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システム管理者が知って得するDX推進に役立つIoT・AIの技術と運用⑦ 第7回 IoTの未来
2021年11月24日 11:00

 現在、人類がこれまで経験したことのない急激な変化(Society5.0)が訪れようとしており、かつてない大きな社会変革期に私たちは生きています。
 Society5.0は、IoT・AI、ビッグデータ、ロボティクスなどが社会に浸透していくことで、新たなサービスやビジネスが生まれ、我々の生活が大きく変化し、劇的に便利で快適になるというものです。
 今後の20年間の変化は、過去の120年間分の変化に相当するとも言われています。
 それでは、どのような変化がこれから起きていくのでしょうか。
 その変化に欠かせないIoT技術が普及していくことによって、どんな未来が待っているのか。企業の取り組み事例をご紹介しながら解説していきます。

 

スマートフォンの登場で起きた革命

 十数年前、アップルがiPhoneを発売しました。
 それ以前では、携帯を開いて調べたいものをすぐ調べたり、マップ上で検索することなどもできませんでした。しかし、iPhoneはそれらを可能にし、まさに革命が起きたと言われました。
 現在はiPhoneをはじめとしたスマートフォンが普及し、多くのことがスマートフォンでできるようになりました。動画で様々な情報を得ることも可能になり、音楽プレーヤー、コミュニケーション、スケジュール管理、健康管理、ECなど、仕事もスマートフォンで完結できる時代となり、人々の生活にはなくてはならないものとなりました。

 スマートフォンには多くのセンサーが搭載されており、インターネットを通じて多くのことをこなすことができます。IoTの技術がそれを可能にしています。
 現在は5Gのスマートフォンが発売されており、今後普及していくことでレイテンシの問題も解消され、より便利になると言われています。
 5Gの普及で、個人による動画のやりとりは今後急速に増加して当たり前となり、多くの人がスマートフォンで動画による情報発信を行う時代になります。それを可能とするのもIoT技術です。
 5Gは、現在の3G・4Gの次の通信方式になります。現在よりも通信速度が100倍、容量が1000倍と言われています。データ伝送の遅延はありますが、人間が気にならない程度のレベルですので、自動運転車はもちろんのこと、遠隔手術も可能なレベルとなり従来抱えていた課題は解消されていくことになります。
 これから、スマートフォン上で新しいサービスがこれまで以上に出てくることが予測されます。人々の生活はより効率的になり、便利になることでしょう。

<レイテンシ>
レイテンシとは、データ転送における指標のひとつで、転送要求を出してから実際にデータが送られてくるまでに生じる、通信の遅延時間のこと
https://www.idcf.jp/words/latency.html

 

未来都市の建設

 現在、トヨタ自動車はウーブンシティ(スマートシティー)の建設を進めています。
 静岡県裾野市のトヨタ自動車の東富士工場跡地に建設中で、敷地面積は70万㎡(東京ディズニーランドの約1.5倍)になります。
 ここでの取り組みは、CASE(コネクテッド、自動運転、シェアリング、電動化)による環境変化に備えて、この街で技術やサービスの開発と実証のサイクルを素早く回すことで、新たな価値やビジネスモデルを生み出し続けることを目的としています。このウーブンシティーでは、自動運転、Mobility as a Service(MaaS)、パーソナルモビリティー、ロボット、スマートホーム、AI・IoTの技術検証が行われます。


https://global.toyota/jp/newsroom/corporate/34527255.html


https://www.facebook.com/WovenCity.JP/photos/?ref=page_internal

<概要>
自動運転車、ロボット、住宅、スマートフォンなど、多くのものがインターネットと繋がり、人々の生活がより便利になります。様々なセンサーから得られたデータを解析し、より最適なサービスを提供する「ヒト中心の街」「実証実験の街」「Woven City」を目指す。
最初は、子育て世帯から高齢者まで、トヨタ社員を中心に360人程度が入居し、将来的には2,000人規模にまでなる予定、事業の主体になるのは、ウーブン・プラネット・ホールディングス、都市設計は、デンマーク出身の建築家ビャルケ・インゲルスが手掛ける。
(Wikiより)https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%A6%E3%83%BC%E3%83%96%E3%83%B3%E3%83%BB%E3%82%B7%E3%83%86%E3%82%A3

<Maas>
「Mobility as a Service(モビリティ・アズ・ア・サービス)」の略称で、鉄道・バス・タクシー・旅客船・旅客機・カーシェア・シェアサイクルなど複数の交通機関のサービスをひとつのサービスとして結び付け、人々の移動を大きく変える概念
https://www.tmj.jp/column/column_13442/

 

 トヨタ自動車が得意としている改善活動を繰り返しながら、よりレベルの高いスマートシティーを構築していくと考えられています。その街の姿は、まさにIoTの未来と言うことができます。
 街は自動運転車が走り、公共交通等がIoT技術でインターネットに繋がり、人々は効率よく移動することが可能となります。街自体がより効率よくデザインされ、治安も向上していくことでしょう。
移動だけではなく、多くのものがインターネットに繋がり、我々の常識が大きく変わっていきます。
どのようにデジタルとの融合が進められていくのか非常に興味深い取り組みです。

 

全ての産業で進むIoT

 IoTの未来は、ビジネス、教育、医療、農業、漁業、などすべての産業において導入が進んでいくことになります。
 製造業においては、製造現場の状況把握、そして自動化が図られます。医療においては、遠隔診療、遠隔手術が可能になります。教育の現場では、リアルと遠隔のハイブリッドで、より効率的で学習効果の高い教育が実現します。
 その他の産業においても、IoTの技術で最適化が進んでいくことになります。

