グリーンITを考える

第2回 エコの定着とグリーンIT

概要

「グリーンIT」について検討や調査を行なっていますか???
現状では、ハードメーカ等が省電力対策を中心に対策を進めていますが、環境とITの調和を考え様々な対策を考えていく必要があります。 このような状況の中、企業のIT部門としての立場やアウトソーシングセンタとしての立場で、「グリーンIT」に取り組むケースが徐々に増えてきています。
しかし、推進担当に任命された方からは、何から進めたらよいのか、ゴール目標をどのように設定したらよいのかがわからないといったお話を耳にするのも実態です。 このような悩みを解決していくために、サイトの読者の皆さんとともに「グリーンIT」について考える場をご提供いたします。
皆さんが知りたいことや情報提供いただけることなどがありましたら、ご投稿のほどよろしくお願いいたします。

2008年8月31日の朝日新聞「耕論」欄で「どうみるエコブーム」と題して3人の方のご意見がのっていました。それぞれの立場での「エコ」についてのご意見を述べられています。
 
まず、加藤三郎氏(初代環境庁地球環境部長で93年に退官後市民運動に転じ現在はNPO法人環境文明21共同代表)は、この10年間で環境に配慮した行動の広がりがあり、様々なNGO,NPOなどの市民団体が声をあげ、社会に新風を吹き込んだ状態になり、市民に「環境力」がついてきたと述べられています。
 
つぎにコラムニストの中野翠氏は、エコという言葉はすっかり定着し、もはや合言葉といった状態で、二酸化炭素の排出量が少ない方がよいのだから、よほどのへそまがり以外は反対しないだろうし、文句のつけようもない正義であり、善なので、エコブームは基本的にはいいことだと思うと述べられています。ただし、その一方でモヤモヤ感があることも触れられており、「エコ自慢」への違和感や「エコライフ」派の決まり文句である「小さなことの積み重ねが世界を変えていく」に疑問をなげかけ「小さなこと」に自足して「大きなことを」見逃すということを指摘されています。
 
最後に「バカの壁」の著者である養老孟司氏は、最近気になることとして、国民を「省エネ」という精神運動に突き進んで自己規制するような社会は、ストレスがかかって何とも息苦しい状態で、それよりも官僚や政治家が今やるべきことは、国民への説教という楽な道を選ぶことではなく、国際交渉の場で石油の生産調整等の根本的な対策を主張することだとおっしゃっています。
 
3人の方のご意見をまとめた記事では、環境を考えた行動が国民や企業の間でのトレンドになっている家庭生活の場にも浸透していると求められています。その一方、3人の方のご意見にもあるとおり、トレンドやブームではない本気の対策を実施し「エコの定着」をはかることが必要と結んであります。
 
さて、私たちがIT世界でも「エコの定着」をはかっていくために様々な取り組みがされていますが、今回は 企業の経営としての環境対策とそれに対するIT部門の取り組みについて事例をご紹介いたします。 (具体的な社名は、ふせさせていただきます)
 
目次
1.企業グループとしての環境経営目標と効果
2.具体的な成果と活動
3.グリーンIT取り組み状況(キーワードのみ)

1.企業グループとしての環境経営目標と効果

① 環境経営方針
環境保全の目的は、環境負荷が地球の再生能力の範囲内にとどめられた、持続可能な社会を実現することにあります。またそれは、一過性の活動ではなく、継続的な取り組みでなければ実現できません。そして、企業としての継続性のある活動は、その主体である企業の存続、いや成長と発展があってはじめて実現できるものです。そのためには、環境保全活動を通じて、経済的価値を創出していく必要があります。我が社のグループは、環境保全と利益創出の同時実現を「環境経営」と称し、グループを挙げて活動を展開してきました。
 
② 自然の回復力を高める活動
すでに多くのダメージを受けている地球環境が回復するには、私たちの事業や社会の環境負荷を削減するだけでは不十分です。企業の環境保全活動の最終目的は、人間社会の存続に不可欠である、生態系のバランスを回復することであるという考えのもと、とくに生物多様性の高い森林生態系に着目し、NPOや現地社会とのパートナーシップで、その保全や修復に取り組んでいます。
 
③ 環境負荷の削減状況
我が社のグループでは、主要な事業分野を対象に、2007年度に先進国向けの事業による環境負荷(統合環境影響*)を2000年度比で15%削減、2010年度には20%削減するという目標を設定しています。これに対して、製品における含有化学物質削減、省エネ技術の開発による電力消費量削減などが大きく寄与し、2005年度には環境負荷20%削減を達成しました。しかし、2006年度の環境負荷は、前年度比で2.7%増加しました。増加の主な理由は、機器の販売増による資源投入量の増加と、お客様の製品使用時の紙消費量増加によるものです。2007年度と2010年度の環境負荷削減目標は、年率8%以上の事業の拡大を前提にしていることから、目標達成のためには、今後もより一層の削減努力が必要になります。具体的には、再生複写機の販売など資源循環の促進や資源投入量、紙消費量削減のための環境技術開発の強化など、中長期的な取組みを進めていきます。
 

2.具体的な成果と活動

① 地球環境大賞 経済産業大臣賞「長期ビジョンに基づく環境負荷の削減」
「先進国は2050年までに環境負荷を現在の8分の1に低減する必要がある」という認識のもと、同等以上の環境負荷削減を自らの責任としている。この『2050年超長期環境ビジョン』に基づき、長期的な視点で総量・絶対値ベースでの環境負荷削減に取り組む。中でもCO2削減活動では、既存の生産プロセスを根本から見直す「生産プロセスの革新」を中心に取り組みを重ね、環境負荷の20.6%削減(2000年度比)を達成した。
 
② 第11回環境報告書賞 最優秀賞「長期ビジョンに基づく環境負荷の削減」
「グループ環境経営報告書2007」に環境報告書賞<最優秀賞>が贈られることが決まった。 また「2007年度F事業所環境報告書」が8年連続で、最も優秀な環境サイトレポートに与えられる賞を受賞することが決定した。
これは東洋経済新報社が4月3日、第11回環境報告書賞・サステナビリティ報告書賞の審査結果を公表したもの。
我が社のグループは、「PDCA(Plan-Do-Check-Action)の取り組みがきわめて明快な点、特にCO2排出削減について、グループごとに分けて目標設定している点、図表の説明や解説などの工夫がなされている点」などが高く評価され、最優秀賞を獲得した。
 
③ グリーンIT推進協議会に参加
新技術の社会への導入、電子・情報技術の環境への貢献、環境・IT経営の啓発普及

海外のフォーラム等との連携および情報発信による国際的リーダーシップの発揮
省エネ等の効果の高い電子・情報技術の抽出・ロードマップ作成
IT・エレクトロニクス活用による環境負荷低減(CO2排出量削減可能性等)の定量的調査・分析

を目的にグリーンIT推進協議会に加入し活動を実施した。
 

3.グリーンIT取り組み状況(キーワードのみ)

  ① Open系サーバ統合化の推進(Domino、Open系)
  ② 汎用機の統合化推進(販売系、生産系)
  ③ クライアントPC調達一本化と全社統制による
  ④ 台数削減とノートPC化推進
  ⑤ 拠点統合化によるNWルータ削減
  ⑥ サーバ室設備の省エネ化
次回以降は、データセンターでの取り組み事例、グリーンロジステック事例等を紹介いたします。

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筆者紹介

株式会社ビーエスピーソリューションズ

コンサルティンググループ 佐藤陽一

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