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ITIL®を活用した情報システム部門の働き方改革 第1回:IT人材不足における「働き方改革」の必要性
2018年5月30日 16:00

IT人材の需要

昨今では、デジタルトランスフォーメーション、AI、RPA、IoTなどさまざまなことがIT人材へ期待されています。このような仕組みを検討し、実装できたとすれば企業の生産性が向上するでしょう。
各企業では、業務を分析し、費用対効果を見定めた上で、一つでも多くのITサービスを導入したいと考えているでしょう。経営者から「ITを活用して事業貢献してくれ!!」など、ざっくりとしたミッションを与えられた方もいらっしゃるのではないでしょうか。

とはいえ・・・IT人材がそもそも足りていないのが現実です。
ITサービスを新規導入するにはプロジェクトを進めるための人材が必要ですし、ITサービスを導入すれば継続的な活動が必要なため、サービスを管理する人材も必要になります。当然、アウトソーシングも検討の対象ですが、リソースが必要なことは変わりありませんし、管理そのものが業務として無くなることはありえません。
「事業貢献したいのはもちろんだけど、人手が足りない(泣)」というのが本音だと思います。

足りない足りないとは言うけれど・・・
そもそも、どれくらい足りないか?足りなくなるか?って皆さんご存じでしょうか。

2016年6月10日に経済産業省が発表したIT人材に関する調査結果(IT人材の需給に関する推計結果の概要 経済産業省 2016年のレポートより)では、深刻な人材不足の調査結果が記されています。

IT人材の需要は前述しているような理由から伸びており、
2016年度で109万人の需要に対し、17.1万人(需要の約16%)既に不足していました。
これが2020年になると、129.2万人の需要に対し、36.9万人(需要の約29%)の不足になるそうです。
更に、2030年には就職者と退職者の数が逆転することからITに携わる人材が増えるどころか減少し、164.6万人の需要に対し、78.9万(需要の約48%)もの人材が不足するそうです。

足りない需要を残業で穴埋めした場合、以下のような計算になります。

  • 2016年度→月/約30h(毎日ちょっと残業して何とか)
  • 2020年度→月/約64h(さらば労働基準法)
  • 2030年度→月/約147h(人生=仕事)

「アフター5、プレミアムフライデー、有給消化がなんぼのもんじゃい!自分は企業のために仕事と心中するぜ!!」くらいの覚悟が無いと到底やりきれません。IT業界と言えば、ちまたでは「業務が過酷そう」、「業界イメージがブラック」などと騒がれていますが、もっともっと過酷になるし、まだまだブラックになる可能性を秘めています。このような状況では、ITに関わろうとする方の減少にもつながってしまいます。

「働き方改革」が必要なのはIT人材!?

「働き方改革」というと、幅広いステークホルダーへ向けたメッセージになっていることが多いですが、上記のような状況を考えると、ITに関わる方々にこそ必要ではないかと考えています。

ただ、口にするのは簡単ですが、ITの仕事は非常に複雑です。
企業によっては数百ものサービスを運営しており、関わるステークホルダーも多いです。
やれテレワークだ、やれRPA(※1)だ、やれチャットボットだと言っても、業務を整理しなければ十分な効果は出ないでしょう。十分な検討をせずに「働き方改革」へ取り組んだ結果、ITサービスに影響があっては元も子もありません。

顧客が求めるビジネスニーズを満たしつつ、ITの運営を効率化していく必要があります。
言い換えれば、「今あるいは今以上の品質を維持しつつ、楽になる」ということですので、口で言うほど容易ではないことはご理解いただけるでしょう。

ITサービスマネジメントのフレームワーク「ITIL®」は救世主になりうるか

上記のような背景から、IT人材の「働き方改革」は必須だと筆者は考えます。
本コラムでは、「ITIL®」がどのようにIT人材の「働き方改革」へ役立つかを独断と偏見で書いていきます。

