概要
顧客接点改革はビジネス成功のために欠かせない要素です。これは、顧客との全ての接触点で優れた体験を提供することです。デジタル化が進む昨今、オフラインだけでなくオンライン上での接点も重視されます。独自の価値提供や顧客満足度向上を通じて顧客ロイヤルティを高めることが可能です。これは、新規顧客の獲得にも直結します。顧客と深くつながりビジネスの持続可能な成長を実現するための顧客接点改革について、いくつかの場面で解説していきます。
過去数十年で日本の生活者のライフスタイルは大きく変化し、情報収集から消費行動までデジタル化が進みました。事業者にはこれらの変化に対応し、ニーズに合ったサービスを提供することで自社の価値を高める重要性があります。この記事では、その一つの手段としてのWebポータルに焦点を当てて解説します。
Webポータルとは?
Webポータルは、事業者が提供するサービスや製品を生活者に案内するWebサイトのことで、新たな顧客接点としての「玄関口」役割を果たします。具体的な機能は事業者の業種や業務範囲により様々ですが、商品紹介、申し込み手続き、予約、問い合わせ等があります。
事業者がこの顧客接点を改革し、デジタル変革を推進することは顧客満足度やロイヤリティーを高めるための重要な取り組みになっています。
顧客体験を高めるWebポータルが必要とされる背景
過去十数年で、少子高齢化、共働き世帯の増加、退職年齢の引き上げなどの社会環境の変化が生活者のライフスタイルや価値観に大きな影響を及ぼしています。これらの変化は今後も続くと予想されており、それにより生活者のニーズも変化していきます。
社会環境が目まぐるしく変わる中、情報通信技術も進化を続けています。中でも、インターネット通信の高速化、情報処理システムの高度化、デジタル機器の小型化・軽量化といった進化により、パソコンやスマートフォンなどのデジタル機器は生活者にとって、なくてはならないものであり、生活の必需品となりました。
パソコンやスマートフォンの普及に伴い、店頭や窓口で行っていた手続きや購入などはオンラインで行うことが増えています。時間や場所に縛られず、より効率的に事務を遂行したいというニーズが高まっています。そのため、パソコンやスマートフォンで操作が可能なWebポータルが、事業者と生活者の結びつきを強化する重要な手段として認識されています。
Webポータルの効果とは?
Webポータルは、従来であれば店頭に出向いて行ってきた行動をデジタルで体験、つまりWebポータルから行えるようにしています。
デジタル機器を用いて時間を有効に利用でき、必要な対応が容易になることは生活者にとって大きな利便性の向上をもたらします。また、これは事業者を身近に感じさせ、新たな顧客接点を提供し、顧客と事業者とのエンゲージメント(つながりや交流)を深める結果をもたらします。
良いWebポータルは事業者にとってもメリットが大きいものです。それは直接的な対面を必要とせずに顧客との交流を可能とし、その反応に基づいて商品やサービスの質を迅速に向上させることができるからです。
Webポータルの活用は、事業者にとっても業務をスリム化し、戦略的な業務に集中する機会を提供します。これにより、事業者のビジネス発展に多面的に寄与します。
Webポータルの構築に重要なポイント
Webポータル構築は単にWebサイトを作ることではなく、Webポータルを活用した業務と顧客体験を作りあげる点が重要です。Webポータル構築には重要なポイントが2点あります。
1点目は、ビジネスに関連する社内のシステム(販売管理、契約審査、本人性認証、在庫管理等のシステム)との業務面の連携を組み込んだ業務設計をすることです。対象の業務を定め、関連する業務システムと顧客導線を包含して業務フローを作成します。そのうえで顧客接点となるWebポータルの機能、性能、システム間の連携方法などを決めていく手順が重要となります。
2点目は、Webポータルの完成後も、その効果を定期的に確認し、改修を行う必要があります。これには操作性、顧客の経路、アクセス数、業務への影響などの検証が含まれます。これらを分析し、Webポータルを評価して常に改善策を検討し続けることが重要です。
ビジネスは続いていきます。顧客との接点も同じく続いていきます。顧客との大事な接点となるWebポータルをより使い易く進化させていく地道な取り組みも、顧客接点改革には必要不可欠な取り組みとなります。
まとめ
「Webポータル構築に重要なポイントと顧客接点改革」と題して、説明してまいりました。社会環境は今後も変化を続けますが、事業者と生活者の関わりがなくなることはありません。Webポータルは生活者とのコミュニケーションの場であり、事業者の製品やサービスをより良いものとするための新しい顧客接点です。生活者の生活や行動の変化に対応し、事業者の発展が末永く続くために、Webポータル構築を起点にDX推進を考えていきましょう。
連載一覧
筆者紹介
株式会社電通総研 Xイノベーション本部 デジタルエンゲージメントセンター
連結会計パッケージSTRAVISの立ち上げ時からマーケティング・アライアンスを担当し、現在は顧客接点DXソリューションのマーケティングを担当。
参考:顧客接点DX Webサイト
https://crm.dentsusoken.com/
コメント
投稿にはログインしてください