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新・玄マンダラ 第5回 エコポイントとその後
2009年09月24日 13:00

素晴らしい日本のITシステムである、エコポイントのその後である。 エコポイントの申請にまつわる手続きについては先の新・玄マンダラで書いた。 7月1日からエコポイントの申請が開始された。 同日、小生はネットと書類で、同時に申請をした、さて、政府の仕事がどの位迅速かと関心をもっていた。

 7月28日に、グリーン家電エコポイント事務局よりメールが到着した。申請してから初めての連絡である。 これまで、申請はしたものの、受理されたのかまったく音信がない、ネットを使いながら実に不可解である。 一月もたてば、申請したことも忘れる人も多いであろう。 また、パソコンを使わない人にはどのようなかたちで受理確認がされるのであろうか。 郵便ならまたコストが発生することになる。  税金の確定申告でもおよそ、一月半であるので、一月ならまあそんなものかというところである。 しかし、今の時代、Amazonや楽天のような、ネット販売では、リアルタイムに自動的に受付確認の回答が戻り、在庫確認がリアルタイムに行われ、発送通知が戻る、そして、翌日には購入した商品が手もとに届く時代である。 いまや、物流手配に懸かる時間以外は、まさに事務処理はリアルタイムに行われる時代となっている。 巨大な事務処理センターが行政である、いかに、政府(行政)の仕事の生産性が低いかいうまでもなかろう。 それを改革することがe-Japan戦略の意図であったはずである。 

 さて、そのメールである、そこには、エコポイント・マイページを作成したことなど、以下のようなメールであった。 なぜか、2通も同じメールが入っていた。 そのまま引用して紹介する。 ID、パスワードはマスクしてある。
09092401NewMandara.png
メールが2通配信されてきた、小生の名前が重複していることは、システムのバグの問題である。 極めて初歩的なミスである。 そこで、このIDとパスコードを利用して、ログインしたところ下記の画面が出る。 ここでは、自分が申請したすべてのエコポイントの実績が判るような仕組みになっている。 ここまで必要かどうかは別として、IT屋がやると必ずマイページという発想となりこういうパターンになることは想像に難くない。 

 このITシステムの開発と維持に一体どのくらいのコストが懸かるのであろうかと余計な心配をする、膨大なデータがインプットされることになりその手間だけでも大変であろうことが予測される。 そして、当然、インプットミスが発生するの、それが判るのは、最下流であろうから、長い手戻りが発生することになる。 このページに現れないデータはインプットミスがあっても確認することは不可能である。 一体、そのリカバリー処理はどうするのであろうか。ネットで登録させておいて、書類を送付して、さらに、このデータインプット(書類で送付しているデータはこのマイページ表示よりはるかに多くのデータである、どこまでインプットされるのか不明)となるのであるから、多くの無駄が発生することになる。 完璧を期して、徹底してやるならば、書類に記載した全てのデータが表示確認出来るようにすればよい。 
09092402NewMandara.png
これをみると、 小生は1万円のJCBの商品券との交換を申請したことが判る。 確実に申請書が処理されていることを理解することができる。 これは安心であるが、パソコンを使えない人にはどんなサービスとなるのであろうか。  このマイページを見ると、交換申込日は7月28日となっている。 まさに、本日がその当日にあたる。 そこで、グリーン家電エコポイント事務局へ電話をして、このページに記載されている「交換申込日」の意味を質問したところ、これが要領を得ない、小生のIDを通知してオペレータにも画面で確認して貰うと、オペレータの女性は、バックオフィスに意味を確認するので、しばらく待って欲しいという、そして、これは、JCBから申請者への商品の発送予定日であるという。 初歩的で、基本的な質問に答えることが出来ないことは、このオペレータ(バックオフィスのスタッフも)はマイページの内容に通暁していなかったことになる。 ここがコール・センターの落とし穴となる。 

 商品の発送に必要とされる個人情報はグリーン家電エコポイント事務局から、すでに全てJCBに渡っているので、ここから先は、JCBと直接話をして確認し、最終的な商品の発送日時を確認して欲しいというのがコール・センターの説明であった。 それでは、JCBに連絡をするのでJCBの電話番号と、JCBと申請者(本人)が当事案件であることを確認するためのIDが別にあるのか、グリーン家電エコポイント事務局から通知されたものと、同じIDで良いのかと質問したところ、IDはなく、その必要もないという。 JCBが本人確認をするのでIDは不要とのことであった。 不思議なことであるが、追求はやめた。 

 「交換申込日」という表記の意味が申請者に分からないので、業者からの商品発送日とか、一目で判るように説明をしないと、多くの人が同様の電話をすることになること、さらに、商品発送先(今回はJCB)に都度電話をすることになり、2度手間となること、対象人数が膨大なので、その結果コール・センターも対応に忙殺され、膨大な無駄なことが起きるので即刻このHPの記述をもっと親切に改善をすることなどをコメントして、一度、電話を切った。 この間、およそ、20分の時間が掛かった。電話は有料である。 

