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目指せ、運用デザイナー!~システム管理者の明日を考える 第7回:付加価値向上
2019年1月23日 11:30

開発と運用の壁。これがさまざまな問題を生む。開発担当者は運用を考えずにシステムをリリースし、足りない部分は「運用でカバー」の一言で運用担当者にナントカさせようとする。そして、たいてい火を吹く。なぜなら、リリース間際に対処しようとしても付け焼き刃の属人的な対応しかできないからだ。この状況、運用も開発も、何よりシステムを使う顧客やユーザも幸せにしない。運用をデザインしよう。この連載では、運用を主体的にデザインし、価値あるITサービスを提供できる人材になるための視点や行動を考えます。

今回は(5)の「付加価値向上」についてです。(クリックで拡大)

1. 価値ある組織に変わるための、3つの取り組み

決められたルーティンオペレーションだけをこなす運用チーム。
もちろんそれも大事ですが、それだけでは価値の高い運用組織とは言えません。ともすれば、コスト扱いされ優秀な人材も集まらない残念な組織に。
運用業務の価値を向上させ、かつ運用組織そのものの認知と価値を高めるにはどうしたらよいか? リーダーは常に考え実践しましょう。

価値ある組織にするために、次の3つの取り組みをしてほしいです。

(1)ナレッジマネジメント
(2)人材育成
(3)業務改善促進

中でもナレッジマネジメントは、組織の成長と付加価値向上の源泉。今回は、ナレッジマネジメントについて解説します。

2. ナレッジマネジメント
~個人の知識を組織の知識に変え、活用できるようにする

ナレッジは、組織の継続的な成長と価値向上のために欠かせない要素です。

ナレッジ:知識・経験・ノウハウ・スキルなど、業務遂行および改善や価値向上に必要な情報。

個々人のナレッジを組織のナレッジに変換し、組織全体で活用して生産性を向上させ、かつ新たな価値創造につなげていく一連の取り組みを知識経営、またはナレッジマネジメントといいます。ナレッジマネジメントで陥りがちな罠、および有効に機能させるためのポイントを5つ紹介します。

(1)必要なナレッジを定義する
(2)ナレッジの収集方法を定義する
(3)ナレッジを収集する
(4)ナレッジを共有する
(5)ナレッジを評価/再評価する

(1)必要なナレッジを定義する

そもそも、その組織にとって必要なナレッジは何か?を定義します。
時間をとって、その組織に必要なナレッジを定義しましょう。次の3つの観点で、ナレッジの要件定義をすると良いでしょう。

①日々の業務を回す上で必要なナレッジ(短期的)
②業務・サービスの価値向上や改善につなげたいナレッジ(中長期的)
③ある一定の期間だけ、意図的に収集したいナレッジ(限定的)

ナレッジデータベースのような、ナレッジマネジメントに特化した大げさなツールを入れるのではなく、通常の業務連絡や報告などで使うことを主眼に置いたコミュニケーションツールを使うのも良いでしょう。最近は、気軽に情報発信できるコミュニケーションツール(Slackなど)も増えています。

ナレッジの定義ができずに思考停止してしまう。そんな、「定義の袋小路」に迷い込み過ぎないようにしましょう。

(2)ナレッジの収集方法を定義する

ナレッジの要件を定義したら、収集方法を決めます。

(例)
・ナレッジデータベースをたてる
・グループウェアを活用する
・Excelに書き留める
・ノートに書く
・ホワイトボードに付箋を貼る
・Slackなどのチャットツールに投稿する

(3)ナレッジを収集する

メンバーがナレッジを発信/登録するモチベーションを上げるための仕組みづくりも大事です。

・表彰制度を設ける
・人事評価の対象とする
・ナレッジに対するフィードバックをする
・閲覧数がわかるようにする
・「いいね!」などのコメントがつくようにする

ナレッジを率先して発信/登録したくなるような、制度設計も考慮しましょう。

(4)ナレッジを共有する

ナレッジはただ単にデータベースに蓄積されていただけでは、価値を生みません。組織内で共有し、利活用されなければ意味がありません。
一定期間経過後、定期的に共有するようにしましょう。

・月1回、ナレッジの棚卸し会を実施して蓄積されたナレッジを全員で眺める
・毎日マネージャーがナレッジデータベースを確認し、「これは全員に知っておいてほしい!」と思ったナレッジをメールやポータルで発信する/朝会や夕会で口頭で共有する

