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ITIL®を活用した情報システム部門の働き方改革 第3回:「働き方改革」とインシデント管理
2018年11月28日 14:00

働き方改革の一つの観点として、生産性の向上が挙げられます。
そこで、生産性の向上を実現する、身近なアプローチとしてインシデント管理があります。
インシデント「管理」を行い、発生したインシデントを効率的に解決し、リードタイムを短縮することによって、利用者とサービス提供者側の生産性の向上を実現することができるのではないでしょうか。

インシデント管理は、生産性向上のための永遠のテーマ

ITサービスマネジメントの中で、最もポピュラーなプロセスはインシデント管理ではないでしょうか。
適切なインシデント管理は、サービスの品質やサービス提供における組織の成熟度を高める、大変重要なプロセスであると言えます。

これまでもこれからも、改善に向けた議論がなされていくでしょう。サービスは生き物であり、時代の変化によってインシデントも変化します。昔はクラウドのインシデントなんてありませんでしたよね!

おそらく、皆さまの会社でもインシデント管理を行っていると思います。インシデント管理は有効に機能していますでしょうか。なんらかの成果が出ていますか?
もし、課題があるとしたら、いま一度考え直してみませんか?

インシデント管理と問題管理

古来、ITILの功績の一つは、「インシデント管理」と「問題管理」を分けたことと言われています。これは何を意味しているのでしょうか。
本来、インシデントとは分かりやすく言うと「利用者が困っているさまざまな事象」、問題とは「インシデントを発生させる根本原因」と定義されています。

実際の皆さまの管理手法はその通りになっていますか?よく見受けられるのが、インシデントの根本原因が解決していないので、そのインシデントがクローズできない、という意見です。本当にそうでしょうか?
実はこれは勘違いなのです。

インシデント管理の目的とは?

インシデント「管理」の本来の目的とは、何を管理し、何を改善・解決したいということでしょうか。
本来の目的は、「利用者が困っている事象の解消」をいかに早く効率的に実現するかです。つまり、ITが使えない時間を最小化し、生産性を向上させること!です。
件数を減らすという意見もあるでしょうが、個人的な経験から言うと、サービスは生き物であり、「ゼロ」にすることはできないと思います。

顧客満足度を向上させるための指標としてインシデント解決までの時間、つまり「利用者が困っている事象の解消」までの時間(リードタイムの短縮)になります。必要なのは利用者視点なのです。

つまり、根本原因の解決を待つのではなく、「利用者が困っている事象」が解決できたならば、すぐにインシデントはクローズすべきです。この時間を短縮することによって顧客満足度を向上させることができるのです。
そのためには、過去の解決事例の活用、ワークアラウンドの整備、FAQの整備を行うことが施策になるのです。

問題管理によるインシデントの再発防止による生産性の向上

また、根本原因が解決できていないインシデントは、問題管理へ送るルールを定めて活動することになります。問題管理のレコードとして、根本原因の解決まで追跡していくのです。
問題の根本原因が解決していないことによって、同様のインシデントが発生する場合があります。この場合は、問題管理としてワークアラウンドを提供して、「利用者が困っている事象」を短時間で解決すれば、利用者のIT利用による業務にかけられる時間は増え、感謝されることでしょう。

また、インシデントレコードと問題レコードの関連付けをしておくことによって、当該問題が引き起こしたインシデントを把握することができます。インシデントが多数発生すれば、当該問題にかかる優先度を上げて対応するなどの対策を打つことができます。

ご参考までに、関連レコードの関連図を記載します。

ちなみに、ITSMツールはこの管理手法を有効に実施できるような仕組みになっています。


インシデント活動?インシデント管理?

もう一つ、インシデント管理の実装においてよく見受けられるのが、インシデントにおける「活動」と「管理」が混在している例です。

本来のインシデント「管理」とは、発生したインシデントを収集し、分析および改善施策を立案するなどを指します。
発生したインシデントをツールに記録し、解決に向けた活動は「プロセス活動」と呼び、「管理」とは違います。
インシデント活動では、定義したプロセスに従って、効率的に解決作業を行うことによって、より短期間で有効な解決策を利用者に提供することにつながり、結果として顧客満足度を向上させることができるのです。

ただ単に、インシデントを収集すればよいのではありません。目的もなく、ただ集めただけではデータを有効に活用することができません。
インシデント活動の目的をもって、分類を行い、各種データ(End to End)や指標を収集し、のちに分析することによって、改善の施策を導くことができるのです。

次回は、インシデント・問題管理によって、生産性の向上を実現するための手法として、指標(KPI)や改善施策(CSF)を活用した継続的サービス改善の考え方について、お話ししたいと思います。

 

 
ITSM/ITIL
ITIL®を活用した情報システム部門の働き方改革
デジタルトランスフォーメーション、AI、RPA、IoTなどに取り組む企業が増えており、同時にIT人材の需要は増え続けています。しかしながら、肝心なIT人材が増えているかというとそうではなく、人手不足に陥っている企業は少なくありません。 身を粉にして働くことも時には必要ですが、私はバランスが重要ではないかと思います。 昨今、世間で話題の「働き方改革」というキーワードがありますが、一番必要なのは、まさにITに関わる方々なのではないでしょうか。この連載では、『ITIL®を活用したIT人材の「働き方改革」』のテーマに対し、筆者の独断と偏見で追究していきたいと思います。
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筆者紹介

株式会社ビーエスピーソリューションズ
DX推進部 デジタルサービス推進グループ
黒澤 亮祐

ITサービスマネジメントのフレームワーク「ITIL®」を活用した業務改革のコンサルタント。

「ITIL®」と業務改革手法を活用し、IT部門や製造業における組織横断でのITサービス提供・管理プロセスの全体最適化、ツール共通化などの支援実績あり。
その他、新入社員向けシステム運用研修や運用の業務改革(BPR)セミナー、要件ヒアリングセミナー、ISO20000を活用した幹部候補生の育成など幅広い講師やファシリテーターを担当。

開発担当、運用担当、サプライヤなど、多くのステークホルダーの利害関係を一致させ、事業貢献に向けて業務改革支援に携わっている。

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