笑うな怒るな悲しむな!! ~本質を捉えて価値転倒するために~

第2回 痒いところに手が届かないERPを怒るな!

概要

フレッシュな気持ちで仕事ができるよう、本質を捉えるためのきっかけとなるコラム

いつの日かERP(Enterpreise Resouse Planning)を懐かしむ日が来るのだろうか。
その日を迎えたときに、私は生きているのだろうか。

 

私は痒いところに手が届くスクラッチ開発の業務システムが大好きである。
仕様書に書かれている文言を1つずつ完ぺきに実装することができる優秀なプログラマー(忠実に再現してしまう能力には、いつも驚かされてしまう…悪い意味で。)が作った業務システムのことではない。

 

次に好きなのは、無料で利用できるパッケージ業務システムではなく、長年利用されて続けているパッケージ業務システムである。
つまり、お客様の気持ちになって、システムを導入することが好きなのである。
と言えば聞こえが良いが…
実のところ、お客様と揉めるのが嫌いなガラスの心の持ち主であるというだけのことである。

 

ガラスの男(心だけでなく体ももろい)であるがゆえ、使い勝手にはこだわりがあり、パッケージ業務システムの最高峰であるERP(最高峰と言われている?? 言われていた!?)には意見したくてしょうがないし、ERPを「導入する側」と「導入される側」のどちらにも意見したくてしょうがない。

 

今回コラム掲載の機会を頂いたので、ERP(その他パッケージ製品についても)の特性を理解して頂き、皆さまがERPを導入する際に、お客様に理解して頂く事で、ガラスが粉砕されない世の中にしたいと思い、これまで心の奥底に溜まっていた意見こだわりを文字におこしてお伝えしますので、お付き合いをお願いします。

目次
ERPの凄さ
当時のERPの不甲斐なさ
なぜかERP導入は成功している
あとがき

■ERPの凄さ

私がERPに深く興味を持ったのは、今から22年前である。
(筆者紹介欄記載のラッキーパンチ営業案件3年目:ERP基幹システム導入の1年程度前となる)
ERPの何が凄いのかと言うと、圧倒的なマウンティングが”とにかくスゴイ”のである。
全てがハイレベル。高すぎるコスト。高飛車なコンサルなどなど。
さらに、全てが初めてのワード。
「基本のGL、MMとPPとAPの構成で、ARは無くても良いかなー」って、ピコ太郎もびっくりするくらい、ちんぷんかんぷんな私。
さらに高飛車なコンサルの初めてワードは続く。
「飛行機の操縦席と同じで、リアルタイムに会社の状態を把握できる”大福帳データベース”が特長なんです。」って、
”七福神に守られている不動のデータベースかいな?” と思った本気の私。
コックピットに座ったこともない ドMな私がERPにどハマリしたことは、お察しのとおりです。
ディスリが過ぎましたので、リスペクトできるところもダイジェストでご紹介します。

 

経産省のDX推進や、クラウド環境の活用も一般企業で浸透してきており、今後のマイクロサービスを前提としたシステム構成を構築する上に必要となる非機能要件:「セキュリティ、データ管理、監査」の全てを満たしているところがリスペクトできるのである。

▼ERPへのリスペクト
・セキュリティ :統合認証・認可
・データ管理 :一元化データベース
・監査 :統合ログ出力管理

 

最近の案件は、マイクロサービス基盤を目指しているので、現在もっとも苦労している上記3つを満たしているなんて、羨ましい限りである。
ただし、致命的な制約があることが、当時のERPは不甲斐ない。

 

■当時のERPの不甲斐なさ

ERP導入において、これだけは忘れてはいけないことがある。
「ERPはすげぇ!! ただし、ERPの領域内でだけ特長を活かせるのである。」
ということであり、領域外となると、途端に特長を活かせず、ラグジュアリーなゴミとなる。
恐ろしいことである。
このERPの特長について、ざっくり紹介しておきます。

▼ERPの特長
・非機能要件を満たしている。
・汎用的業務仕様で実装されている。
・リアルタイムにデータが連携されている。(大福帳DB)
▼ERPの弱さ
・周辺システムとのデータ連携機能が乏しい。
 >>データ作成プログラム開発費が高い。(ERP技術者単価高し)
・データ分析するためには、BIが必要
 >>分析キューブをつくるために数千万円必要となる。
・機能があっても業務プロセスにマッチしないことが多い。
 >>パラメータ設定によりある程度の許容調整が可能であるが、複数画面で登録必要

 

つまり、
「会社全体を管理監視するために最適に作ってあるので、業務担当者は我慢して使いなさい。大事なデータなので、受け渡しするには、お金がかかります。」
という、痒いところに手が届かない仕組みとなっています。

