日本を支えるシステム管理者の君へ -山崎製パン 石毛 幾雄-

第3回 システム管理者の仕事の本質

概要

日本を支えるシステム管理者の方へ、システム管理者の会推進委員より熱いメッセージを送るリレーコラムです。

「システム管理者の会」の推進委員を務めております、山崎製パンの石毛でございます。今回、こちらのコラムを担当する機会を頂きましたので、システム管理者の仕事の本質と題しまして、所感を綴りたいと思います。

企業を運営するにあたっては、ヒト・モノ・カネ・情報の四つの経営資源が存在しますが、その中で情報の占める割合は、日々高まり続けています。この情報を、企業内で中心となって取り扱っているのが、システム部門でありシステム管理者であるわけですが、そもそも情報とは一体何でしょうか。

例えば、パソコンの中に様々なデータが入っているとします。このパソコンに格納されたデータそのものを情報と呼ぶこともありますが、それだけでは情報と呼ぶには不十分だと考えます。データは、人が知ることで初めて、情報になるのではないでしょうか。そして、その情報を源に人は思索、判断し、次の行動に移ります。企業の活動はこの繰り返しで成り立っており、情報無くしては、企業活動は成立しません。そう考えると、システム管理者にとって、データの入手方法や出力方法を工夫することが、重要な責務となります。いかに価値のあるデータを収集し、利用者に対して有益な情報として提供するか。システムが保有しているデータの見せ方や、取り出し易さを考慮するなど、システム管理者にはただデータ処理を行うだけではない、それ以上の力量が求められます。

また情報は、それ自体単独では存在し得ません。ヒトやモノやカネに、何らかの動きがあったとき(あるいはなかったとき)に、情報は発生します。そして情報は、ヒトとヒト、ヒトとモノ、ヒトとカネを繋ぐ存在です。つまり、情報を処理するということは、間接的にヒトやモノやカネを扱っていることになります。システムを運用しているとどうしても見落としがちになってしまいますが、システム管理者には、扱っている情報の内容を理解することも大切な素養です。自分の処理している情報は、いつ必要なのか、どこに向けて発信されているのか、どういった意味を持っているのか、などを知ることで、システム管理者としての技能が高まります。

コンピュータと呼ばれる機器が誕生してから数十年、機械のデータ処理容量は日進月歩の世界ですが、人間の脳の容量はここ数万年変わっていません。巷にどれほど多くの情報が溢れていても、一人の人間が捌ける情報量には限りがあります。そこで、情報処理の専門家であるシステム管理者の出番となりますが、毎日、毎月、毎年、同じ作業を行っているだけでは、システム管理者がシステムの一部になってしまいます。システム管理者にとっての仕事の本質は、現行のシステムに創意工夫を加え、より利便性の高いシステムを構築することではないでしょうか。

 

最後になりましたが「システム管理者の会」では、将来システム管理者を目指す若い方が憧れる様な、ポジションやキャリアの創造などを目標に、活動を行っております。当会が主催する講座やセミナーを通じて、新しい人材が生まれてくることを願って止みません。

 

 

山崎製パン株式会社 計算センター 室長 石毛 幾雄

 

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筆者紹介

石毛 幾雄(いしげ いくお)
山崎製パン株式会社 計算センター 室長
1977年、山崎製パンに入社。工場や本社経理本部などでの勤務経験を生かし、生産や販売、経理システムといった基幹システムの再構築などに携わる。現在は、関連会社であるデイリーヤマザキの新システム導入の指揮を執っている。将来を見据えた戦略眼で、トップメーカーのシステム部門を牽引する。

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