(5)ナレッジを評価/再評価する

ある程度蓄積され、日々共有されるナレッジ。共有されっぱなしでは効果が薄いです。

「半年、あるいは一年経過して、どんなナレッジが個人と組織にたまってきたか?」
「そのナレッジから、どんな傾向が見えるのか?」
「どんな価値向上策や改善策を講じるか?」
「複数のナレッジを組み合わせたら、どんなことがわかるか?」
「自分たちの業務やサービスをより良くするために、さらに、どんなナレッジが必要か?」

このように、ナレッジそのものの良し悪しを評価し、かつ業務やサービスの価値向上につなげるための議論につなげていきましょう。

3.「場」の創造

組織内のナレッジの流通を促すには、「場」の創造が大事。メンバー個人がどんな知識やノウハウを持っているのかを知るコミュニケーションの場、それを交換し合う勉強会やイベントなど。企業でも次のような「場」の創造の取り組みが見られます。

①コミュニケーションコーナーの設置(お菓子コーナー、ソファスペース、運動スペースなど)
⇒業務時間や休憩時間での、何気ない人の出会いと知識の交流を生む「場」

②フリーアドレススペースの設置
⇒「タコツボ化」を防ぎ、毎日異なる人との知識交流が生まれる「場」

③勉強会・事例発表会の実施
⇒個人の知識やノウハウを、組織に還元する「場」

④社内SNS/グループチャット
⇒個人の知識やノウハウを、インターネット(イントラネット)を使って共有するための「場」

⑤読書会/輪読会の実施
⇒課題図書を決め、学びや意見を交換する「場」 新たなナレッジのインプットのきっかけにもなり、個人と組織の成長を促す。

⑥社内報を活用したナレッジ共有

最近では、例えば従来の社員食堂をオシャレな空間にデザインしなおすことで、社員が自発的に集まりやすくし、情報交換をしやすくしている企業も出てきています。
既存の空間や仕組みも、設計次第でナレッジ交流がおこなわれる「場」に変えることは十分可能なのです。

 

次回は、環境セットアップ/風土醸成についてお話します。

 

運用をデザインできる人材は、これからの時代、間違いなく価値ある人材として活躍の場が広がります。

目指せ、運用デザイナー!

人材育成
目指せ、運用デザイナー!~システム管理者の明日を考える
開発と運用の壁。これがさまざまな問題を生む。開発担当者は運用を考えずにシステムをリリースし、足りない部分は「運用でカバー」の一言で運用担当者にナントカさせようとする。そして、たいてい火を吹く。なぜなら、リリース間際に対処しようとしても付け焼き刃の属人的な対応しかできないからだ。この状況、運用も開発も、何よりシステムを使う顧客やユーザも幸せにしない。運用をデザインしよう。この連載では、運用を主体的にデザインし、価値あるITサービスを提供できる人材になるための視点や行動を考えます。
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筆者紹介

沢渡 あまね(さわたり あまね)
1975年生まれ。あまねキャリア工房 代表。業務改善・オフィスコミュニケーション改善士。

日産自動車、NTTデータ、大手製薬会社などを経て、2014年秋より現業。企業の業務プロセスやインターナルコミュニケーション改善の講演・コンサルティング・執筆活動などを行っている。NTTデータでは、ITサービスマネージャーとして社内外のサービスデスクやヘルプデスクの立ち上げ・運用・改善やビジネスプロセスアウトソーシングも手がける。

現在は複数の企業で「働き方見直しプロジェクト」「社内コミュニケーション活性化プロジェクト」「業務改善プロジェクト」のファシリテーター・アドバイザー、および新入社員・中堅社員・管理職の育成も行う。これまで指導した受講生は3,000名以上。趣味はダムめぐり。

【ホームページ】
あまねキャリア工房

【ブログ】
はたらきかた「プチ」改善業務改善娘

【主な著書】
「システムの問題地図」
「職場の問題地図」
「マネージャーの問題地図」
「新人ガール ITIL使って業務プロセス改善します!」
「新入社員と学ぶ オフィスの情報セキュリティ入門」(共著)
「ドラクエに学ぶ チームマネジメント」

【連載】
「運用☆ちゃん」(リクナビNEXTジャーナル)「IT職場あるある」(日経 xTECH)

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