システム管理者のためのBookCafe

Vol.33 メカニックデザイナーの仕事論 ヤッターマン、ガンダムを描いた職人

概要

書籍のインク独特の香りを感じながら、出会ったことのない世界、新たな発見、体験してみませんか?

目次
内容紹介
SUGA’s Review
8月8日から9月27日まで上野の森美術館で開催されている、『メカニックデザイナー大河原邦男展』を訪れました。40年以上にわたり、アニメに登場するメカを描いてきた巨匠の作品展とあって、長く続いているガンダムシリーズやタイムボカンシリーズなど、1970年代~90年代のアニメを見て育った大人の男性が圧倒的に多く、当時を懐かしく思い出しながら、食い入るように見ているのが印象的でした(自分も含めて)。
そんな大河原氏が、メカニックデザイナーになるまでのいきさつや、デザインにおける考え方、アニメ番組として作品を作っていくときの立ち位置などを綴った本が刊行されていました。本書を読むと、そうそうたるアニメクリエーターたちとともにロボット美を追求しながらも、周囲からの要件に確実に応えていく謙虚さをうかがい知ることができます。

 

内容紹介

「カニックデザイナーの仕事論 ヤッターマン、ガンダムを描いた職人」

大河原邦男/著 光文社新書
ただ絵がうまくてもダメ/変形メカのデザインはパズルを解くようなもの/ものづくりには手順がある/デザインのヒントはいたるところにある/アイデアの源泉は新しいものからも/幅広い仕事をすることによる相乗効果/主役メカのデザインには「こけおどし」が必要/主役メカを作る苦しみ/自作の木型で、変形や合体を検証することも/変形メカに求められること/道具は鉛筆一本あればいい/アーティストではなく、あくまで職人/1本の線の重要性/第1話ですべてがわかる/仕事は断らない/先に仕事の見通しをつけ、締め切り前に仕上げる/玩具メーカーとメカニックデザイナーの関係/メカニックデザイナーが陥る罠(光文社紹介より)

 

SUGA’s Review

ロボットが登場するアニメ番組では、そのロボットのプラモデルや超合金モデルといった玩具が売れることが成功のひとつの指標となり、企画のかなり早い段階からメカニックデザイナーの手腕が問われることになります。玩具メーカーのことを考えれば、製造過程に無理のない形状にしなければなりませんし、アニメ制作スタッフのことを考えれば、線の多いデザインにすると工数が増えるので、なるべくシンプルにする工夫が求められるなど、さまざまな制約の中でデザインしながらも、監督の世界観に寄り添えるバランス能力の必要な仕事であることが分かります。
大河原氏は、玩具メーカーにデザイン案を見せる際に、実際にモックアップを作ることによってイメージの共有を深め、一発OKをもらえる確度を高めていたそうです。頭の中の構想を可視化し、相手に理解してもらえるようにする、手間を惜しまない姿勢はまさに職人の域です。その姿勢を支えるのは、「一年中仕事をしていても苦痛にならない、仕事で楽しませてもらっている」と言い切るほどの仕事への想いなのでしょう。

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筆者紹介

“システム管理者のためのBookCafe” レビュアーのご紹介
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システム管理者の会の企画・運営をする推進メンバ―が、会員の皆様にお奨めする本をご紹介してまいります。

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