SysAdmin's Group システム管理者の会
日本最大規模の
システム管理者のネットワーク

コラムを楽しむ

システム管理に携わる人たちが語る。様々な話題満載のコラムをお届けします。

品川海外システム運用研究会 第9回 電源管理、PCの次はサーバー
2011年3月30日 19:55

オフィスでの業務を終え、帰宅する際にはPCの電源を切る。これは、二酸化炭素排出量削減の観点からも、誰もが認識していることだ。では、データセンターにしまい込まれた、エネルギー消費量の高いサーバー群はどうだろうか。「使わないときには電源を切る」あなたは出来るだろうか。

IT業界では、「サーバーの電源は切らない。必要なときのみ電源を切り、また直ぐに電源を入れなおす。」というのが一般的な通念となっている。しかし、英国のあるソフトウェア会社が、使用されていないサーバーの電源を自動的に切って、膨大なエネルギー消費量や二酸化炭素排出量の削減を実現しようとしている。

サーバー電源管理システムの登場

企業向けのエネルギー管理ソフトを開発する1E社は、その名も「NightWatchman」というPC電源管理システムを開発した。これは、企業において、一晩中ユーザーに使用されないまま電源を消費し続けるPCの電源を、自動的に切るというものである。1E社は、このようなアプローチをデータセンターにも適用しようと試みており、20107月、NightWatchmanのサーバー版を発表、未使用のサーバーの電源オフの実現に一歩近づこうとしている。

「我々の提供するシステムは、電源を切ることが出来て確実に電源を入れるということにおける数少ない選択肢であるが、実現可能だと信じている。」1E社のマネージャー、Andy Hawkinsは語る。「現在、これが出来る技術というのは間違いなく存在するが、今まで誰も手をつけなかっただけのことだ。」

1E社が主張するには、いわゆる仮想化ソフトウェアの参入は、企業にオンラインアプリケーションを仮想環境上移動可能にする余地があるということであり、それはすなわち自動的にアプリケーションをサーバーからサーバーへ移動させ、未使用のサーバーを開放して電源を消す、ということも実現可能であることを意味している。

1E社が提供する、その最新バージョンのソフトウェアは、このような方向へ向かうための足がかりとなり、企業に対して、各仮想マシンがどのぐらいのエネルギーを消費するのかを監視し、どのサーバーが減らすことの出来る大量のエネルギーを消費しているのかを特定することができるようになるのである。

Hawkinsは、「最近のサーバーはパワーマネジメントシステムを装備しているが、IT管理者はそれを認識していなかったり、使おうとしていなかったりする。1Eのソフトウェアは、サーバーが効率よく稼動しているかどうかを分析し、パワーマネジメントを有効化し、不必要に動くCPUやファン速度を抑制することができる。」と語った。

1E社の試算では、単純にパワーマネジメントシステムを使うことで、平均12パーセントのサーバーエネルギーを削減することができ、これらがデータセンターの冷却に必要なエネルギーとのバランスを実現することになる。

Hawkinsは、使用中のサーバーを安全に電源抑止できることや、数年中には電源停止を実現できることを、IT管理者に確信させるのは難しいことであると認めている。しかし彼は、どのサーバーが有効活用されているかを把握することで、企業が大幅に電源やデータセンターの二酸化炭素排出量の削減を実現することが出来ると確信している。

 

消費電力の現実

1E社と非営利団体Alliance to Save Energy(ASE)のレポート「Server Energy and Efficiency Report 2009」 によると、ハードウェア、保守、管理、電力や冷却代として、年間247億ドルが使用されていないサーバーのために消費されている。この数字はアポロ宇宙計画の13年分のコストに相当する。しかも、15%以上のサーバーが有効に稼動していないというのだ。

米国のデータセンターは2006年、610kWhの電力を使用しており、米国全体の電力の1.5%を占めている。これは2000年の2倍の数値だ。最近の傾向では、EPAによるとデータセンターで消費される電力は年に12%ずつ増加している。

 