 

■なぜかERP導入は成功している

こんなERPですが、なぜか「導入に成功」という記事ばかりが、掲載されていました。
本当にそうなのでしょうか。

 

私の乏しい関係者からの情報を纏(まと)めてみますと
ERP(G/L除く)機能やDBの利用率が30%以上であった記憶がありません。
(私の記憶力が乏しいことを願う。)

 

それでも”成功しているらしい”のです。
もしかすると膨大な投資額であるため、「成功していると思わなければいけない」のかもしれません。

 

もちろんERPも、リアルタイムから、シンプルを目指すにトレンドが変わってきましたので、改善されているかとは思いますが、当時のERP導入時に必要であった心がまえを私なりに考えて、今回は終わりにしたいと思います。コピペは不要です。

▼22年前のERP導入時に必要であった心がまえ
・業務プロセスを変更する覚悟はありますか?
・リアルタイムに会社全体のデータを管理する必要が本当にありますか?
・投資額は10億円以上ありますか?
・導入に成功しましたと言い張れますか?

 

■あとがき

今回は当時のERPについて、私がどのように感じているかを共有しました。
しかしながら、本当に共有したかったのは、
「特長を生かすことができなければ、どんなものでもゴミとなる」だったのです。

 

これは、人においても、同じ事と考えられます。
適材適所と言われていますが、本当にその人の特長を活かせる適所へ配属ができているでしょうか。

 

「うちの会社はできてねぇよ-。」と思われた あなた。ヤバいです。

 

私の経験則から、会社側が理解する前に、【自分が自分の特長をわかっていない人が9割いる】ことが問題なのです。
正確には、【わかっていない人】+【何となくわかっているが行動に起こせない人】
つまり、非適所生活をしており、人生を謳歌していない方が9割も存在しているのです。
そもそも、人生を謳歌している人であれば、残念ながらこのコラムを読んでいません。
ここまで読み進められた あなた。
「みんなが幸せになるための心がまえ」をコピペして永久保存されることをお薦めします。 ラグジュアリーな、あなたの幸せのために。

 

▼みんなが幸せになるための心がまえ
その1)飛べと言われたら、一回は飛んでみる   【新しい特長を発見する心で】
その2)ニワトリに飛べと言ってしまう自分を戒める 【特長を見極める心で】
その3)タマゴを先に             【ガラスの心で】

まずは、自分の特長を発見しましょう。
次に、まわりの人の特長を見極めましょう。
最後に、特長を発見しても活かせる場所がなければ、1つの作業だけでも、かゆいところに手が届く努力をしてお客様に怒られないようにしましょう。
それを続けていると、いつのまにか特長を活かせる場所で人生を謳歌できてしまうのが不思議なところで、「ニワトリは後で、タマゴが先」ということなのです。

連載一覧

コメント

筆者紹介

Mr.Beans
IT業界にお世話になり23年経過しました。
営業、プロジェクト管理、システム導入支援(上流工程)
操作指導、インフラ設置など、案件ごとに役割を変え対応してきました。
※プログラム実装は能力なしのため2年で頓挫
それまでは、銀行員、観光バス運転手と仕事に対する思いもなかったため
こんなにも長く同じ業界で活動するとは、私自身も驚いている次第です

飽きるヒマ無く考えながら活動し続けなければいけないIT業界の特性にはまってしまったことが幸いしました。

▼IT業界の特性
・新技術、新サービスのサイクルが早くて多い
 #最新を把握すれば、取りあえずの対応でも何とかなる。
・優秀であるが、少し変わった人が多い
 #銀行員時代は変わった人と思われていたが、ここでは普通の人
・お客様の満足が低いことが多い
 #お客様要求を把握さえできれば、満足度が高くなりやすい

つまり、運良くラッキーパンチがあたるのです。
RAIDってなんだっけ?とサーバ構成さえも調べていた初心者の私の提案が採用されてしまうのです。
▼ラッキーパンチ営業案件
 1年目:400拠点クライアントPC新規購入と導入設置
 2年目:3万5千人対象の人事給与システム再構築
 3年目:ERP基幹システム導入

あの頃の能力で、これら案件を導入してしまったと思うと恐ろしく思いますが、全て稼働したところがまた驚きです。
特に人事給与システムにおいては、ORACLE以外はDBにあらずの時代に「WinNT+SQL Server」という画期的すぎる構成で今振り返るとよく動いたなぁ…とセピア色の良い思い出ですが、その後に実力不足を感じてからは、日々学び続けて、もう50歳となりました。

いろいろと経験を積んでおりますので、少しばかりですが皆さまにお役立ちできればと思い、コラムによりお伝えしますので、ご一読いただければ幸いです

バックナンバー