JMC ISO20000

第17回 「ISO20000の規格について(17)」を掲載

概要

ITサービスマネジメントシステムの国際規格「ISO20000」を解説するコラム。 要求事項ごとに考慮すべきポイントを交え、スムーズに構築を進めるノウハウをご紹介します。

「ISO20000の規格について(17)」

今回は、解決プロセスの「8.3 問題管理」についてお話したいと思います。

「問題管理」の「問題」とは前回、お話したとおり、「発生したインシデントから
問題となるもの」、また「運用中、サービス提供に影響を及ぼす可能性が
ある問題」と定義していただきました。

要求事項は、「インシデント管理」と同じようなことが要求されており、
「問題」と判断したら、その問題を解決するための手順(記録、分類、更新、エスカレーション、解決、クローズ)を
備えることが求められています。

この要求事項のポイントとしては、「問題」の判断方法を決定することです。

なぜならば、この判断が曖昧だと、「問題管理」がいつまでも発動せず、あやふやな状態で運用されて
しまうからです。

「問題」の判断方法については、例をあげると「運用のチームリーダが問題と判断する」や
「運用会議の中で運用状況を報告し、なにか不具合がったらそれを問題と判断する」といったことです。

皆様の日常業務の中で実施されている「運用の問題点をあげ、対策を考えていく活動」をもとに
判断していくことをお勧めします。

または、この「問題管理」の要求事項を見ていくと、ISO9001やISO27001の「是正処置」/「予防処置」と
同じようなことが要求されております。

いくつか考慮しなければならない点はありますが、ISO9001やISO27001を既に取得している企業であれば、
ISO20000の「問題管理」をISO9001/ISO27001の「是正処置」/「予防処置」で実現することも可能でしょう。

特に注意していただきたい点は、「是正処置」/「予防処置」の対象が、あくまでマネジメントシステムに対する
不適合のみを対象としている場合です。

ISO20000の「問題管理」は、サービス提供にあたっての問題を管理する要求事項であり、企業によっては、
「是正処置」/「予防処置」の動きと異なる可能性があります。

その場合、実際の運用に合わず、業務効率に影響が出てしまう可能性があります。
実運用にあった実現方法を定義するには、冒頭にもありましたとおり、まずは、皆様の実際の活動を
見返していただき、運用業務にあった実現方法を検討ください。

次回は、「9.コントロールプロセス」についてお話します。

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筆者紹介

株式会社JMCリスクソリューションズ 吉岡努

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