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「運用ゲンジン」が提供する「運用設計のポイントと管理ドキュメント」 【第3回】 夢や目標が運用を強くする
2008年12月24日 11:20

不景気に負けず

早いもので12月も終わりに近づき、寒さもだんだん厳しさを増してきてだいぶ冬らしい季節になりました。
これが掲載される頃は暮れも押し迫り、忘年会やらこの一年の締めっくくり、また、新年を迎える準備などと慌ただしい日を過ごされてることかと思います。

中には年末年始の休みを使ってのリリースとかでその準備や移行リハーサルとかで追われ、とても暮れや新年を迎える気分にはなれない方も多いのではないでしょうか。

みなさんにとってこの一年はどんな一年だったでしょうか?
年の初めのころはまだそれほどでもなく改善も進む雰囲気でしたが、年の中頃くらいからでしょうか、 日本に押し寄せてきた不景気の波はみなさんの周りや仕事、予算などに段々と形になって現われ、 暮れの今、その不景気を実感し始めてきてる企業も多いのではないでしょうか。

システムの開発は規模の縮小や見送り、設備投資や外注費また人件費なども急激に削減に向かい、 特に、少ない予算でやりくりしてる運用部門にとってはこういった影響を一番受けやすく、 年の初めの頃と比べれば改善の声も一気にトーンダウンしてるようにも見受けられます。

でも、改善には金を掛ける改善と金を掛けない改善とがあり、むしろ金を掛けない改善は皆さんの周りにはいくらでも転がってると思います。
時には金を掛けないと解決できない改善もあるかと思いますが、金をかけない地道な改善こそ今の運用部門にとっては一番必要であり、改善の原点でもあると考えます。
景気がいい時ばかりではありませんし、景気が悪い時に知恵を出し合って乗り越え、また、その時を後輩に身をもって体験させることで不景気に強い人材を育て上げることができるはずです。

だいぶ昔の話になりますが、景気のいい時は営業しなくても物は売れるし、人を育てなくても会社は成り立つ。
しかし、いざ不景気になると売り方が分からずたちまち経営は悪化し、人員削減。
企業にとって人は財産であり、景気が悪いときこそ人を育てるいい機会ですし、それが企業を強くするものだと思います。

長い時間の中で失ったものを取り戻すには大変な努力が必要ですし、景気がよくないから何もしないのではなく、 この不景気の時を機に運用としての地位やスキルを取り戻すよい機会だとも思いますが、
なによりも早く景気が回復してくれることを願うばかりです。

第3回は前回の続きでオープン系運用での問題点、また、運用を維持していくために一番重要な運用ポリシーに重点を置いて話を進めていきたいと思います。

メインフレームの道のりをオープン系もたどる

オープン系が主流になり始めてからだいぶ経ちますが、メインフレームとは違い導入・構築しやすいことが逆に多くの問題を引き起こしているようです。
でも、技術の世界では事故や問題が技術を進歩させるし、この先また違った運用の姿になってるのかも知れませんが、 メインフレームも出始めのころは現在のような信頼性や安定性もほど遠く、もちろん標準化や運用設計などの言葉もなく、 多くの企業に広まるに従って信頼性や安定性は格段に向上し、標準化や運用設計、自動化のための運用ツールも定着するようになりました。
オープン系もまさにメインフレームがたどってきた道を同じように進んでおり、まだ時間は掛かるとは思いますが、 メインフレーム同様、標準化や運用設計も徐々に確立され、いずれ現在のメインフレーム並になってくるものと思われます。

でも、落ち着いた頃にはまた違う世代の機器が出回ってきて、同じ問題でみなさんの頭を悩ましているのかも知れませんね。
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オープン系での問題点

オープン系は技術の進歩に伴い短期間でサービス業務から基幹業務への適用まで広がり、ハード更改時での選定評価も時に優劣付けにくいところまできましたが、
機器の特性や短期間で拡大されたためか問題点もまだまだ多く、今後これらの問題にメーカ、ベンダ、導入企業がメインフレーム時代に培った経験をどう活かすかかが大きな鍵となると思われます。
ここではオープン化での様々な問題を整理し、オープン化する上での留意点を考えてみたいと思います。

これだけではないと思いますが、以下に問題点を洗い出してみましたので、みなさんのところで当てはまる問題点にチェックしてみてください。
問題はあったとしても40点以下ならまだよい方で、4~50点前後でしたら弱い点を積極的に、6~70点範囲なら基盤系の見直しが必要かも知れません。
さて、みなさんのオープン化問題点は何点だったでしょうか?

