「運用ゲンジン」が提供する「運用設計のポイントと管理ドキュメント」

【第12回】 障害の発生が運用作業を増加させる!

概要

2005年10月から2006年3月に、システム管理者の会サイトの前進である”カイゼン活かす”サイトに掲載され、その後も根強い利用がある「運用規約、運用設計書」の筆者である「運用ゲンジン」ことITシステム運用コンサルタント沢田典夫氏のコーナーが復活します。今回は、より具体的な内容で運用設計のポイント、運用の管理項目とプロセス、運用設計基準書内容等について、テンプレートを多数公開していただきます。
皆さんの運用カイゼンにお役立てください。

憂鬱な梅雨の季節ですが、みなさんはこのだるい梅雨の時期をどのようにお過ごしでしょうか? 
 
景気も底を打ち回復への兆しの話も段々と耳にするようにはなりましたが、私個人が回復を感じるまでにはまだまだ時間が掛かりそうです。梅雨と景気の低迷で重苦しい毎日ですが、運用は体が第一!ぜひ体調を崩さないよう気をつけてお過ごしください。 
 
さて、前回に引き続き障害管理、貸し出し管理、デリバリー管理シリーズでの作業プロセスについてまとめてみたいと思います。 
障害管理は運用の中でも一番プロセスやルール、取り決めなどが集ったもので、どれだけルールや取り決めがしっかりしてるかがそこでの運用状態を把握する尺度だと言っても過言ではない重要な管理事項です。 
 
紙面の都合で分かりにくいかも知れませんが、ちょっとしたヒントや努力を汲み取っていただけたら幸いです。
 

運用管理体系

掲載資料1
 

スケジュール管理での設計ポイント

 

障害管理

掲載資料2
 
掲載資料3
 

障害管理のワンポイント

    □ ①システムは故障する。人はミスをする。
    □ ②想定外を未然に発見、オペレータの判断や介入事項は無くす
    □ ③障害の発生がチェック作業を増やす。発生都度運用作業を増加させない対策
    □ ④復旧して終わりではなく、後が重要
          ・一時的対処ではなく、恒久対策と再発防止策
          ・起きた経験を指示書や手順書、開発規定や運用設計、引継ぎのチェックポイントに活かせ
    □ ⑤迅速対応のためにも連絡だけでなく対応集や場合集の充実を
    □ ⑥事故はいつ起こるかわからない
          ・オペミス、ミス誘発、情報漏洩、媒体などの紛失が発生する想定
          ・定期的訓練、対応の検証、漏れの確認

貸し出し管理

掲載資料4

掲載資料5

 

貸し出し管理のワンポイント

    □ ①外部からの媒体やPC類の持込禁止(特別承認、立会い者)
    □ ②外部への媒体やPC類の持ち出し禁止(特別承認、立会い者)
    □ ③個人情報や重要データの使用は禁止(特別申請:使用目的、使用方法)

デリバリ管理

掲載資料6

掲載資料7

 

デリバリ管理のワンポイント

    □ ①媒体への重要データ書き込みは暗号化
    □ ②データの発送はセキュリティー梱包、セキュリティー便、送付物の追跡
    □ ③重要データの媒体読み込み後はデータの消去
    □ ④重要データを記録した返却媒体は送付元で消去
    □ ⑤内部での媒体搬送途中の媒体紛失の想定も(内部は結構抜け穴が)
    □ ⑥媒体の受付から処理、処理後から発送までの工程のチェック方法やチェック体制
    □ ⑦入りよりは出を厳重に

連載一覧

コメント

筆者紹介

沢田 典夫(さわだ のりお)

1951年生まれ。運用との出会いは某銀行でのオペレータに始まり、7年間富士通 フィールドSEとして多くのメインフレームの導入の企画提案、移行、OS試験、環 境設計や構築~チューニング、また業務システム開発などを手掛ける。また、某大手 トレーディングスタンプ会社で13年間、コンピュータの導入、業務システムの開発 (物流・販売・財務・経営)および運用を行い、この時に開発の標準化、自動運転環境構築、運用設計や運用改善、また、運用ツールの開発などを手掛け、運用の基盤を 確立する。その後BSP一期生として入社し、運用診断や運用企画、また、運用設計 を重視した運用ツールの導入などを行い、コンサル事業の基盤作りを行う。その後運用コンサルとして独立し、これまでの経験を生かし、運用する人の立場に立ち、ま た、運用改善は永遠のテーマを掲げ、16年間一匹狼で運用と向き合ってきました。

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