グリーンITを考える

第3回 グリーンITの取り組み事例

概要

「グリーンIT」について検討や調査を行なっていますか???
現状では、ハードメーカ等が省電力対策を中心に対策を進めていますが、環境とITの調和を考え様々な対策を考えていく必要があります。 このような状況の中、企業のIT部門としての立場やアウトソーシングセンタとしての立場で、「グリーンIT」に取り組むケースが徐々に増えてきています。
しかし、推進担当に任命された方からは、何から進めたらよいのか、ゴール目標をどのように設定したらよいのかがわからないといったお話を耳にするのも実態です。 このような悩みを解決していくために、サイトの読者の皆さんとともに「グリーンIT」について考える場をご提供いたします。
皆さんが知りたいことや情報提供いただけることなどがありましたら、ご投稿のほどよろしくお願いいたします。

2008年10月14日に、日経BP社主催のグリーンITフォーラム2008が開催されます。多くの方の講演やパネルデイスカッションが用意されているようで、内容の濃いフォーラムになりそうです。また、同じ日経BP社が運営するサイト(ITpro)では、グリーンIT検定のページも用意され、読者の理解度確認と解説が掲載されています。これ以外にも、筆者はメールマガジンや資料紹介等でグリーンITについての情報を得ていますが、実際に「何をするべきか」と問いかけられたときに有効なお答えができていないように感じます。
すなわち、
 
    1. なんのためのグリーンITなのか
    2. IT担当として必要な知識はどこまでか
    3. 現状の認識と目標設定はどのように実施したらよいのか
等の疑問を整理していく必要性があります。
今回は、上記のような整理を実施していくにあたり、他社がどのように取り組んでいるかを知るために事例をご紹介いたします。
カテゴリーわけは、
 
    1. 製品を売る立場の取り組み事例
    2. 機器関連の取り組み事例
    3. ITを使った取り組み事例
とし、
内容については、
 
    1. グリーンITの取り組みについて、実施内容、目的
    2. 効果(なるべく数値化して)
を中心にご報告いたします。
 
《製品を売る立場の取り組み事例》
 
企業名:日立グループ
1.グリーンITの取り組みについて、実施内容、目的
日立製作所社長を議長とする「環境経営会議」がグループ全体の方針・活動を審議し、グループ全体へ浸透させている。2010年に向けて各グループ毎の統合環境マネジメントシステムを構築し、グループ内での経営強化を目指す。
 
2.効果
液晶パネル工場にて、天然ガスを使用したコージェネレーションシステム、氷蓄熱装置を導入しエネルギー使用率量を15%削減した。また提携会社の液晶工場でも400ボルトの配電設備を採用し送電損失が軽減され従来比40%の省エネルギーを実現、高度水処理システムの導入により約60%の純水再利用をしている。
 
※ PDF P.94「環境保全を徹底したパネル生産工場」本文より抜粋。
 
企業名:三菱電機グループ
1.グリーンITの取り組みについて、実施内容、目的
「METの花を咲かせよう」を合言葉に全ての事業活動における環境負荷の軽減を目指す。  (M:資源の有効活用、E:エネルギーの効率利用、T:環境リスク物質の排出回避) また、これまで培った技術を用い環境保全、向上に努める。
 
2.効果
国内製作所にて、自主行動目標を達成するために2004年度に省エネアクションプランを策定し、「高 効率機器導入」「EM(エネルギーロス・ミニマム)活動※」「燃料転換」 の3つの施策を展開していて、 2007年度は3つの施策で総額29.1億円を投資し、その他生産 性向上活動などに4.6億円を投資し、合計で1.3万t-CO2を削減した。
 
企業名:NEC
1.グリーンITの取り組みについて、実施内容、目的
環境経営ビジョン2010をもとに、製品関連項目、ソリューション関連項目、生産・オフィス関連項目、環境コミュニケーション関連項目に分けて中期的な具体的目標の設定をしている。  更に目標に対する達成度を定期的に自己評価し、その結果を活動の展開に組み込んでいる。
 
2.効果
製品使用時のCO2排出量を削減するため、開発される全ての製品の消費電力量の低減を図っている。具 体的には、エコプロダクツ基準に省エネ設計基準を設け、製品アセスメント時に適合状況を確認しています。
例:アクセスルータ機器 過去製品に比べ84%の定格出力電力を削減
 
 
企業名:富士通
1.グリーンITの取り組みについて、実施内容、目的
環境保全を経営の最重要事項と位置づけて環境活動を実践してきたが、今後は更なる社会的責任を果た すべくグリーンITによる環境負荷低減プロジェクト「Green Policy Innovation」を開始していく。
 
