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バッチジョブとして動くアプリケーション場合は、プログラムの処理が終了すればジョブも終了します。JESの$DAコマンド等で実行中のジョブがあれば、そのジョブが終了するまで、システムのターミネーションを待つか、実行をキャンセル($Cコマンド、Cコマンド)してターミネーションを優先するか、いずれかを決めます。このような場合のセンター規約があればそれに従いますが、そうでない場合、オペレーターの判断でジョブをキャンセルしていいかどうかは迷うところです。開発系やテスト系のシステムでは問答無用でキャンセルしていいでしょうが、業務系の本番機では難しいところです。例えば業務データの変換ジョブでたまたま時間が掛かっていただけなのに、キャンセルされてしまい、後でデータをリストアし直す羽目になった、などとなりかねません。基本的なルールは決めておくべきでしょう。例えば、「システムの終了時刻に間に合わない可能性があるジョブについては、ジョブ名、処理概要、実行者、連絡先をオペレーション部門に連絡する。届け出のないジョブはシステムの終了時刻に無条件にキャンセルされる。」のようにです。
バッチジョブが終了すれば、次はSTARTコマンドで起動した常駐タスクの終了です。DB/DCシステムに用いられるミドルウェア製品など、IPLの際に STARTコマンドで起動したジョブを、P(STOP)コマンドによって停止します。製品によってはF(MODIFY)コマンドで独自の操作を要求するものや、%、#など独自のコマンド接頭文字で操作するものもあります。基本的に常駐タスクジョブは、バッチジョブと違って、正常に動いている限り、プログラムが自らジョブを終了させることは少なく、オペレーターの操作によって停止することになります。どのようなジョブが起動されているかは、OSのD A,Lコマンド等で知ることができます。
アプリケーションもミドルウェアも終了すれば、残りはOS自身と関連するサブシステムが残ります。これらを順番に止めていきます。先ずは、TSO → TCPIP → VTAM の順序で停止させます。z/OSでは更にUSS(Unix System Service)も終了させねばなりません。ここまで終わればJES2は「$HASP099 ALL AVAILABLE FUNCTIONS COMPLETE」のMSGを出します。ここでJES2を終了させます。JES2が終了してもz/OSでは、FFST、RACF、DLF、VLFなど JES2によらずにOSから直接起動されたサブシステムが残っていますので、必要に応じて終了させます(そのままにしてもシステム自体は終了できます)。
JESを止めれば、OS側での処理は終わりですが、センターによっては続いてHALT処理を行います。HALT処理はZ EODコマンドによって行われます。①ハードエラー統計情報の書き出し②SMFバッファーの書き出しとSMFデータセットの切り替え③SYSLOGのクローズHALT処理によって、OS内のメモリーに残っているSMF情報を確実に記録できるので、業務系システムではZ EOD操作まで行い、ターミネーション終了とするのがいいでしょう。
OS側での処理が終われば、以降はシステムコンソール(OSのコンソールではなく、IPL時のLOAD操作を行ったコンソール)で、システムの終了操作を行います。これには、CPUストップ、システムリセット、パワーオフなどがあります。
メインフレームはあなたの企業を始め、多くの企業の基幹システムを支えています。とりわけ金融、製造、公共など、日本の基幹産業で今日も働いています。新しいニュースは少ないものの、まさに業務を確実に処理するための大きな存在です。世の中にはあまり知られていませんが、オープン系をいまだに超えている技術、ノウハウが生きている分野です。黙って国を支えているITといっても過言ではないと思います。
そんなシステムを品質よく、安定して運用するためには、業務運用マニュアルや先輩・上司からの言い伝えだけでなく、確かな知識が必要です。
ここではメインフレームの代表的OSであるMVS(z/OS)の基本的なしくみについて、運用部門に携わる新人エンジニアに必要なものを解説します。
株式会社アルテシード
代表取締役 神居 俊哉(かみい としや)
第12回 SMF | [2010年1月6日] |
第11回 OSコマンドとコンソール | [2009年12月16日] |
第10回 IPLとターミネーション② | [2009年11月18日] |
第9回 IPLとターミネーション① | [2009年10月21日] |
第8回 データセット編成(データセットの種類) | [2009年9月16日] |
第7回 データセットとレコード | [2009年8月19日] |
第6回 データセットとボリューム | [2009年8月5日] |
第5回 タスクの終了と回復 | [2009年7月22日] |
第4回 アドレス空間とタスク | [2009年7月1日] |
第3回 ジョブ管理とJES2 | [2009年6月17日] |
第2回 JCL | [2009年6月3日] |
第1回 ジョブとは何か? | [2009年5月20日] |