「運用ゲンジン」が提供する「運用設計のポイントと管理ドキュメント」

【第23回】 運用環境を知ることが運用をよく(制)する!!

概要

2005年10月から2006年3月に、システム管理者の会サイトの前進である”カイゼン活かす”サイトに掲載され、その後も根強い利用がある「運用規約、運用設計書」の筆者である「運用ゲンジン」ことITシステム運用コンサルタント沢田典夫氏のコーナーが復活します。今回は、より具体的な内容で運用設計のポイント、運用の管理項目とプロセス、運用設計基準書内容等について、テンプレートを多数公開していただきます。
皆さんの運用カイゼンにお役立てください。

アットいうまに今年も終わりになってしましました。恒例ですがみなさんにとって今年はどんな年でしたか?私にとっては寂しいかないい思い出は出てこず、激動と不景気の言葉しかでてきませんでした(泣)来年こそは景気も回復し、明るく活気のある年であってほしいと願うばかりです。

 

 

さて、今回は外注管理、機器・設備管理、入・退出管理、運用環境管理と新しいシリーズでの運用管理と設計ポイントのまとめに入ります。運用環境管理は余り聞かない管理かも知れませんが、今ではみなさんが普段何気なくやっていらっしゃる管理だと思いますし、ほとんどはインフラでの管理に集約してしまってることが多いかと思います。 昔の運用と今の大きな違いはこの管理であり、この管理が運用からインフラに移ってから運用の権限が低下し始めたきっかけでもあります。運用管理が定義され始めたころは自動化や運用ツールもまだそれほど多くはなく、それらが出てくるとツール類の運用設計したことは標準化や決め事、操作などに埋もれていたためで、本来は管理として定義されるべきことだと思います。

 

 

環境としては大きくシステム環境、業務環境とありますが、その環境を使って運用が作業を行う場合に、使用する運用ツール(※)や運用の連携の仕組み、運用ライブラリ、またそれらの管理処理やマクロ機能など、それらの取り決め事項や条件・制約などによって作業をされてると思いますし、それらを私は運用環境管理として分類しています。その状態によって作業も大きく変わるため、本来は運用・作業する立場で管理すべきことですし、運用ツールやカラクリを知ることが運用を効率化できることはみなさんが一番よくご存知のはずですので、是非今後は運用管理で運用環境管理を考えて整理することをお勧めいたします。
   
(※)運用ツール:監視、スケジューラ、データ収集、帳票管理、ログ、バックアップ、セキュリティなど

 

運用管理体系

掲載資料①

外注管理

掲載資料②

掲載資料③

外注管理のワンポイント

  • 外注への依頼作業範囲、作業事項、作業内容、責任範囲を明確に
  • 指示や引継ぎは必ずドキュメントで相互確認
  • 新規・変更作業の周知・訓練期間を十分に
  • 指示書、手順書、マニュアルの最新化
  • 指示書、手順書、マニュアルの不備によるミスの責任は依頼側にあると思え
  • 外注と社員との役割を明確に
  • 運用改善が積極的に行える環境や風土作り
  • 定期的なトラブルや問い合わせ対応の訓練
  • キャリアパスによる評価制度

機器・設備管理

掲載資料④

掲載資料⑤

機器・設備管理のワンポイント

  • 最初はしっかりしているドキュメントも時間が経てば使えないドキュメントに
  • 機器・設備などはインフラが受け持つことが多いが、業務やシステム別に開発が受け持つ場合は運用側で全体を管理
  • ちょっとした動きの変化に気づいたら早期に情報を仕入れ、管理情報の変更漏れがないように指示や行動
  • 環境類のドキュメントの変更部署、変更者を明確に

入・退出管理

掲載資料⑥

掲載資料⑦

入・退出管理のワンポイント

  • 入・退出でのルールはセキュリティーポリシーの基に
  • 作業や行動は役割や権限に基づいて取り決め
  • 全ての作業を情報漏洩の可能性で検証し改善
  • 定期的な情報漏洩想定訓練の実施

 

運用環境管理

掲載資料⑧

掲載資料⑨

運用環境管理のワンポイント

  • インフラおよび実績管理との役割線引き
  • 運用環境は効率化や運用が作業しやすいよう、運用が中心になって管理すべし
  • 日々の運用作業をより運用ツールの活用で効率化と信頼性向上に結びつける改善を
  • 様々なログはただ収集するだけでなく、実態を把握しより効率化するために分析・周知、また、運用設計に役立てる
  • 運用ツールの一日の動きと運用作業が明示されたタイムチャートを用意

 

本年はシステム管理者のみなさんには大変お世話になりました。来年もよろしくお願い申し上げます。みなさまのご健康とご多幸をお祈りいたしております。また年明け、元気にお会いいたしましょう。

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筆者紹介

沢田 典夫(さわだ のりお)

1951年生まれ。運用との出会いは某銀行でのオペレータに始まり、7年間富士通 フィールドSEとして多くのメインフレームの導入の企画提案、移行、OS試験、環 境設計や構築~チューニング、また業務システム開発などを手掛ける。また、某大手 トレーディングスタンプ会社で13年間、コンピュータの導入、業務システムの開発 (物流・販売・財務・経営)および運用を行い、この時に開発の標準化、自動運転環境構築、運用設計や運用改善、また、運用ツールの開発などを手掛け、運用の基盤を 確立する。その後BSP一期生として入社し、運用診断や運用企画、また、運用設計 を重視した運用ツールの導入などを行い、コンサル事業の基盤作りを行う。その後運用コンサルとして独立し、これまでの経験を生かし、運用する人の立場に立ち、ま た、運用改善は永遠のテーマを掲げ、16年間一匹狼で運用と向き合ってきました。

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