次回から具体的な活用例を書いていこうと思いますが、今回は、「ITIL®」の活用メリットを筆者の目線で簡単にご紹介します。

①フレームワークである

抜け漏れがなくMECE(※2)で、手順が明確であるというということです。
例えば、我流で改革をした場合、しばらくして重大課題が見つかる場合があります。
このような場合、本来考慮すべき点が考慮できていないといったことが原因と考えられます。
きれい事無しで言えば、「世の中にベストプラクティスがあるにも関わらず、偉人達の知見を一切参考にせず、多くのリソースを使って改革に取り組んだ結果、十分な効果が出ずにもう一回やり直す」ということです。
ITIL®はベストプラクティスの集合体であり、ITサービスマネジメントの運営における最善策が網羅的に記されています。自分で考えず、偉人達が培った知恵をありがたく活用しましょう。結果的に、最も短い時間で最大の効果を得ることができるはずです。

②プロセスで構成されている

ITIL®は26個のプロセスと4個の機能で構成されています。
このプロセスで構成されている、というのが肝です。
プロセスって何よ?ということなのですが、「プロセス」とは各手順ではなく、目標を達成するまでの進め方が記されています。プロセスの設計によって、物事のEnd to Endまでを管理することができますし、期待した結果を得ることができます。
「結果オーライ!」という言葉がありますが、このような事態は非常に問題です。
言い換えれば、「事前準備せず取り組んだ結果、たまたま運よく成功した」ということに他なりません。
このようなやり方では、いつまでたっても成長はできないでしょう。これはトヨタ自動車の方が出版している本でも書かれています。
ほとんどのことは、あらかじめ失敗しないよう設計しておくべきで、失敗するかもしれないし、成功するかもしれないという状況は極力避けた方が良いでしょう。
で・・・そんなプロセスが26個も書かれています!
「そんなに!?」と思う方もいらっしゃるかもしれませんが、ご自身の仕事がそんな単純なものではないと理解されているはず。必要なんです。26個くらいは。

(クリックで拡大)

第1回のコラムは以上です。
皆さんの今後の活動へ参考になれば幸いです。
次回は、サービスレベル管理とIT財務管理に関する内容となる予定です!

※1:Robotic Process Automation
認知技術(ルールエンジン・機械学習・人工知能等)を活用した効率化・自動化の取組み。

※2:Mutually Exclusive and Collectively Exhaustive
「重複なく・漏れなく」という意味。

 
ITSM/ITIL
ITIL®を活用した情報システム部門の働き方改革
デジタルトランスフォーメーション、AI、RPA、IoTなどに取り組む企業が増えており、同時にIT人材の需要は増え続けています。しかしながら、肝心なIT人材が増えているかというとそうではなく、人手不足に陥っている企業は少なくありません。 身を粉にして働くことも時には必要ですが、私はバランスが重要ではないかと思います。 昨今、世間で話題の「働き方改革」というキーワードがありますが、一番必要なのは、まさにITに関わる方々なのではないでしょうか。この連載では、『ITIL®を活用したIT人材の「働き方改革」』のテーマに対し、筆者の独断と偏見で追究していきたいと思います。
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筆者紹介

株式会社ビーエスピーソリューションズ
DX推進部 デジタルサービス推進グループ
黒澤 亮祐

ITサービスマネジメントのフレームワーク「ITIL®」を活用した業務改革のコンサルタント。

「ITIL®」と業務改革手法を活用し、IT部門や製造業における組織横断でのITサービス提供・管理プロセスの全体最適化、ツール共通化などの支援実績あり。
その他、新入社員向けシステム運用研修や運用の業務改革(BPR)セミナー、要件ヒアリングセミナー、ISO20000を活用した幹部候補生の育成など幅広い講師やファシリテーターを担当。

開発担当、運用担当、サプライヤなど、多くのステークホルダーの利害関係を一致させ、事業貢献に向けて業務改革支援に携わっている。

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