 さて、指定されたJCBへ電話する、ここでもコール・センターが出る。最近はやりの、コール・センターのハシゴである。 これは、エコポイント専用の電話であることが判る。上述の説明をして、いつ、商品が発送されるのかと質問をしたところ、今度はJCB側がまるで要領を得ない、上司に確認するのでと、しばらく待たされることになる。 そして、政府(グリーン家電エコポイント事務局)からは、まだ、何も届いていないこと、仕組みも判らないこと、マイページがあることも知らないこと、などの説明が戻ってきた。 JCBとしては、政府からの連絡があれば、2週間以内に処理をするという回答であった。 つまり、政府と、商品発送先とは、この一連のプロセスについて、まるで確認と徹底がされていないことが判る。 SCM(Supply Chain Management)は、いまや、ITの世界では常識であるが、どうやら政府の仕事にはSCMという発想はまるでないようである、だから、前提のプロセス設計が徹底されていないことが判明した。 JCB商品券は、おそらく、今回のエコポイントの交換商品で人気のあるものの一つだと思うので、至急、政府と連絡して対処しないと、時間が経過して商品が届かないということがおこり、大勢の人から質問とクレーム電話が殺到することになるのではないか、とコメントして電話を切った。 ここでも、およそ、20分の時間がかかった。 電話は有料である。 

 予想した通りの展開であり、あまりに予想通りで馬鹿馬鹿しくなるが、「不思議なやっぱり感と諦め感」がある。 ここは最後までやることにして、もう一度、グリーン家電エコポイント事務局へ電話をして、JCBとのやりとりの一部始終を説明した。 小生も「馬鹿のつく親切さ」であると苦笑いである。 となりで、女房も笑っている。 猫が居れば猫も笑うであろう。 今回は、グリーン家電エコポイント事務局の責任者(?)らしく、大分しっかりした女性のオペレータが出た。 小生の電話番号を確認してから、過去のやりとりの状況をコール・センターのログから把握した上での対応となった。  まずは、最初に処理したエコポイントのコール・センターのオペレータ(オペレータだけの責任ではない)が間違って理解していたことを詫びた。 マイページに記載された交換申込日とは、事務局の内部処理(政府内での処理)が完了した日付であるという。このあと、商品発送元にデータが渡り、そこから、2週間で、平均的には初期申請してから45日程度で商品が手もとに届くということである。 従って、もっとも早ければ、その日あるいは、その翌日には、データが商品発送先に送付されるということである。 つまり、このマイページは、政府の内部処理の記録なのである。 利用者の立場で作られていないという基本的なミスであるが、本質的なミスなのである。だれのためのシステムかということが実によく理解(?)されている。 役人が為の机上で設計したシステムなのである。 これこそ、e-Japan戦略が失敗した最大の理由なのである。 ITを使って、国家の生産性を低下させることが得意な政府の仕事である。 そこで、改めて、コメントをすることになる、このマイページの記載内容に丁寧な説明をつけること、申請者が2度も、3度も電話をすることは、国民全体では、何百万人の経済的ロスが発生すること、一人のオペレータ(バックオフィスのスタッフも)が正しく理解していないと、その誤った情報が、そのオペレータが処理した全員に伝搬し、それがまた、2次伝搬するので、余計に経済的ロスが増えることを指摘する。 今回は、最初のオペレータが誤ったお陰で、問題の所在が理解できたので、学習であった。 

 2度目のオペレータ(オペレータでなく、おそらくグリーン家電エコポイント事務局の人であろう)なかなか冷静なので雑談をした。 今回のエコポイントの仕組みについて少し意見交換した。 お詫びの連続で恐縮しながらも、 今回のシステムは、最初から、クレームが満載であったという。 小生が先のコラムで指摘した通りのことが起きたのである。 つまり、消費者の立場に立ってのプロセスと、システムの基本設計がまるでされていない。 現場を知らないでシステムを作るという、 ITシステムでは最もやってはいけない仕事のやり方である。 そして、また、今回のマイページでもクレームが満載だという。 簡単なことを、ITを使ってわざわざ難しくしたケースの典型である。 彼女もそのことを充分に判ったと述べていた。 システムの設計をしたのは、コール・センターの女性ではあるまいが、苦情を一手に引き受けるのは政府の役人でなく、彼女達である。 ここで、およそ、20分の電話となる、有料である。 合計、60分の時間が無駄となった。 同様のことを何万人、何十万人の人、もしかしたら、何百万人の人がやる可能性がある、そのための国民生産性の無駄がどれほど発生しているであろうか。 