<品質:2点*6=12点>

  1. □ 信頼性、安定性に欠ける
  2. □ 短期間での開発を要求されるため、品質に問題があり初期トラブルが多い
  3. □ リブートせざるを得ない原因不明な障害が発生する
  4. □ 複数サーバの組み合わせのため、二重化構成を取らないと業務停止を招く恐れも
  5. □ 複数の組み合わせで構築するため、障害時での調査・対応に時間や手間がかかる
  6. □ 主系や従系、正・副の構成で、設定内容やバージョンレベルなどがバラバラになってることも

<設計・構築:3点*8=24点>

  1. □ 運用設計がされていない
  2. □ 標準化が進んでいない
  3. □ 色々な組み合わせでの開発なので標準化しにくい
  4. □ 標準化や運用設計がされてもバラバラ
  5. □ リソースやパフォーマンスの設計がまだ弱い
  6. □ 開発やインフラが主体となった設計・構築に運用が考えられていない
  7. □ 運用を知らない人が開発しているため、オペレータありきの手間のかかるシステムになりがち
  8. □ メインフレーム時代を経験してきた技術者がいないため、ノウハウが継承されない

<構成:2点*6=12点>

  1. □ 個々のソフトに依存されるため、制約や制限が多い
  2. □ 多種・多メーカ、多製品での構築になり、複雑なシステムになりやすい
  3. □ 多種・多メーカ、多製品での構築になり、操作や使い方がバラバラで統一しにくい
  4. □ 多種・多メーカ、多製品での開発になり、開発には幅広く多くの専門知識や技術者が必要
  5. □ 多種・多メーカ、多製品のため、操作することも多く、指示書での作業項目も多い
  6. □ 自動化したり基幹業務をメインフレーム並に構築すると高価なシステムとなる

<体制・役割:4点*3=12点>

  1. □ オープン系での役割や体制が不明確なまま引継ぎされる
  2. □ オープン系を維持するために、従来の組織体制、あるいは役割だけでは維持が難しい
  3. □ 引継ぎがされず、言われた通りのことをするだけのシステムも

<運用:4点*10=40点>

  1. □ 機能やコスト重視で、監視・運行・制御、スケジューラ、バックアップなどのツールが考えられていない
  2. □ オペレータありきで自動運行・監視・制御が考えられていない
  3. □ 監視ツールも色々あり、監視の仕方や監視するものも様々で統一がされていない
  4. □ 監視・運行・制御、スケジューラなどのツールがなく、オペレータ作業が増加している
  5. □ 監視ツールは搭載されているが、監視すべきメッセージが整理・保守されてないため、ツールが役立っていない
  6. □ 多メーカ、多製品の組み合わせのため、監視できないものもあり、結局はオペレータの目に頼ることも
  7. □ 監視するもの、監視方法もバラバラ
  8. □ バックアップなどで使用する媒体も多く、その交換や定期クリーニング作業も増加してきている
  9. □ 不要ファイルの削除が考えられていないため、ゴミファイルが多く残り、消す作業もオペレータで
  10. □ メインフレームで作業や要員を大幅に削減してきたのに、サーバー業務では増加傾向にある

オープン系での留意点

上記の様々な問題点などからオープン系での留意点をいくつか整理してみましょう。

(順不同)
□ オープン系でも運用管理としてはメインフレームと同様
□ メインフレームやオープン系の管理/作業、体制/役割/責任範囲を明確に
□ 業務ごとの開発/運用方針ではなく、共通的な基本方針(ポリシー)を立てる
□ 業務が中心ではなく、運行・監視・制御・出力の方式の下で業務を構築
□ なんでも監視すればは返って作業負荷を高める
□ 監視のデフォルト設定は注意が必要(不要なものを拾いすぎる傾向がある)
□ 拾えないメッセージや制限・制約で後で後悔しないよう意識しておく
□ 閾値設定は慎重に、業務特性や重要度、必要性、連動、瞬間を考慮し、業務に合った監視を
□ 媒体や帳票は作業はもちろんセキュリティー面からも極力ない状態で
□ 計画停止、運用日やログ切り替え、不要ファイル削除を忘れずに
□ 運行・監視・制御・出力などの運用ツールは統一
□ 実績管理や課金、より自動化のためにもログの収集・蓄積・分析機能を組み込む
□ 標準化を先送りすれば後で後悔
□ オープン化はメインフレーム以上に基盤の運用設計が重要
□ 多くのアカウント管理が必要になるが、必要な役割と権限の明確化
□ アカウントの登録・変更・廃止、パスワードの定期変更などの管理や手続きをきちんと
□ 業務ごとに構築が進むといつかネットワークとのつながりが見えなくなるので、全体構成図は必須
□ 理由が特に明確でなければ、メーカ、OSは極力合わせる

