知ってて損をしないIT業界の契約

第3回 IT運用関連予算扱い

概要

ITという言葉が使われるようになったのはここ10年来でしょうか。ITに関わる法整備は遅れているのが現実です。現在のITに関わる契約の現場からの情報提供 いたします。

前回、プログラムの使用許諾契約について、述べさせていただきましたが、プログラムの使用権を取得しようとした場合、プログラムに使用許諾契約の検討等社外での交渉とは別に、社内での調整、特に予算に絡んでの調整が必要になるかと思います。
今回は、その予算について触れさせていただきます。
なお、ここで使用する予算の名称については、個々の会社で名称が違うと思いますので、弊社で使用している名称を使用することを予めご了承ください。

IT運用では、大きく分けてプログラムの使用権取得およびカスタマイズに関わるものと、その設定や保守に関わるものに大別できます。
プログラム自体は、知的財産とか無体財産といわれるように、プログラムの使用権取得にかかる費用は、「投資予算」として取り扱われます。この「投資予算」は、当該年度の経費として全額認められるものではなく、減価償却対象の資産として、当該年度以降に経費を繰り延べなければならなくなります。これは、カスタマイズの場合もほぼ同様です。
また、プログラムの設定や保守費用については、殆どの場合が役務(作業)の提供を受けるものであり、これは大抵の場合、「経費予算」となります。

よくあるケースとして、年度末等で未使用予算がある場合に、プログラムの使用権取得をしようとした時の対処を以下に述べます。
未使用予算が「投資予算」であった場合、プログラムの使用権取得は可能です。ただし、会社によって、当該プロダクムの契約日が基準であったり、納品日が基準であったり、検収基準日がであったりしますので、予算締め切り時期等に注意する必要があるでしょう。
未使用予算が「経費予算」であった場合、プログラムの使用権取得方法は、限られます。方法として、(1)「レンタル契約」を締結する(2)「リース契約」を締結する等が考えられます。
しかしながら、(1)「レンタル契約」(2)「リース契約」ともに、プログラムを提供するベンダーによって、この契約形態での提供ができない場合や、認められない場合があります。特に、プログラムにおける(2)「リース契約」は、プログラムの特性上、海外では認められておりません。プログラムの「リース契約」は、日本特有の制度となりますので、海外から輸入されているプログラムの「リース契約」は、特に注意が必要でしょう。

プログラムの「リース契約」については、次回詳しく述べさせていただきます。

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筆者紹介

株式会社ビーエスピーソリューションズ

総務部 西別府好美

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