2.効果
製造出荷の際のストレージ製品の試験工程の見直しを実施。これまで、ストレージ製品は顧客の要求する構成に組み立てる前に、構成部品の試験を個別に行ってきたが、見直した結果構成部品を機能ブロックごとに組み立てた後、試験するように変更した所、月使用電力を18%削減に成功した。この結果、月あたりCG値は18%削減、コストは18%削減となった。
 
 
企業名:SHARP
1.グリーンITの取り組みについて、実施内容、目的
「2010年地球温暖化負荷ゼロ企業」の実現のため、各事業所の温暖化ガスの削減の取り組みや リサイクル、有害物質の排出規制等を行う。
 
2.効果
2007年度の温室効果ガス排出量は約176万t-CO2。それに対して、2006年度までの20年間に生産した太陽電池の2007年度の想定発電量は約1,870GWhとなり、これは約77万t-CO2の温室効果ガス削減量に相当する。また、商品の省エネルギー効果による温室効果ガス削減量は60万t-CO2となった。
 
 
企業名:株式会社CRCシステムズ(データセンタ事業本部)
1.グリーンITの取り組みについて、実施内容、目的
1999年4月からISO14001取得のため、省エネ機材の導入や、OA機器のリサイクル製品の購入を行ってきた。 2008年からは「チーム-6%」参加企業として社員のモチベーション向上を目指す。
 
2.効果
データセンタ内で使用しているデスクトップ端末のディスプレイを全て液晶ディスプレイへの交換を実 施。また、データセンタ周辺にケナフを植えて緑化運動を行いました。  細かい所では、データセンタ内のトイレの電灯をセンサースイッチに替えたりもしている。
 
《IT機器関連の取組み事例》
企業名:IBM
1.グリーンITの取り組みについて、実施内容、目的
地球規模で取り組むべき課題として、自社の環境活動をさらに強化することはもちろん、お客様、そして社会と共に低炭素社会実現に向けて全力を尽くすことを最優先課題として、低炭素社会の実現に向けて変革をしていく。
 
2.効果
自社内においても約3900台のサーバを仮想化によってメインフレーム約30台に統合しつつあるほか、 米コロラド州ボルダーには、その冷涼な気候を生かして空調に必要な電力を削減するなどの工夫を凝らした新データセンターをオープンした。その結果、80%もの省エネと、今後5年間で2億5000万ドルのTCO削減が見込まれる。
 

       http://www-06.ibm.com/jp/company/environment/lowcarbon/index.php

 
企業名:ブロケード コミュニケーションズ システムズ株式会社
1.グリーンITの取り組みについて、実施内容、目的
グリーンで効率的なデータセンター構築を支援するため。ブロケード社が取り組んでいるのが大きな2つのアプローチ。
製品自体の省電力化という直接的なアプローチと、データセンターのリソース統合を進める技術開発によってデータセンターがめざす理想の環境づくりを実現すること。
 
2.効果
従来製品と比べて消費電力を20%低減するBrocade 5000を開発。専用ASICを自社開発し、部品点数を削 減している。単一シャーシでのマルチプロトコル対応、複数機能の提供している。
 
 
《ITを使った取組み事例》
企業名:非公開
1.グリーンITの取り組みについて、実施内容、目的
Web会議・SaaSの導入により、移動を極力減らした。特にお客様先への移動では、自動車・飛行機を乗り継いで移動する必要があり、このコスト及びCo2の削減を目的とした。
 
2.効果
WebExを使っての商談の進行により、週2回、本社があるAustinから見込み顧客がいるSanAntoninoまでの片道80分の訪問を中止した。年間でおよそ6.5トンもの炭素ガスの大気への排出を抑制。
 
 
企業名:日本パレットレンタル
1.グリーンITの取り組みについて、実施内容、目的
パレットのレンタル業務において、RFIDとSOA技術を利用したパレット管理システムを新たに構築し トラックによるパレットの運送業務の効率化を実現してCO2排出量の大幅な削減を図った。
 
2.効果
パレット回収時に発生するCO2排出量の34.1%削減を見込んでいたが、実際には40.6%も削減した。中長期的にみれば配送コストなどにも大きく影響すると想定される。
 
 
企業名:ミクシィ
1.グリーンITの取り組みについて、実施内容、目的
SNS「mixi」とIT系求人情報サイト「Find Job !」で使用している全サーバーの電力量205万キロワ ットに相当する日本自然エネルギー(中央区)から「グリーン電力証書」を購入した。
 
2.効果
自然エネルギーによる発電を委託することで、同社が年間に使用する電力をバイオマス発電、 水力発電、風力発電による自然エネルギーとし、年間約800トンのCO2排出量削減に寄与する(予定)。
 
 
次回も、取り組み事例等を紹介いたします

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筆者紹介

株式会社ビーエスピーソリューションズ

コンサルティンググループ 佐藤陽一

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