運用ポリシー

最近ではITILやJSOXなどでその必要性を求められているため、運用に対する基本方針は持たれているかとは思いますが、
これからという方のためにいくつかの基本方針の基になるキーワードを記載しておきますので、参考にしていただければと思います。

ここに記載したキーワードは運用ゲンジンがまだ若かりし頃に心がけてきたことですが、これだけ技術が進歩した今でも
カッコイイ言葉に変えれば十分使えますし、その一つ一つを実現させたり運用の思いを込めるものが運用設計や運用考慮点、開発や運用の標準化に当たります。
言い換えれば、運用方針がしっかりしていなければ運用設計や標準化もしっかりしていないと言えるかも知れません。
方針なんてただあればいいわけではなく、これからの運用、あるいはこれからの運用の人たちに代々語り継がれていくものでなければならない大切なものだと思います。

□ 業務量が増加しても運用要員は増加させない(専任の役割が増加する場合を除く)
□ 業務量が増加しても運用コストとしては一定か低コストの運用を追及
□ 判断・確認させたり、操作や媒体類のハンドリング作業などでオペレータの手を煩わせない
□ 運用作業は属人化せず、誰でもが同じ管理/作業が行えるように
□ 処理や作業は極力定例化させるようにし、緊急・臨時・随時のサイクルはなくす
□ 自動化を追及し無人化は目指さない(無人化は相当なコストが)
□ 過去の経緯や決め事の理由を明確に(後の人が理由が分からない決め事は廃れる)
□ スキルとなる点はいつも周知・継承を心がける(どんなことより継承が重要)
□ スキルとならない人的作業は、より効率化・省力化・機械化・自動化を
□ 運用が関所にならなければいいシステム(業務)運用はできない
□ いいシステムのためにも、敢えて開発から煩がられる運用(強い)と思われろ
□ ただ言われた通りの運用をするのではなく、業務やシステムを理解した運用を心がける
□ 環境の変化が改善や見直しのチャンス
□ 改善による余力は利益を生み出す
□ 改善することで逆に管理・作業が増加しないこと
□ 改善するときはいつも運用の全体を見て検証を
□ 改善の仕組みや方法は、作ることよりも後の維持することや使う人の立場で考えよ
□ 些細な改善でも必ず運用設計を
□ 真の改善は金を掛ける改善ではなく金を掛けない改善
□ 一日一善(改善)、積み上げれば一年で365箇所の改善が

次回は

読む方の立場によってはムッとされる点もあるかとは思いますが、現役で運用するものとしての表現としてご容赦願います。
次回は年明けに相応しく、①目指す運用の姿、②その運用管理モデルと運用設計、③運用設計領域とその役割分担についてまとめて見たいと思います。

それでは、2009年1月にまたお会いしましょう。

来年も運用ゲンジンをよろしくお願いいたします。

風邪とか気をつけ、よい年をお迎え下さい。

運用テクニック
「運用ゲンジン」が提供する「運用設計のポイントと管理ドキュメント」

2005年10月から2006年3月に、システム管理者の会サイトの前進である"カイゼン活かす"サイトに掲載され、その後も根強い利用がある「運用規約、運用設計書」の筆者である「運用ゲンジン」ことITシステム運用コンサルタント沢田典夫氏のコーナーが復活します。今回は、より具体的な内容で運用設計のポイント、運用の管理項目とプロセス、運用設計基準書内容等について、テンプレートを多数公開していただきます。
皆さんの運用カイゼンにお役立てください。

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筆者紹介

沢田 典夫(さわだ のりお)

1951年生まれ。運用との出会いは某銀行でのオペレータに始まり、7年間富士通 フィールドSEとして多くのメインフレームの導入の企画提案、移行、OS試験、環 境設計や構築~チューニング、また業務システム開発などを手掛ける。また、某大手 トレーディングスタンプ会社で13年間、コンピュータの導入、業務システムの開発 (物流・販売・財務・経営)および運用を行い、この時に開発の標準化、自動運転環境構築、運用設計や運用改善、また、運用ツールの開発などを手掛け、運用の基盤を 確立する。その後BSP一期生として入社し、運用診断や運用企画、また、運用設計 を重視した運用ツールの導入などを行い、コンサル事業の基盤作りを行う。その後運用コンサルとして独立し、これまでの経験を生かし、運用する人の立場に立ち、ま た、運用改善は永遠のテーマを掲げ、16年間一匹狼で運用と向き合ってきました。

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回答数:22019年11月12日

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