 農業の世界においてもIoTの技術で自動化が進んでいきます。
 現在、後継者難で事業承継の問題を抱えている農家は多く、そのほとんどが生産性の観点からも課題を抱えています。IoTの技術を使うことによってビニールハウスでの野菜の栽培は遠隔で状況把握が可能となりますし、収穫のタイミングを知ることができるようになります。また収穫にはロボットが生産物に傷をつけずに掴み取ることが可能となってきていますので、人の負担が大きく減ることになります。
 新規就農者にとっても、IoTの技術を活用することで、効率的に生産をしていくことが可能となります。

 また、ビジネスモデルを見直す機会が増えている昨今、サブスクリプションやシェアリングエコノミーなどの新しいサービスを導入する企業が増えています。近い将来、所有から共有へと価値観が変わっていきます。自動車や自転車などが既にサービス化されていますが、今後は様々なものがこの新しい考え方でサービス化されていくことが予測されます。そのサービスを展開する上でもIoTの技術が欠かせません。

 

IoTのパッケージ化で導入障壁が大幅に低下

 最近は、IoTのパッケージサービスをサブスクリプションの形で提供する企業が出てきています。必要となるセンサーも数種類提供され、それぞれのパーツを繋ぎあわせるだけでIoT環境の構築が可能になっています。
 身近な例ですと、コロナ感染症対策によるCO2濃度の測定とアラート通知、小売店における来客を知らせるための仕組み、農業でのビニールハウスにおける温度湿度等の管理について使われています。
 ついこの前までは、こうした仕組みを構築するのに、自らセンサーを購入してラズベリーパイなどを使って構築をしていくか、またはそのような専門家にお願いをして実証実験も兼ねて実施をしていくことが主でした。
 しかし、こうしたサービスが出てきたことで、気軽にIoT環境の構築が可能となってきています。
 これは、金銭、手間の両面において、ハードルが低くなっているといえます。
 今後は、企業だけではなく個人でもIoT環境の構築が簡単にできるようになり、急速に普及していくものと考えています。

 

ノーコード・ローコードの普及

 ノーコード・ローコードの活用も今後普及して広がっていくものと考えられます
IDC Japanでは、2024年までに従業員1,000人以上の企業において、従業員の30%がノーコード・ローコードプラットフォームを活用してアプリケーションの開発や業務の自動化を担うようになると予測しています。
 さまざまな職種の従業員によって開発が行えるようになることを、“開発の民主化”と言います。
基本的な知識さえあれば誰でも既存のツールを使いながら環境を構築していくことが可能となってきています。
 AIモデル構築においても、データさえあれば簡単に行えるようになってきています。
 難度の高いものはやはりプログラミングをしていくことが必要だと考えられますが、簡単なものであれば、ノーコードツールで個人でも簡単にモデルを組むことが可能です。
 先程のIoTのパッケージサービスとノーコードのAIモデル構築を試みれば、個人であっても、簡単なものであればシステム構築が可能です。
 従って、今後は個人による新しいサービスがたくさん出てくると考えられます。

 

IoT普及のために必要なこと

 今後は、企業または社会における課題を解決していくために、上述の安価なツールを使うことが増えていくでしょう。
 IoT環境を構築するハードルが下がりつつある現在、重要なのはアイデア出しと行動力になります。
 どんなに良いアイデアを思いついたとしても、行動力がなければ世の中の課題を解決していく事はできません。
 「準備中です」と、準備ができるまで行動を起こさない人が多くいますが、準備万端にしたから必ず成功するわけではありません。今日のような変化の激しい時代は、まず行動を起こし、スモールスタートをしていくというのが非常に重要なことだと私は考えています。

 とにかく小さく始めて、素早く改良を重ねて大きくしていくというアジャイル方式で、様々なアイデアを具現化していきましょう。失敗をしたとしても傷口が大きくなる前に止めれば大きな影響はありません。
 スピード感を持ち実行していくことで、成功する確率が格段に高くなります。

 IoT普及には、そうした人財が増えていくことが不可欠です。しかし、今後は人財が大幅に不足すると言われていますので、早急に人財育成を行い、それぞれの環境で推進していけるように展開を図っていかなければなりません。

スキルアップ
システム管理者が知って得するDX推進に役立つIoT・AIの技術と運用⑦
企業経営が一層デジタル化を推し進め、デジタル・トランスフォーメーション(DX推進)で新規事業開発や生産性向上を現場で推し進める中、システム全体の中でIoTやAIなどのテクノロジーをどのようにマネージしていけばよいかが問われています。その役割を担うシステム管理者が知っておいたほうが得するIoT・AIの技術と運用についてIoT検定制度委員会が認定するIoTプロフェッショナル・コーディネーターがそれぞれの分野の技術をレクチャーします。 コラムに参加する著者が執筆したIoTの教科書はこちら。 amzn.to/3sfq8YZ
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筆者紹介

大石 光宏(おおいし みつひろ)
事業再生・承継、M&A、DX推進で多くの企業価値向上に貢献。IT企業のエグゼグティブアドバイザー就任や、行財政改革、都市計画など、自治体の審議会委員を複数務めるなど幅広く活躍。近年は特に、持続可能な企業にする為のDX(IoT・AI)ビジネス推進に力を入れ、総合的な企業支援を行う。
中小企業の事業承継にはDXの取り組みが必須である。単なるIT化ではなく、ビジネスモデルを見直し、新しい考え方を取り入れた事業運営を試みることが重要で、その支援には評価を得ている。
M&S Innovation Consulting 代表。
主な著書
「図解即戦力 IoTのしくみと技術がこれ1冊でしっかりわかる教科書IoT検定パワーユーザー対応版」(共著:技術評論社)

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回答数:22019年11月12日

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