「運用ゲンジン」が提供する「運用設計のポイントと管理ドキュメント」

【第10回】 取り決めやルールで大切なことはその経緯と定期的な見直し

概要

2005年10月から2006年3月に、システム管理者の会サイトの前進である”カイゼン活かす”サイトに掲載され、その後も根強い利用がある「運用規約、運用設計書」の筆者である「運用ゲンジン」ことITシステム運用コンサルタント沢田典夫氏のコーナーが復活します。今回は、より具体的な内容で運用設計のポイント、運用の管理項目とプロセス、運用設計基準書内容等について、テンプレートを多数公開していただきます。
皆さんの運用カイゼンにお役立てください。

今回は運用管理での取り決め事項やルール、手続き・手順、また、基準・規定などに関する目次のキーワードについて整理します。 
 運用を行っていく上で重要になるのは、現在行ってる運用を安定的に、また、運用品質を高めるために 過去からの多くの取り決めやルールなどの積み重ねによって作り上げられ、多くの運用者が継承してきたものです。
 表面的には単に運用しているだけに見えますが、その一つ一つの作業には安全で、効率的に、確実に、 そして動かすシステムとの約束事が含まれて日々遂行されているはずです。 
 人間はこういったルールや約束事を守ることが苦手でつい勝手に人それぞれの行動を取ってしまうものですが、 もしシステを安定稼動させる運用やシステムを作る側の開発がそれをしたらどうでしょう? 毎日ミスやトラブルの連続で、システムの機能だけでなく信頼まで失うことにもつながります。
 初期の頃のシステムや運用では規模や関連範囲も少なく、取り決めやルールといったものもそれほどない時代でしたが、 今や規模も大きくしかも複雑になり、また、システムとの関連範囲も広く、ちょっとしたことが大きなミスやトラブルにもつながる時代です。 こういった時代だからこそ色々な取り決めやルール、手続き・手順、また、基準や規定が必要となりますが、 よく見かけることは、そういった取り決めやルールなどが古いままで見直されておらず、暗黙のまま運用されていたり、 継承されていなかったりしていることです。
 確かに作業効率の向上や運用改善も運用にとっては大切なことですが、人も環境も日々変化し、また、 現在行われてる運用・作業がこういった取り決めやルールの下で行われてることからして、 定期的な見直しをイベントとして取り入れていただきたいと思います。
 しかし、こういった取り決めやルールを普段作業時に目に触れないマニュアルなどに記載したとしても、 それが一番守られず、継承もされにくい状態だと思います。 取り決めやルールとしてではなく、日常の作業の中で使用される指示書や管理簿などにそういった取り決めやルールなどを取り入れ、 作業しながら自然に目に触れられるような状態にしてあげることが重要だと思います。
 また、継承する上でもっとも大切なことは、取り決めやルール、基準・規定などを当時そうしようとした意味や経緯があるはずです。 単に決めだからとか過去からそうだったからは継承ではありません。 それらの取り決めやルールなどの意味や経緯があっての取り決めやルールであり、そのことを伝えることが本来の継承だと思いますし、 その意味や経緯を意識して初めて見直しがきちんとできることだと思います。
 

運用管理体系

掲載資料1
 

スケジュール管理での参考目次

スケジュール管理では運用ツール(スケジューラー、出力、監視)などを使用しながら作業が行われることが多く、 作業だけのドキュメントだけでなく、運用ツール(スケジューラ、出力、監視)に関するドキュメントも必要になります。 ここではスケジュール管理としての作業だけでなく、スケジューラに関する取り決め事項なども簡単にまとめておきます。
掲載資料2
 
掲載資料3
 

運行・監視管理での参考目次

運行・監視管理でも運用ツール(監視、ログ管理)などを使用しながら作業が行われることが多いため、 監視ツールなどに関する取り決め事項などについても簡単にまとめておきます。
掲載資料4
 
掲載資料5
 

入/出庫管理でのドキュメント

掲載資料6
 
掲載資料7

連載一覧

コメント

筆者紹介

沢田 典夫(さわだ のりお)

1951年生まれ。運用との出会いは某銀行でのオペレータに始まり、7年間富士通 フィールドSEとして多くのメインフレームの導入の企画提案、移行、OS試験、環 境設計や構築~チューニング、また業務システム開発などを手掛ける。また、某大手 トレーディングスタンプ会社で13年間、コンピュータの導入、業務システムの開発 (物流・販売・財務・経営)および運用を行い、この時に開発の標準化、自動運転環境構築、運用設計や運用改善、また、運用ツールの開発などを手掛け、運用の基盤を 確立する。その後BSP一期生として入社し、運用診断や運用企画、また、運用設計 を重視した運用ツールの導入などを行い、コンサル事業の基盤作りを行う。その後運用コンサルとして独立し、これまでの経験を生かし、運用する人の立場に立ち、ま た、運用改善は永遠のテーマを掲げ、16年間一匹狼で運用と向き合ってきました。

バックナンバー