JMC ISO20000

第7回 「ISO20000の規格について(7)」を掲載

概要

ITサービスマネジメントシステムの国際規格「ISO20000」を解説するコラム。 要求事項ごとに考慮すべきポイントを交え、スムーズに構築を進めるノウハウをご紹介します。

「ISO20000の規格について(7)」

思いのほか伸び悩んでいるようにも見えますが、
2007年は、なんといっても日本版SOX法(金融商品取引法)への対応が非常に着目され、
そういった意味では、まずまずの取得数といえるのではないでしょうか。

上場企業の内部統制の整備が終わり施行されると、
2007年は、外部委託業者の対象範囲が増え、ISO20000が、また注目を浴びるかもしれません。
それでは、第7回目コラム『6.2サービスの報告』についてです。
前回は、『6.1サービスレベル管理』についてでした。

『6.2サービスの報告』では、社内外にサービスの提供証明と提供状況を報告し、
意思決定を支援するためのコミュニケーションツールとして、
明確な報告書の書式と報告すべき内容が具体的に要求されています。

まず、書式についてですが、以下の内容を明確にする報告書の作成が必要です。

何についての報告かわかるようにする
提出する報告の目的(意図・趣旨)
報告先
データ出典の説明
次に要求されているのが報告する内容です。
報告内容は、以下のとおりです。

サービスレベルの達成状況の報告
サービスレベルの違反、不具合、課題などの報告
負荷状況の報告
重大なイベント後のサービス提供状況の報告
傾向状況の報告
満足度分析の結果の報告
これも、既存で提出されている報告内容を確認いただき、適用できるものがあれば、適用し、
適用できない場合には、別途追記・作成する必要があります。

この中でも、実現方法に工夫と検討が必要なのが、おそらく満足度分析の結果かと思います。

まず、「満足度分析の結果」ですが、ISO20000では、「誰の満足度なのか?」
明確に要求されていないのがポイントです。
これは、サービス提供の環境によって誰に対する満足度なのかを定義することができます。

ただ、通常で考えると対象は以下のとおりになるかと思います。
お客様
利用者
自社
ステークホルダー
サービス提供において、利用者の対応が含まれている場合は、
利用者の満足度というのが妥当になります。
ただし、中には利用者に対するサービスが含まれていない、または利用者が存在しないで、
やり取りは契約担当者のみといった場合、頭を悩ますかもしれません。

サービスの提供が、お客様と1対1である場合、いったい誰の満足度の分析を報告したらいいのか?
ISO20000の規格上、適用除外をすることができないため、何かしらの実現を考えなければなりません。
例えば、自社で決めた社内基準を元にお客様を満足させるサービス提供ができたという
自己の満足度分析の結果を報告することも可能かと思います。
また、複数お客様がいる場合は、複数のお客様満足度アンケートを収集し、
その総合結果の報告でもいいかもしれません

この部分は、実現方法で、かなり苦しくなる場合もあるかと思いますが、可能な限り、
既存の業務に影響を与えない。それでいて、お客様にも喜ばれるような報告内容の実現をお勧めします。
(ここは悩まれるお客様が多く、私も一緒になって考えます)

次回は、『6.3サービス継続性及び可用性管理』についてです。

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筆者紹介

株式会社JMCリスクソリューションズ 吉岡努

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