知ってて損をしないIT業界の契約

第6回 システム開発によるソフトウェア

概要

ITという言葉が使われるようになったのはここ10年来でしょうか。ITに関わる法整備は遅れているのが現実です。現在のITに関わる契約の現場からの情報提供 いたします。

前回までに、パッケージプロダクトを中心に説明してきましたが、今回は汎用的なソフトウェアではなく、独自仕様のシステム開発およびカスタマイズについて説明いたします。

ソフトウェアには、パッケージプロダクトとして販売されているものと、オーダーメイドでシステム開発するものがあります。使用者によっては、パッケージプロダクトの機能では、目的を満たされない場合、パッケージプロダクトの一部変更するカスタマイズや、初期よりプログラムを開発するシステム開発が行われます。

目次
国内市場におけるパッケージソフトウェアとシステム開発の売上高

国内市場におけるパッケージソフトウェアとシステム開発の売上高

上のグラフにありますように、日本国内においては圧倒的にシステム開発が多くおこなわれています。

しかしながら、これを海外の市場でみると割合が反対になります。当然、全体の金額は違いますが、海外ではパッケージソフトウェアを使用して、より安価にシステムを構築する傾向が強いといえます。日本では何故、システム開発が多く行われるかというと、実際の業務をシステムにあわせるのではなく、システムを業務にあわせて構築する傾向があるからです。そのため、システム構築により多くの費用がかかっているのが実情です。

上述しましたように、日本においては、システム開発によるソフトウェアが非常に多く使用されていますが、このシステム開発を実施する際の契約は、一般的には「請負契約」として締結されます。

この「請負契約書」の中には、パッケージプロダクトの使用許諾契約書と同様に、請負契約により作成された成果物の使用条件も記載されます。

パッケージプロダクトとシステム開発による作成されたソフトウェアで決定的に違う点は、パッケージプロダクトは不特定多数の使用を目的としているのに対して、システム開発による作成されたソフトウェアは、個別(単独)の要件にあわせて作成されたプログラムである点です。

従いまして、システム開発による作成されたソフトウェアの使用条件は、より使用者側の立場で作成されているのが、一般的です。

しかしながら、前回までに述べてきましたように契約条件は、作成者(使用許諾者)により様々な条件で設定されている可能性があります。入念にチェックする必要があると思います。

契約締結における具体的な注意点は、次回以降に説明させていただきたく思います。

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筆者紹介

株式会社ビーエスピーソリューションズ

総務部 西別府好美

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