アイシーエクスプレス株式会社様

アイシーエクスプレス株式会社様のプリンティングサービス事業部では、ヒヤリハット活動をより活性化させることで、未然にミスを防止する活動を推進されています。
今回は、日々の業務の中での気づきなどを、どのようにヒヤリハット報告につなげるかという課題への取り組みをご紹介します。

組織紹介

当社アイシーエクスプレスは今期で61期を迎え、プリント事業を立ち上げてからは25年が経ちました。
某大手コンビニエンスストアのデータセンターから始まり、今では70社程のプリントアウトソーシング業務を取り扱うまでに成長する事ができました。
現在、世の中ではペーパーレス化が騒がれる中、自社でのプリント出力や機器保持が不要なフルアウトソースへの移行がますます増えており、当プリンティングサービス事業部におきましてもデータプリントに付帯した封入封緘(ふうかん)業務等も積極的に取り込み、今後もお客様のニーズにあった細かなサービスを提供し、さらなる品質向上に向けた活動に取り組んでいきたいと思っております。

プリンティングサービス事業部 運用管理部 運用管理一課
大寺 雅之 様

プリンティングサービス事業部 運用管理部 運用管理一課
伊藤 秀紀 様


ヒヤリハット活動について

―活動実施の背景を教えてください

ヒヤリハット活動は以前にもやったことがあります。しかし、ほとんど集まりませんでした。
以前にヒヤリハットの情報を収集するために行っていた方法は非常に「重たかった」。A4用紙に埋まるくらいの記入項目があり、パソコンで入力して印刷し、上司に提出していました。まるでトラブル報告書並みでした。
今回はインシデントが増えてきたこともあり、どうやったらヒヤリハット活動が定着するかを考えている中、システム管理者の会アワード活動を知り、タイアップしました。

―どのような活動ですか?

ヒヤリハットの報告を、PCで丁寧に書くのではなくて、あえて紙で印刷したフォーマットに殴り書きでもよいので書いて、すぐに出せるようにしました。そのための簡単なフォーマットを印刷した用紙と投函箱を設置しました。また当社では「プリント」、「後工程」、「仕分け」に業務が分かれており、そのフロアごとに投函箱を設置しました。

今回の活動をする中で、同様の活動を行っている他社の例も調査しました。Web等で入力システムを作っているところもありました。確かに集計を考えると、入力システムがあると楽なのですが、全員の手元にPCがあるわけではないので、入力や記録は思いついたときにすぐにできないというデメリットがあります。
また、付箋を使用してヒヤリハットを収集している例もありました。こちらの場合は、記録は簡便ですが、自由記述すぎて集計しにくいというデメリットがあります。
当社では、その間をとってヒヤリハット報告書で、手書きですぐ書いて、職場のすぐそばにある投函箱に入れるという運用にしました。

《ヒヤリハット報告用紙フォーマット》


《投函箱と報告用紙》 

―成功のポイントは?

そもそも、「気づき」が重要で、そのことを当たり前ではなくて「ファインプレー」として評価したい、という意図がありました。つまり気づいた人が褒められる文化を作りたかった。
また自分のことだけではなく、職場の仲間のミスも事前に気づけて、良い意味で指摘しあえるようにしたかった。ただし、ともすると「告げ口」になってしまうので注意が必要でした。
ヒヤリハットというのは、事前にインシデントを事前に防ぐことであって、とがめることではありません。そこで、仲間同士で気兼ねなくできる大切な活動であると理解してもらうための啓蒙活動を行いました。また、きちんと「なぜするか」を伝え続けました。
まだこの活動が定着していないときも ISMSなどの研修でヒヤリハットを書くように伝えていました。しかし、きちんと活動の意味を伝えきれていなかったため、自分のミスを事細かく書くことができておらず、なかなか情報が集まらなかったのだと思います。
現在は定着しつつあり、電話でアピールしてくる担当者がいるほどです。こちらについてはうれしいことですが、ヒヤリハット表にきちんと書いてほしい(笑)と伝えています。

―今後の活動、改善への展開など

現在、ヒヤリハットのデータがたまりつつあります。今後はヒヤリハットを集める活動から、集められた情報から改善をしていくようにしたいと考えています。
既に対策が採られて、大きなインシデントを予防した実例も出てきました。例えば、用紙間違いを発見できた例がありました。そして、用紙間違いをしないためにどうすればいいか?改善を現場と考えて手順を見直しました。今回は必ず印刷する前に1枚セットして1枚でのテストを行った後に、大量出力するプロセスに変更しました。
このように対策をたてることで同じミスを減らすことができ、発生しているインシデントが約1/3削減できました。ヒヤリハット活動で、実際の業務影響があるインシデントが減り、効果が出始めています。
このような活動は外部からも評価され、QMS、ISMSの担当からもグッドポイントとして評価されました。

現在のヒヤリハット報告は月40件程度ありますが、ヒヤリハット報告の集計を行い、カテゴリー等に分析したものを、回覧することで社員への周知を行っています。

《ヒヤリハット集計結果の回覧板》 
また、よりも早い段階でタイムリーな気づきを現場ですぐにシェアして、改善を考える方向に進みだしています。現在業務の中で朝礼、昼礼、終礼をしていますが、その際に投函箱からヒヤリハット報告書を取り出してすぐに確認して、現場とのコミュニケーションツール「カンバン方式」的に使っています。

―表彰について

当春先に始めた活動ですので、年明けくらいには表彰式をしてより意識改革を進めたいです。また表彰対象には、集まったヒヤリハットから具体的な改善活動をしているメンバーを選びたいと考えています。

―最後にメッセージをお願いします。

今回のような活動では、現場の小さなミス、声を拾い上げることが重要です。そのためには現場とのコミュニケーションが大切です。言いづらい、話しづらいとった壁はありましたが、この活動を通してうまくコミュニケーションをとって「ミスをなくして当たり前」と言われてしまう現場の働きに光を当てて、感謝を伝えていきたいです。

 

プリンティングサービス事業部 運用管理部 運用管理一課
大寺 雅之 様(左)
伊藤 秀紀 様(右)

 

アイシーエクスプレス株式会社様、情報提供ありがとうございました。

システム管理者の会では、ITシステムを支える方々に感謝の気持ちを伝えたり、活躍を表彰して功労を明らかにしたりする活動を、引き続き募集しています。
皆さまの活動紹介を通じて、業界全体で活動が浸透することを目指しています。

 

お問い合わせ

システム管理者アワードへのご応募やお問い合わせは、当ポータルサイトの問い合わせフォームよりお送りください。

 

お問い合わせはこちら