エンジニアの羅針盤 - 技術と実践の探求

第5回 スクラムマスターになろう!【Certified ScrumMaster®】

概要

この連載コラム「エンジニアの羅針盤 – 技術と実践の探求」では、変化の激しいIT業界において、エンジニアが日々の業務で直面する様々な課題や、より効率的かつ高品質な開発を実現するための知見を幅広く共有します。アジャイル開発やDevOpsといった開発手法から、データ基盤、セキュリティ、テスト、生産性向上まで、現場で培われた実践的なノウハウ、最新技術の活用事例、そしてキャリアパスまで、多岐にわたるテーマを深掘りしていきます。読者の皆様が自身の技術力を高め、より良い開発を実現するための一助となれば幸いです。

こんにちは!

私が所属する部門では、主にアジャイル開発の手法でプロジェクトを進めることがほとんどです。アジャイル開発における重要な役割の一つに「スクラムマスター」があります。この役割についての理解を深めるため、この度「Certified ScrumMaster Scrum Alliance認定スクラムマスター研修」を受講し、「Scrum Alliance認定Certified ScrumMaster®(CSM®)」の資格を取得しました!

アジャイル開発やスクラムについて興味がある方にとって、本レポートが参考になれば幸いです。

目次
講座・試験概要
受講・受験の経緯
4日間の研修内容ハイライト
試験について
受講した感想と学び
まとめ

講座・試験概要

Certified ScrumMaster Scram Alliance認定スクラムマスター研修

概要

スクラムマスターについての基本的な理論を学習し、またそれに基づいた演習を行うことによって効率的なスクラムの運用方法を身につけることができます。また、これらの講義は海外のScrum Alliance認定スクラムトレーナー(CST)によって行われます。

受講方式

受講はZoomを利用したオンラインでの受講になります。また、海外の講師のよる英語での講義になりますが、通訳によるリアルタイム通訳によって日本語でも受講が可能です。

日程

年に数回開催されています。私が受講したのは2024/07/16 – 2024/07/19 の4日間で、時間は8:00 – 12:00でした。実際の開催スケジュールはこちらをご確認ください。

 

Scrum Alliance認定Certified ScrumMaster®

概要

米Scrum Alliance社が認定団体である、アジャイルプロジェクト管理手法、スクラムの基本的な理解と実践能力を証明する資格です。スクラム関連の認定資格としては高い知名度を誇る資格になります。資格有効期限は2年間で、期限切れの際はScrumについて幾らかの取り組みを行うことで更新が可能です。

試験方式

試験は上記の講義とセットになっており、全ての講義内容が完了した後オンラインでの受験となります。試験時間は120分間で、全問選択式になります。私が受けた際は全50問で、37問以上正答で合格のようでした。

なぜこの試験に挑戦したのか?

主な動機は2つありました。

1.午前Ⅰ試験の免除: 前年度に応用情報技術者試験に合格していたため、高度区分の午前Ⅰ試験が免除される権利がありました。「使わないともったいない!」というのが一番の理由です。

2.実務に役立つ知識: 普段の業務でSQLやテーブル設計、パフォーマンスチューニングなど、データベースに関する業務に携わることが多いため、自分のスキルに自信を持ちたいと考えていました。

 

受講・受験の経緯

現在、私たちの組織では「人材育成の強化」に取り組んでおり、その一環として「プロジェクトマネジメント(PM)・プロジェクトリーダー(PL)を担う人材の育成」という目標があります。

スクラムにおけるPM・PLの役割を担うのは「スクラムマスター」であるため、この目標達成のために外部研修の受講と資格取得を目指すことになりました。

また、以前に組織の先輩が同資格を取得しており、今回はより若いメンバーが体系的な知識を習得することになり、私が受講させていただく運びとなりました。

 

4日間の研修内容ハイライト

今回の研修は4日間にわたり、座学と実践的なグループ演習を組み合わせながら進行しました。

1日目:アジャイルとスクラムの基礎

アジャイル開発およびスクラムの基本的な概念を学習。受講者でグループに分かれ、模擬プロジェクトのテーマ(開発するソフトウェア)を設定する演習を行いました。

  • 主な内容: スクラムの概要、スクラムイベント、プロダクトゴール・プロダクトロードマップ、アジャイルソフトウェア開発宣言など

2日目:プロジェクト開始に必要な知識

スクラムプロジェクトを開始するために必要な知識を習得。

  • 主な内容: プロダクトバックログ・スプリントバックログ、ユーザーストーリー、スクラムマスターのファシリテーション方法など

  • 演習: 1日目に決めたソフトウェアのロダクトバックログを作成し、ユーザーストーリーに分解する作業を実施しました。

3日目:スクラムイベントの深掘り(計画〜実行)

スプリントプランニングからデイリースクラムまでの、主に「計画」と「実行」に関わるスクラムイベントを深掘りしました。

  • 主な内容: スプリントプランニング、見積ポーカー、デイリースクラム、バーンダウンチャートなど

  • 演習: 作成したバックログをスプリントに分け、「見積ポーカー」を使って実際に見積もりを行いました。

4日目:スクラムイベントの深掘り(確認〜改善)と組織導入

最終日は、残りのスクラムイベントと、企業でスクラムを導入するための考え方について学びました。

  • 主な内容: スプリントレビュー、スプリントレトロスペクティブ、企業でのスクラム導入、スクラムオブスクラムズなど

  • 演習: これまでの演習内容を成果物として、「スプリントレトロスペクティブ」の形式で振り返りを行いました。

 

試験について

講義終了後、すぐにScrum Allianceからメールが届き、アカウント登録とオンライン試験の案内がありました。私は講義の熱が冷めないうちにすぐ受験。特に集中的な試験勉強はせず、テキストを軽く見直す程度で臨みました。

結果は50問中47問正答で見事合格!

試験内容は、スクラムの知識に関する問題と、「スクラムを進める上で最適な対応は何か」という実践的な判断を問う問題が主でした。講義内容をしっかりと覚えていれば、十分合格できる難易度かと思います。

 

受講した感想と学び

良かった点

  • 実践的な演習: 実際のスクラムプロジェクトに見立てた演習があったため、座学で教わったことをすぐに実践し、体感的に身につけることができたのが最大の収穫でした。

  • 即座の疑問解消: スクラムに精通した講師の方に、演習で生じた疑問や「スクラムとして正しい進め方」をその場で質問し、解決できた点は非常に価値がありました。

  • 経験の補正: 普段の業務でスクラムを進めている私にとっては、自身の経験則で進めていたやり方と、今回の講義で学んだ「正統なスクラム」の進め方との違いを明確に理解し、補正できた点が非常に役立ちました。

留意点

  • 同時通訳の日本語が、時折ニュアンスからわずかに離れていることがあり、元の英語を想像して意味を補完する必要が多少ありました。

  • 受講料は高額ですが、会社からの支援で受けさせていただけたのは幸運でした。

 

まとめ

今回、「Certified ScrumMaster Scrum Alliance認定スクラムマスター研修」を受講し、**Scrum Alliance認定Certified ScrumMaster®(CSM®)**を取得したことは、トータルで考えても非常に有益でした。

これまでプロジェクトを「経験則」で進めていた部分がありましたが、今回の講義でスクラムの原則としてはそぐわない部分がいくつか明確になりました。まずはこの「ズレ」を修正し、学んだ知識を活かして、より効果的で正しいスクラムの実践を目指していきたいと思います。

最後までお読みいただき、ありがとうございました!

 

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