 エコポイント製品を最初に購入した時点で購入者にその場で還元できるような設計にしておけば、企業と政府の間の処理で済んでいたのではなかろうか。そして、効果も即効性があった。 机上で作った、仕組みが、いかに、簡単な仕事を複雑にして、経済的ロスを増幅させるかという典型的な事例となった。 とりわけ政府や自治体が関与する手続きは、対象人数が桁違いに多くなり、一人1時間、100円のロスが、国家としてみるとき、膨大な経済的ロスになるのである。 役人には、その感覚が完全に欠落している。 常に手続きに必要とされる手間暇(書類作成時間、投函時間と切手代、パソコン処理時間、電話確認時間と電話代などなど)X利用者総数の合計のコストを、システム設計のときに評価させるべきであろう。 システムを公開する前にはその全てのプロセスを自ら体験してみるという初歩的なところから始めないといつになっても使い物にならない机上の「e-Japan戦略遊び」をやっていることになる。 まだ、手もとに残っているポイントがあるが、さて、同じ苦労をしたものかと悩んでいる、システムがどのように動くかよく分かったから、恐らく、もうやらないであろう。 そんな人が結構多いのではなかろうか。これで経済が活性化するなどあり得ない。全治3年の内閣は一年も持たないで崩壊した、組閣したときから末期癌であることを気づかなかったようである。 自分のことは判らないものである。  彼等に、宅配のシステムを見せてあげたいものである。 リアルタイムで商品がどこにあるかが判るのである。 

 さて、結論であるが、結局、小生が7月1日に申請した、エコポイントは、政府が7月28日に決済したことが判った。そこから、どのようにして、いつ、JCBにわたり、いつ、小生の手もとに商品が届くのか結局は判らない。 45日という枠組みも機能しなかった。 本来の目的である、エコ製品への買い換えを梃子にして、気候温暖化対策と景気浮揚を狙ったエコポイントである。 買い換えの動機付けになったことは事実であるが、国民は、どこか騙されたという気分となるのではなかろうか。 処理の手間暇のコストを考えるとき、本当にエコだったのか疑問が残る仕組みである。 


 「余談」 ― 最期まで「エコ」を理解できていない政府の仕事 

 ネットから申請書を送付した上で、同じ書類と領収書と保証書などのコピーを添付して、事務局(JPの局留めとなっていた)へ送付した。 ところ、一日経過して、料金不足であると戻ってきた。 少し、厚くなることと、郵便局へ足を運ぶコスト(手間と時間)が無駄なので、手もとの90円の切手を貼ったのであるが、このためJPによる往復のコストと、さらにあらたに、90円プラスの切手が必要となり、このために、郵便局に足を運ぶという馬鹿なことが発生した。 こんなことが発生しているのも、小生だけではなかろうと思う。 グリーン・ニューディールは国家戦略である、経産省、環境省、総務省など、全省対応した取り組みが必要であろうと思う。 総務省としても、エコポイント事務局宛(JP局留め)とあれば、郵送料も国家負担という工夫があってもよいのではなかろうか。 見えないコストを、Intangible Cost という、このように、実は、この「見えないコストの発生」が、生産性を低下させる最大の原因なのである。 政府の仕事は、国民にかかる、この、Intangible Cost を完全に無視しているのである。 

 「後日談」 

 8月24日の報道によれば、政府が発行した交換商品のカタログの一部に製品番号の記述が欠落しており、該当商品の交換が出来ないことが判明した。 番号が判らない人は、番号不明のままに、申請書を提出した人もいるとのことで、処理出来ずにいるという。 政府は、あらためて、カタログを再発行するという。 報道ではお詫びは「経産省」と「環境省」が連名となっていた。 ここにも、エコ政策の主体がどの組織にあるのか曖昧な様子がかいま見える。 申請した人への対応も「手戻り」対応をすることになるが、これは全くの無駄なコストとなる。 お粗末を絵に描いて、額縁に入れたような、仕事である。 「エコ」のもっとも大事なことは、すべての仕事において生産性を上げることが基本である。 仕事の生産性とは、仕事の品質を上げることが基本になる。 手戻りを無くすことである。 一体、何百万部の分厚いカタログを印刷したのかは知らないが、無駄となる。 まったく、「エコ」という基本がまるで判っていないのが「エコ」を進める政府ではなかろうか。 「無駄」ばかりを増産しているのが政府の仕事である。 

 小生は、すでに、7月1日の申請書提出から、8週間(51日間)が経過したが、いまだに、小生の手もとには、申告した商品が到着していない。(8月31日現在) 
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新・玄マンダラ

これまで一年半にわたり、「玄マンダラ」をお読みいただき感謝申し上げます。 平成21年7月から、装いを改め、「新・玄マンダラ」として、新しい玄マンダラをお届けすることになりました。 ITの世界に捕らわれず、日々に起きている事件や、問題や、話題の中から、小生なりの「気づき」を、随筆風のコラムにしてお届けします。 執筆の視点は、従来の玄マンダラの発想を継承し、現在及び将来、経営者として、リーダーとして、心がけて欲しい「発見」を綴ってみたいと思います。 引き続き、お付き合いを御願いします。 職場で、あるいは、ご家庭での話題の一つとしてお読みください。

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筆者紹介

伊東 玄(いとう けん)
RITAコンサルティング・代表
1943年、福島県会津若松市生まれ。 1968年、日本ユニバック株式会社入社(現在の日本ユニシス株式会社) 技術部門、開発部門、商品企画部門、マーケティング部門、事業企画部門などを経験し2005年3月定年退社。同年、RITA(利他)コンサルティングを設立、IT関連のコンサルティングや経営層向けの情報発信をしている。 最近では、情報産業振興議員連盟における「日本情報産業国際競争力強化小委員会」の事務局を担当。

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