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超高齢社会をITで克服する知恵 第1回 人類未踏の超高齢社会を克服する道
2011年10月3日 17:26

今回の連載では、日本がすでに突入している「超高齢社会」を、ITを用いてどのように克服するかを追う。人間誰でも高齢者入りする65歳を過ぎると、しだいに健康面での不安を抱えてくる。特に、70歳を過ぎてくると足腰に「故障」がでるもの。ここで初めて、「ああ自分も歳を取ったな!」という実感がわくのである。この連載では、いかにITを活用しながら、「超高齢社会」を克服するか。その知恵を探すことにする。

 

人類未踏の超高齢社会を克服する道

日本が現在、世界一の高齢者人口(65歳以上)比率であることはよく知られている。戦後の高度経済成長を支えた要因の一つは、産児制限効果により総人口に占める生産年齢人口(15~64歳)比率が、他国を上回るスピードで上昇したことの成果である。このような人口動態から見て、日本はもはやその黄金時代を過ぎたもので、これからは世界未踏の「超高齢社会」に入って行く。


2009年時点での総人口に占める高齢化(65歳以上:人口高齢化)比率は、22.7%である。日本人の5人のうち1人は65歳を上回っているのだ。この比率は、2025年には30,5%と30%台に乗せてくる。そして、2055年にはなんと40,5%に達する。この数字だけを見ると、夢も希望もなくなるが、日本だけが「超高齢社会」で苦吟するわけでない。世界中が同じ傾向を歩むのである。地球上にはお年寄りが、あふれかえる状態になるのだ。ちなみに、2050年の人口高齢化比率は、アメリカ23%、フランス27%、中国23%、韓国34%となる。その時点で、日本は39.5%見当であるので、依然として「トップ・ランナー」である。

物事には「先行者の利益」というものがある。日本は世界中の先頭を切って「超高齢社会」に入っている。ここで実施される政策が、他国のモデルになるからである。言い換えれば、日本型「高齢者ビジネス・モデル」の生まれる可能性が大きいのである。何も悲観ばかりするのでなく、積極的に対応することが日本を救う道でもある。

 

「超高齢社会」を克服するには、ITの活用が不可欠である。ITを用いて足腰の不自由さをカバーすることができるからだ。人間は孤独であることが一番辛いものである。話したくても相手が側にいない。高齢者の社会参加が求められる理由もここにある。60歳以上の高齢者の近所づきあいを見る(『平成22年版 高齢社会白書』)と、「親しく付き合っている」は43.0%。「挨拶をする程度」が51.2%である。前者の「親しく付き合っている」が、しだいに減っているのである。昭和63年では、前者が64.4%。後者は30.7%であった。「親しく付き合っている」は、約20年間で21%ポイントも減少した。これをどのようにしてカバーするかが課題である。ITを用いれば、わざわざ痛い足腰を引きずって会いに行かなくても、手軽に「意思疎通」が可能になる。その便法を大いに活用しなければならない。

 

ここで、日本の高齢者がどの程度、インターネットを活用しているかを見ておきたい。総務省が毎年、個人のインターネット利用調査をしている。平成22年末では、60~64歳が70.1%、65~69歳が57,0%の利用である。だが、65~69歳と70~79歳を2年前と比べて、それぞれ19.4%と11.5%と大幅な増加を示したのである。韓国紙『中央日報』(2011年5月20日付)は、これについて高評価の記事を掲載している。「日本の70歳以上の高齢者の3人に1人以上がインターネットを楽しんでいるという調査結果が出た。これはインターネット先進国を自負する韓国の高齢者に比べて5倍近い数値である」。こうして日本の高齢者が意外に、インターネットを高度利用している事実が分ったのである。当然にメールも利用しているであろう。今後、時間が経てば経つほど、インターネット活用による意思疎通は活発化する可能性が高まってくる。

 

下の表は、高齢者の各種グループへの活動参加状況を表わしている。

 

高齢者のグループ活動への参加状況(単位:% 四捨五入)

 

平成10年

44

18

17

13

平成20年

59

31

20

24

11

備考

①参加したものがある、②健康・スポーツ、③趣味、④地域行事、⑤生活環境改善、⑥教育文化 ⑦生産・就業、⑧安全管理、⑨高齢者の支援、⑩子育て支援、⑪その他  

【資料】『平成22年版 高齢社会白書』

 

上の表を見て分ることは、①参加したものがある、②健康・スポーツ、③趣味、④地域行事、⑤生活環境改善がメインである。このうち、「①参加したものがある」は、その内容が不明であるから一概に論じられないが、「②健康・スポーツ」や「④地域行事」への参加が増えている。この事実は、将来のグループ活動に希望を持たせるもの。地域活動が衰頽化に向かっているわけではないのだ。