仮想化技術とシステム管理者の思惑

消費電力や二酸化炭素排出量の削減の観点からも、サーバーの仮想化技術が進み、徐々にデータセンターにも浸透しつつある。仮想化はデータセンターの電源消費量の削減に大いに役立つといわれたが、サーバーの運用コストは電源コストの何倍にもなる。仮想サーバーの提供の手軽さというのは、制御できないサーバーの増殖や未使用サーバーを増やすことにも繋がりかねないのである。これは、仮想サーバーの不規則な拡がりとして実質の懸念となってきている。同レポートでは、84%のシステム管理者が実際に仮想サーバーの不規則な拡がりを既に経験するか懸念事項として挙げており、また、65%のシステム管理者が未使用サーバーを仮想化したにもかかわらず、仮想化自体が非効率であったとしている。

多くの企業のシステム部門は、サーバーを効率よく運用するための改善よりも、サーバーのパフォーマンスを更に上げ、レベルの高いサービスを提供することに重点を置いているようだ。サーバーが有効活用されているかどうかを把握することは、仮想化と電源管理の双方からコスト削減、二酸化炭素排出量の削減を実現することが出来るであろう。

「電源は落とさない」が常識のシステム管理者にとっても、今後はサーバーにおける電源管理が避けて通れない重要課題となるであろう。

 

参考

BusinessGreen.com

http://www.businessgreen.com/business-green/news/2266110/pc-turn-server-turn

1E

http://www.1E.com

Server
Energy and Efficiency Report 2009

http://www.1e.com/EnergyCampaign/downloads/Server_Energy_and_Efficiency_Report_2009.pdf

品川海外システム運用研究会
品川港南口桟橋ちかく。 頑張れば東京湾を見渡せる、とある会社の会議室で、東京湾の向こうに広がる太平洋と世界に思いを馳せ、海外のビジネス市場でどのようなITシステムがトレンドとなっては廃れていくのか、またそれらを支える技術はどんなもので、私たちの生活やビジネス環境はどう変わっていくのかを、海外システムに興味を持つ営業やマーケティング、技術者が集まり、夜な夜な熱い論議を交わします。 たまにはビールを片手に。 その論議を経たレポートを、海外システム通信としてシステム管理者の会ポータルサイトで公開! 海外に出張しているシステム管理者の方が、「現地ではこうだよ。」なんてコメントしてくれたらいいなと期待しつつ、皆様にお届けいたします。
記事一覧へ
筆者紹介

品川海外システム運用研究会

研究会メンバ:

・K谷リーダ
わが研究会の頼れるリーダ。
NYでの営業経験を持つ技術者。もうすぐ2歳になる息子にぞっこん。
・K玉
お客様のシステムを支えるサポート技術者。
スペイン留学時に学んだパエリア作りをメンバに教えてくれるなど、社内にスペインの風を運ぶ。
・U田
大学・院と情報システムを専攻した生粋の技術者。
在学時と就職後に海外プレゼン経験あり。
研究会での的確なアドバイスはさすがとメンバをうならせる。
・W田
アメリカ留学での語学を活かし、海外営業担当に。
興味深い記事や面白いニュースを研究会に持ってきてくれる。
たしなむお酒も国際派?
・N村
サポートから転部した新米マーケティング担当。
小さい頃から観ていたSound Of Music のビデオのおかげで発音だけはいいが、英語の記事を読むのにいつも一苦労。

コメントを書く

未ログイン: ログインする

コメント: ログイン(会員登録)すると、コメントを書き込むことができます。

  • 新着Q&A
  • 最新の回答
回答数:22019年11月12日

システム管理者認定講座<全コース共通>試験のみ受験希望の方はこちら

動画で見るセミナー
動画で見るセミナー

2020年7月に開催されました第14回システム管理者の会 感謝の日イベントにおきまして、第3回システム管理者アワード 表彰式が執り行われました。 表彰式の様子と、株式会社クエスト様、ニッセイ情報テクノロジー株式会社様、株式会社山櫻様よりご紹介いただきました各社の活動をご覧ください。

個人情報保護方針
運営者につい て
利用規約
サイトマップ