横展開できます。試しにIT業界Verを横に書いてみました。
| ホテル銀河楼 | IT業界Ver |
| 一.銀河一のホテルを目指して | 業界一のソフトウェアハウスを目指して |
| ニ.食と礼儀に文化あり | コードとレビューに文化あり |
| 三.お客様の人生に今日という栞を | お客様のシステムにバグという爪痕を |
| 四.笑顔は最高のインテリア | UIは最高のインターフェース |
| 五.おもてなしにはうらもなし | 下請け企業にプライドなし |
| 六.伝統に革新と遊び心を | レガシーにアジャイルとAIを |
| 七.シーツの白さは心の白さ | コードのコメントは心の白さ |
| 八.限りある時間に惜しみないサービスを | 限られたコストと時間で品質を |
| 九.お辞儀は深く志は高く | 振り返りは深く、でも再発しちゃう |
| 十.ホテルに物語を | プロジェクトには計画を |
個々の説明やコメントは略させていただきますが、深いです。いろいろと考えるものがあります。ひとつひとつをテーマにコラムを書けます。そして一般的に「十則」で有名なのは「電通鬼十則」というものです。
「電通鬼十則」を考察する
電通の「鬼十則」は、以下です。
若干読みづらいため、書き起こしたものが以下です。
| 1.仕事は自ら創るべきで、与えられるべきでない。 |
| 2.仕事とは、先手先手と働き掛けていくことで、受け身でやるものではない。 |
| 3.大きな仕事と取り組め、小さな仕事はおのれを小さくする。 |
| 4.難しい仕事を狙え、そしてこれを成し遂げるところに進歩がある。 |
| 5.取り組んだら放すな、殺されても放すな、目的完遂までは……。 |
| 6.周囲を引きずり回せ、引きずるのと引きずられるのとでは、永い間に天地のひらきができる。 |
| 7.計画を持て、長期の計画を持っていれば、忍耐と工夫と、そして正しい努力と希望が生まれる。 |
| 8.自信を持て、自信がないから君の仕事には、迫力も粘りも、そして厚味すらがない。 |
| 9.頭は常に全回転、八方に気を配って、一分の隙もあってはならぬ、サービスとはそのようなものだ。 |
| 10.摩擦を怖れるな、摩擦は進歩の母、積極の肥料だ、でないと君は卑屈未練になる。 |
上記が「電通鬼十則」ですが、あまりにも過激な表現により2017年度より電通社員手帳から削除されたらしいです。そう、当時社会問題となった電通社員の過労死です。
しかし、「殺す」などの過激な表現は考えずに、冷静に見てみると「第五則」以外は(昭和的には)真っ当といえます。「第五則」はハラスメント以上で犯罪ですし、ストーカー以上の地縛霊です。それ以外の「則」についてももっと酷い「社是」や「社則」、「社訓」は世の中にたくさんありますし、逆に「会社と一緒に素晴らしい人生を」的なことを述べて、実態は真逆な会社もたくさんあります。それこそ、「外面似菩薩内心如夜叉」のように「外面は素敵企業で実態ブラック」のようなものです。
少し細かく見ていきますと、「第十則(摩擦)」は現在のソフトな関係を重視する社会状況に反しますし、「第六則(周囲を動かす)」は「引きずられる」よりも「引きずる」立場に行け、と言っています。主体性は必要ですが、「引きずる」がNGです。「第三則(大きな仕事優先)」も仕事の大小をしっかり明記していますね。結果、仕事=人生であり、自身の生活信条と結びつけるスタイルは、まさに「昭和」の考え方の代表です。「令和」な社会では反発を受けること間違いありません。
2026年も「鬼」に期待
今回は、「第肆拾四夜 番外編 2024年アニメ化ラノベで悩む管理者の夜」のように、アニメ化されたラノベを中心に語る予定でしたが、ラノベよりも「鬼滅の刃」や「十則」の話が中心になりました。そして昭和の「鬼十則」は個人と紐づけ、個人の心を燃やす十則でした。しかし、令和に必要なのは「人」を燃やす鬼になることではなく、その鬼を断ち切れる仕組みとプロセスをつくる「鬼滅」な管理者であることなのかもしれません。そして蛇足ですが、2026年のアニメやラノベもますます期待したいところです。
では良き眠りを(合掌)。
「目が覚めて良かった…」 by 栗花落カナヲ(「鬼滅の刃」から)
-
- 商標について
本コラムに記載されている商品やサービスの名称は、関係各社の商標または商標登録です。文中では、(TM)や(R)を省略しているものもあります。
引用・参照について
本コラムで引用・参照した図表や文章については、明示して引用元・参照元を記載しております。
著作権・免責について
本コラムの著作権は、著作者に帰属します。本コラムは著者の主観に基づく情報の提供のみを目的としており、本コラムに記載された内容を用いた運用などは、読者の責任と判断においておこなってください。また、記載内容は、執筆時のものを使用しております。
- 商標について
*1 「栄光のバックホーム」は、2025年11月28日から公開された映画。2013年に阪神タイガースからドラフト2位指名を受け、翌年からプロ野球選手として活躍した横田慎太郎の生きざまを描いた名作。観た人すべてが感涙したという伝説があります。
【参考】栄光のバックホーム公式サイト
(https://gaga.ne.jp/eikounobackhome/)
*2 海外というか日本以外のラノベでアニメ化作品としては、2024年にアニメ化された「俺だけレベルアップな件」(原作・原案 Chugongによる韓国の小説)があります。日本では 2024年に1stシーズン、2025年に2ndシーズンが放送。
*3 竹本泉は「あおいちゃんパニック!」が代表作ですが、アニメ化が少ない(というか2025年時点でコレだけ?)。また結構コアファンが多い。その画風はエロとグロのない吾妻ひでおと言われています。
連載一覧
筆者紹介
大手IT会社に所属するPM兼SE兼何でも屋。趣味で執筆も行う。
代表作は「空想プロジェクトマネジメント読本」(技術評論社、2005年)、「ニッポンエンジニア転職図鑑』(幻冬舎メディアコンサルティング、2009年)など。2019年発売した「IT業界の病理学」(技術評論社)は2019年11月にAmazonでカテゴリー別ランキング3部門1位、総合150位まで獲得した迷書。



コメント
投稿にはログインしてください