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ITIL®を活用した情報システム部門の働き方改革 第4回:KPIを活用した「働き方改革」の効果の測定方法と継続的改善のススメ
2019年1月9日 11:30

インシデント管理による、品質や生産性向上をどのように行っていくのか?

前回は、「働き方改革」の実現に向けたインシデントと問題管理の「活動」についてお話ししました。
今回は、実際にシステム運用やITサービスの品質と生産性の向上のための手法と継続的改善についてお話ししたいと思います。

品質とは?

さて、品質とはなんでしょうか?パッと聞かれてもすぐには答えにくいテーマですよね。

一般的には、品質とは具体的な「物」として存在するわけではなく「概念」です。
「測定」という行為によって、なんらかの測定値に置き換えて認識する必要があります。つまり、品質を論じるには、本来、測定とセットでなければならない、とも言われています。

ご参考:ソフトウェア品質ISO9126-1では、利用時の品質を次の4つの特性に分類しています。

有効性
[外部品質]
利用者が指定された利用の状況で、正確かつ完全に、指定された目標を達成できるソフトウェア製品の能力のこと。
生産性
[内部品質]
[外部品質]
利用者が指定された利用の状況で、達成すべき有効性に対応して、適切な量の資源を使うことができるソフトウェア製品の能力のこと。資源には、作業を完了するまでの時間、利用者の労力、材料または使用した費用を含めることができる。「人的資源」に関する効率性を含む。
安全性
[内部品質]
[外部品質]
利用者が指定された利用の状況で、人、事業、ソフトウェア、財産または環境への害に対して、容認できるリスクの水準を達成するためのソフトウェア製品の能力のこと。リスクは一般に、機能性(セキュリティを含む)、信頼性、使用性または保守性の欠陥の結果を指す。
満足性
[外部品質]
指定された利用の状況で、利用者を満足させるソフトウェア製品の能力のこと。
一般に、製品を対話的に利用したときの利用者の反応を指す。

難しい表現ですね。
やはり、何かで測定する必要がありそうです。

KPI(重要業績評価指標)の考え方

ここでKPIについて考えてみましょう。KPI:Key Performance Indicator 重要業績評価指標と言われます。いろいろな考え方がありますが、KPIを目標値と勘違いしていませんか?
本来、KPIは指標であり、目標値ではありません。(階層構造になっている場合は除きますが)
KPIは、KGI/CSF/KPIフレームワークの一部として考えると理解しやすいと思います。

各用語の定義は、

KGI: Key Goal Indicator (達成目標)
CSF: Critical Success Factor (重要成功要因)
KPI: Key Performance Indicator (重要業績評価指標)

になります。

つまり、ゴール(KGI)を定め、どのようにしたらゴールに届くのか(CSF)その達成度を測定する指標は何か(KPI)となります。

例を挙げてみましょう。

皆さまはインシデント、問題管理の成果(品質)をどのように捉えていますか?

・インシデントを減らすことでしょうか
・それとも、問題の発生件数を減らすことでしょうか。

どちらも正解です。
しかし、インシデントと問題の件数は減っても、重大障害が発生したり、1件の対応に時間がかかってしまっては、顧客満足度は向上しないのではないでしょうか。

例えば、「品質」の考え方の一例として、顧客満足度という定性的な指標を高めるための施策として、ITサービスの提供における定量的な指標と関連付けて考えるとよいでしょう。

以下は階層構造の例です。(クリックして拡大)

仮説を立ててみましょう。

顧客満足度を上げるにはどうすればよいでしょうか?
サービスデスクの場合、インシデントの件数はそれほど増減がないかもしれません。
しかし、対応時間を短くしてみてはどうでしょうか。
利用者はサービスデスクに電話する時は、早く解決してほしいと思っています。つまり、件数ではなく、解決時間を短くすることが重要になります。これがCSFになります。

CSFを具体的に考えると、過去のFAQやワークアラウンド(WA:回避策)を活用することで対応時間を短くすることができます。まさにインシデント活動ですね。FAQやWAの整備は問題管理プロセスの役割ですから、まさにインシデント管理と問題管理の活動として、KPIを測定し、評価していくことになります。

KGI: 顧客満足度(数値目標)
CSF: 過去のFAQやWAの整備と有効利用できる仕組みの構築
KPI1: FAQ、WAの利用率(利用率の向上)
KPI2: FAQ、WAの整備状況(件数の増加、整備率)
KPI3: 対応時間(短縮できているか、平均値や、外れ値はないか)

継続的な改善のために

継続的な改善やPDCAサイクル、よく聞く言葉ですね。
サービス提供においては、継続的に改善していかなければ、相対的な評価は低下し利用者は離れていってしまいます。
継続的な改善のためには、何らかの指標(KPI)によるBefore/Afterの測定と評価が必要です。それによって、前述した品質に必要な測定が可能になります。KGI/CSF/KPIフレームワークを活用することで、継続的な改善を実現することができます。ぜひ、皆さまもアプローチしてみてはいかがでしょうか。(クリックして拡大)

皆さまの「働き方改革」改善の一助になれば幸いです。

次回は、継続的改善の具体例をお話いたします。

ITSM/ITIL
ITIL®を活用した情報システム部門の働き方改革
デジタルトランスフォーメーション、AI、RPA、IoTなどに取り組む企業が増えており、同時にIT人材の需要は増え続けています。しかしながら、肝心なIT人材が増えているかというとそうではなく、人手不足に陥っている企業は少なくありません。 身を粉にして働くことも時には必要ですが、私はバランスが重要ではないかと思います。 昨今、世間で話題の「働き方改革」というキーワードがありますが、一番必要なのは、まさにITに関わる方々なのではないでしょうか。この連載では、『ITIL®を活用したIT人材の「働き方改革」』のテーマに対し、筆者の独断と偏見で追究していきたいと思います。
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筆者紹介

株式会社ビーエスピーソリューションズ
DX推進部 デジタルサービス推進グループ
黒澤 亮祐

ITサービスマネジメントのフレームワーク「ITIL®」を活用した業務改革のコンサルタント。

「ITIL®」と業務改革手法を活用し、IT部門や製造業における組織横断でのITサービス提供・管理プロセスの全体最適化、ツール共通化などの支援実績あり。
その他、新入社員向けシステム運用研修や運用の業務改革(BPR)セミナー、要件ヒアリングセミナー、ISO20000を活用した幹部候補生の育成など幅広い講師やファシリテーターを担当。

開発担当、運用担当、サプライヤなど、多くのステークホルダーの利害関係を一致させ、事業貢献に向けて業務改革支援に携わっている。

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