 

これは、今回の東日本大震災時に被災者同士や支援グループの人々が、必死になってみせたあの尊い「協力」「団結」のなかにも読み取れる。日本は従来から「集団主義」を特色としてきた。何かことが起こった時は、一致結束するという行動パターンである。今回の大震災をきっかけにして、海外から日本の集団主義が高い評価をうけたのはご存じの通りである。「超高齢社会」を克服して行ける素質が、この「集団主義」の存在によって本来、日本社会に備わっていることを示したと思う。

 

ここで若干の「文化論」を説明させていただきたい。文化とは人々の生き方の問題である。縄文時代から日本人は、周期的に訪れてくる天災によって「集団主義」という生活の知恵を学び、それが連綿として受け継がれてきた。東日本大震災において、被災者がひと言の恨みもいわず、秩序を守り互いに気遣いあいながら堪えている姿に、外国人は驚愕したのである。私はこれまで「集団主義」を文献で理解してきたが、現実の日本人の行動の中で自覚させられた。その意味では、貴重な経験を我々は追体験する機会を持ったのである。

 

これから本格化する「超高齢社会」において、ソーシャルメディアの役割が注目されている。ブログ、動画共有、掲示板、SNS、情報共有サイトなどの活用が期待されているのである。個からの情報発信や他者とのコミュニケーション機能が、最大限に活用されるアプリケーションは、ソーシャルメディアなのだ。これらが身近なツールとして活用されれば、「集団主義」日本においては大きな成果が見込める。たとえば、子育て支援サイトを通じて、お年寄りもかつて子どもを育てた経験が生かされる。お年寄りにとっては、世代を超えたコミュニケーソンであり、生き甲斐につながる貴重なネットワークになる。同時に、家族という血縁を超えて、様々な情報や経験を地域で共有できるメリットが出てくるのである。

 

地域がソーシャルメディアによって繋がれたあかつきには、「地域通貨」が活躍できる基盤が生まれてくる。「地域通貨」とは、法定通貨(円)とはちがって貯め込んだりできないが、互いの「善意」をつなぎ合わせる絶大な効果を生む。「地域通貨」の先進地域は欧米である。なぜ欧米で成功したのか。それは地域の連帯が強化維持されている結果である。日本は欧米に次ぐ「市民社会」への可能性を秘めており、東日本大震災の経験を生かして日本もその域に入ってきた。私にはそういう実感がするのだ。

 

先述のように日本の人口高齢化比率は2025年に30%台に乗せる。2055年にはなんと40%台に達する見通しの下では、こうしたソーシャルメディアは、大きな役割を果たすものと期待される。将来を悲観する前に、日本の足元を眺めれば新たな展開策が開けてくるのである。

 

今回の連載は、下記のような内容である。

第1回 人類未踏の超高齢社会を克服する道

第2回 東日本大震災復興は日本再生の起爆剤

第3回 府県別に課されたプロジェクト概要

第4回 IT活用の「地域力」で連帯の強化

第5回 世界の「超高齢社会」モデルを発信する

第6回 日本のイノベーション力を磨き上げる

 

運用研究レポート
超高齢社会をITで克服する知恵
今回の連載では、日本がすでに突入している「超高齢社会」を、ITを用いてどのように克服するかを追う。人間誰でも高齢者入りする65歳を過ぎると、しだいに健康面での不安を抱えてくる。特に、70歳を過ぎてくると足腰に「故障」がでるもの。ここで初めて、「ああ自分も歳を取ったな!」という実感がわくのである。この連載では、いかにITを活用しながら、「超高齢社会」を克服するか。その知恵を探すことにする。
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筆者紹介

勝又壽良(かつまた ひさよし)

1961年 横浜市立大学商学部卒。同年、東洋経済新報社編集局入社。『週刊東洋経済』編集長、取締役編集局長をへて、1991年 東洋経済新報社主幹にて同社を退社。同年、東海大学教養学部教授、教養学部長をへて現在にいたる。当サイトには、「ITと経営(環境変化)」を6回、「ITの経営学」を6回、「CIOへの招待席」を8回、「成功するITマネジメント」を6回、「ITで儲ける企業、ITで儲からない企業」を8回にわたり掲載。

著書(単独執筆のみ)
『日本経済バブルの逆襲』(1992)、『「含み益立国」日本の終焉』(1993)、『日本企業の破壊的創造』(1994)、『戦後50年の日本経済』(1995)、『大企業体制の興亡』(1996)、『メインバンク制の歴史的生成過程と戦後日本の企業成長』(2003)

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