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品川海外システム運用研究会 第8回 新しい技術とサーバーのライフサイクルについて
2011年3月9日 19:55

近年のサーバー運用における技術の進化によって、サーバーのライフサイクルにも変化が出てきている。これまで5年や7年とされてきた、サーバーリプレイスのサイクルが、3年が一般的になりつつあるのだ。

サーバー業界のアナリスト、Daril Starhlは、近年のサーバーリプレイスのサイクルは、マシンの役割と所有者のニーズに応じて、大体3年が一般的になりつつあると見ている。これは、資産の減価償却上のスケジュールというだけではなく、サーバー自体の安定性と耐用年数でもあるというのだ。

また、富士通アメリカのRichard McCormackが言うには、仮想化技術は、あらゆる規模のデータセンターが保有するサーバーの更改を早める大きなきっかけになっているのだ。

より早く、より安く

意外にも、サーバーリプレイスのサイクルが短くなることによって実際には企業のサーバー予算の削減に貢献しているのだ。仮想化によって、多くの古いサーバーを少ない数の仮想化サーバーに置き換えることによって予算削減ができるのだ。

今のところ、実例としては7:1の割合、つまり、7台のサーバーを新調するのではなく、1台のサーバーを新調して6台の物理サーバーを取り除くことが出来る、というのだ。

しかし一方では、大規模な仮想サーバーを購入し運用するには、それと入れ替えられる分散物理サーバー以上にコストがかかる。したがって、単純に「6台が1台に」というコスト計算を行うのは危険である。

急速に統合環境を構築するためのタイトなリプレースサイクルは、サーバーの割り当てをより複雑にし、かえって管理者の様々なタスクを増やすことになってしまう。急成長を続けるITビジネスの現場においては、スケジュールを維持し、常にサーバーの評価を行い、少なくとも数台のリプレースを検討することが必要なのだ。

カゴの生鮮食品業者のChris Nowakは、それぞれの物理サーバーが最大限に活用されていることを確実にするため、自らの持つデータセンターの3年のサイクルを、3つのサブステージに分けることにした。

まず、新しいサーバーはビジネスのコアタスクに割り当てる。例えばE-Mailやアプリケーションホスティング用として、最長2年使用した後に、バックアップ用や開発、テストやその他の重要度の低い業務用に「降格」させて残りの1年使用する。3年後にはお払い箱、というわけだ。

つまり、常に2年間の本番環境としての運用があり、残り1年間を流動的に使用する、というサイクルになる。

そうすることによって、それぞれのサーバーは常にそのタスクとサーバー能力がマッチするように割り当てられる。その結果、データセンターが最大限に柔軟かつ効率的に運用されることになるのだ。

しかしながらこの方法はこれまでの企業が行ってきたサーバー管理の実態から大きな変化を求められるため、非常に困難であり、複雑であることも否定できない。


仮想化を超えて

仮想化技術は、データセンターのサーバー購入を加速させるのにおいて大きな原動力となってはいるが、それだけではサーバーのライフサイクルを短縮することにはならない。マルチメディアを取り入れた新しくパワフルなソフトウェアの登場や、分析系やプロセッサ・メモリの集中管理などは、サーバーのアップグレードを検討する強い動機付けとなる。ERPシステムの最新バージョンも、機能的かつ業務効率のアップが見込めるため、購入に前向きであるべきである。

そうなると、サーバーのアップグレードが新しいソフトウェアの性能に応えなければならないのは言うまでもないわけで、ハードウェアのコストというのはさほど重要なファクターとはならない。

ハードウェアコストというのは、ITの観点からするとさほど高価なものではない。ほとんどの予算は、ソフトウェアライセンスやコンサルティングサービスが占めているのだ。例えば、Microsoftで新たなリリースがあったとすると、アップグレードしたハードウェアを用意し、そこにインストールし、移行する。今あるサーバーをアップデートして使うよりも、移行するほうがよっぽど簡単なのである。

また、新しい法規制や法改正などもサーバーリプレイスを早める要因になっている。HIPAA(米国・医療保険の携行性(相互運用性)と責任に関する法律)やSOX法も、技術の購入という観点からは大きなインパクトを与えている。

ハードウェアの進化の加速は、管理者達にとって古い非効率なサーバーを捨て、新しいサーバーに入れ替えるきっかけを与えている。HPのブレードを例にとってみると、3年前に購入したサーバーはたったの32GBメモリだったのが、最新のG6モデルでは96GBメモリなのだ。つまり3倍の仮想環境を得ることが出来る。


双方のライフサイクルを見極める

仮想化にあたっては、(1)サーバーを集約する効果はあるのか、(2)ソフトは正常に動作するのか、(3)信頼性は確保できるのか、がカギとなる。先にも述べたとおり、複数台のサーバーを1つに集約する、という単純計算だけでコスト削減につながるとはいえない。

日経コンピュータの記事によると、仮想化ソフトを使ってサーバー100台、電気代、運用管理費も含めた計4700万円のシステムを集約するケースで、初年度のコストを大まかに試算すると、100台のサーバーを10台に集約した場合は3570万円。確かに24%の削減につながる。だが、100台を20台に集約しただけでは4940万円と、仮想化ソフトを使わない場合よりも5%高くなるのである。理由としては、仮想化ソフトが必ずしも安くはないということと、サーバーの低価格化が挙げられる。また、仮想化した場合の外付けストレージの費用も見落としてはならない。

 

3年のライフサイクルというのはもはやデータセンターにおけるノルマにもなりつつあるが、やはりITの重要なトレンドを活用しなければ充分な効果は発揮できない。そのためには、ハードウェアの調達の際に、信頼できるベンダーからのロードマップや新機能に関する情報や提案に常に注意を払う必要がある。時には、必要な機能のリリースに合わせて購入のタイミングをずらすことも必要だ。

 

今後は、仮想化ソフトの低価格化も進み、企業の仮想化も開発・テスト環境から本番環境への適用に広がりつつあるが、ハードウェアの進化や低価格化も考慮した技術面・コスト面双方での最適な環境を考えると、いずれにせよ今より短いライフサイクルでのサーバーの見直しが必要なのかもしれない。

 

参考:

Computer World

http://www.computerworld.com/s/article/9178197/New_technologies_mean_shorter_server_life_cycles_?taxonomyId=14

IT Pro 仮想化は甘くない 第1回 割高になることもある仮想化のコスト

http://itpro.nikkeibp.co.jp/article/COLUMN/20080408/298279/?ST=virtual&P=1

 

品川海外システム運用研究会
品川港南口桟橋ちかく。 頑張れば東京湾を見渡せる、とある会社の会議室で、東京湾の向こうに広がる太平洋と世界に思いを馳せ、海外のビジネス市場でどのようなITシステムがトレンドとなっては廃れていくのか、またそれらを支える技術はどんなもので、私たちの生活やビジネス環境はどう変わっていくのかを、海外システムに興味を持つ営業やマーケティング、技術者が集まり、夜な夜な熱い論議を交わします。 たまにはビールを片手に。 その論議を経たレポートを、海外システム通信としてシステム管理者の会ポータルサイトで公開! 海外に出張しているシステム管理者の方が、「現地ではこうだよ。」なんてコメントしてくれたらいいなと期待しつつ、皆様にお届けいたします。
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