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(新)組織の活性化 第5回 活性化(変革)度合いの評価手法
2007年11月21日 17:27

 前回紹介した4つのハード面(期間、遂行能力の十分性、意欲、負荷)をプロジェクトやチーム組織の活性度合いの評価指標として、活用する方法(DICEスコア)について、紹介する。各種の活性化要素(変革要素)の度合いを採点・評価して、この点数を上げれば成功の確率が高くなる。採点方法は主観に頼らざるを得ない面が多いが、異なるプロジェクト(組織)間の比較や同じプロジェクト(組織)の過去との比較によって、客観性を高めて成否を判定することが可能になる。この判定方法は225件の変革プロジェクトを実施した結果のデータに基づいている。
 設問項目と採点方法について

(1)期間(A)
【設問項目】

    • プロジェクトの進捗状況を定期的に評価しているか  
    • プロジェクトが2ヶ月以上の場合、評価期間は平均してどの位か
【採点方法】
プロジェクトの評価間隔が2ヶ月未満なら1点。2~4ヶ月の間なら2点。4~8ヶ月の間なら3点。8ヶ月以上なら4点。
   
(2)遂行能力の十分性(B)
【設問項目】

    • チーム・リーダーは優秀か
    • チーム・メンバのスキルや意欲はどの位か
    • メンバ達はこのプロジェクトに十分な時間を当てているか
【採点方法】
「プロジェクト・リーダーは優秀で、同僚からの人望も厚い」、「プロジェクトを予定期間内に遂行可能なスキルと意欲がメンバに備わっている」、「メンバは労働時間の50%以上をこのプロジェクトに当てている」を満たしている場合は1点。逆に全て欠けている場合は4点。プロジェクトの遂行能力がその間のどこかに位置する場合は2点もしくは3点。

(3)経営陣の意欲(C)
【設問項目】

    • 経営陣が変革理由と意義を繰り返し説明しているか
    • 経営陣のメッセージに説得力はあるか
    • 経営陣の間で、また継続性という観点からもメッセージに十分性はあるか
    • 経営陣は、プロジェクトに十分な経営資源を振り向けているか
【採点方法】
経営陣が終始一貫して変革の必要性を明確に説明している場合は1点。あやふやな言動が見られる場合は2点もしくは3点。経営陣がプロジェクトの支援を渋っていると管理職が感じている場合は4点。

(4)現場レベルの意欲(D)
【設問項目】

    • 変革による影響を最も強く受ける社員達が、その意義と価値を理解しているか
    • 社員達は熱意を持って参加しているか、それとも不安を感じて抵抗しているか
【採点方法】
社員達が熱意を持ってプロジェクトに取組んでいる場合は1点。異存が無い程度の参加なら2点。嫌々参加している場合は3点。抵抗している場合は4点。

(5)負荷(E)
【設問項目】

    • 変革プロジェクトによって増加する業務量はどれくらいか
    • 業務量が増える前の時点で、すでに業務量過剰になっていないか
    • 業務量が増えることに社内から抵抗があるか
【採点方法】
変革プロジェクトによる業務量の増加が10%未満の場合は1点。10%~20%の場合は2点。20%~40%の場合は3点。40%を超える場合は4点。
 以上の要素の採点によって、変革プロジェクト(組織)のスコアが算出される。様々なプロジェクトを用いて回帰分析した結果、遂行能力の十分性(B)と経営陣の意欲(C)のウェイトを2倍に設定した組合わせが、実際のプロジェクトの結果と最も密接な相関関係を示した。その算出式は下記の通りである。

スコア=A+2B+2C+D+E

 得点は7点(最良点)~28点(最悪点)の範囲になる。

【プロジェクトの評価方法】
  1. 7点以上14点未満:統計的に、変革プロジェクトの成功確率が極めて高い。(成功ゾーン)
  2. 14点以上17点未満:変革プロジェクトの結果を予測するのが難しい。(心配ゾーン)
  3. 17点以上28点迄:変革プロジェクトの結果予測が全く出来ないか、または変革に失敗する。(苦悩ゾーン)

 ゾーンの境界線は、過去に何回も変更した。当初は、14点以上21点未満が心配ゾーンで、21点以上が苦悩ゾーンであったが、プロジェクトの結果が予測不可能(17点以上21点未満)になった時に、プロジェクト・チームが警告を期待していることに気が付いた。最終的に心配ゾーンを圧縮し、苦悩ゾーンを拡大した。
 この手法の活用方法について、「警報装置」として見ている経営陣が多い。この採点シス テムは主観に頼らざるを得ないものだが、変革プロジェクトのスコアを時系列に比較した り、類似の変革プロジェクトと比較することにより、意思決定に客観的な視点をもたらす。 多くの変革プロジェクトは「心配ゾーン」からスタートする。このスコアを測定して課題 を明確にし、解決策を検討・実行しながら「成功ゾーン」に導いていくのが、一般的で、 最初から「成功ゾーン」にいる変革プロジェクトは殆ど無いのが実態である。また、解決 策として有効だったのは、プロジェクト・メンバの配置転換(変革プロジェクト間の要員 アンバランスの解消)と現場社員への気配りある支援(現場の問題に応じた支援策)であ った。
 つまり、活性化(変革)プロジェクトを遂行しながら、短いサイクルで客観性のある評 価を実施し、改善を継続していくことが成功の条件と言えそうである。
運用研究レポート
(新)組織の活性化

組織タイプ、モチベーション(心理学の視点)、チーム力の強化、変革のリーダーシップ、社員のマネージメント等、キーワードの解説や組織の活性化をはかるための手法について、事例を交えながら理論や実践方法を述べていきます。

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筆者紹介

佐野詔一(さのしょういち)

1945年生まれ。

富士通㈱(OSの開発&大規模ITシステム構築に従事)および(株)アイネット(大規模ITシステム構築&ITシステム運用に従事)において、大規模ITシステム構築&大規模ITシステム運用経験を経て、現在はITプロジェクト・マネジメント関係を専門とするITコンサルタント。産業能率大学の非常勤講師(ITプロジェクト・マネジメント関係)を兼任。当サイトには、「IT部門のプロジェクト・マネジメント」ついて研究レポートを12回にわたり掲載。

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