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職場のメンタルヘルス 第6回 セルフエスティーム
2008年01月30日 16:22

いよいよ今回で"職場のメンタルヘルス"と題するコラムの最終回になりました。今回は、メンタルヘルスを推進する上で役立つセルフエスティームについて紹介します。セルフエスティームという言葉は、まだそれほど多くの方に認知されている言葉ではないと思います。ただし、学校の教育現場ではかなり早いスピードでこの言葉が普及しています。今年、弊社が実施した研修でお会いした先生方も、この言葉を実に多くの方がごく自然に使っていらっしゃいました。学校では、自尊感情と訳されているようです。我々は、セルフエスティームを次のように定義づけています。

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  ここでいう自己概念とは、自分に対するイメージであり、自画像のようなものです。しばしば、自己イメージは勝手に自分が描いているものです。それは、実際の自分と一致していないこともあります。
  健康なセルフエスティームを持てている状態というのは、自分に深く気づいている状態であると我々は考えています。逆に、不健康なセルフエスティームを持っているときには、自分に対する気づきが浅く、あるときには、自分を過大評価したり、または、自分を過小評価したりします。そのために、周囲からの評価や反応を素直に受けとめることができず、防衛的になってしまうことがあります。自分では、そのように思っていないのに、人から指摘されるので、その事実を受けとめることができないのです。そのように見られるには何か自分にも理由があると考えるよりは、一方的に相手が悪い、私を理解しようとしない、または相手は私に批判的だからと受けとめてしまうのです。ですから、いろいろな研修を実施したりして、自分について周囲から指摘されればされるほど防衛的になってしまいます。このような不健康なセルフエスティームを持っているときには、対人関係でも衝突が多く、ストレスを感じることも多いといえます。また、そうした状況に自分が対処できないと感じてしまうと、すぐ感情的になったり、もしくは感情を麻痺させてしまったりします。そのために、生き生きとできず、疲れたような表情になることもあります。ちょっとしたことでも自分の気分を害されたと感じてしまいます。
  一方、健康なセルフエスティームを持てているときには、周囲からの指摘は単なる指摘であり、それによってひどく落ち込んだり、傷ついたりする必要がなく、指摘されたことを消化して、今後に役立てていくことができるようになります。
 このコラムの第2回目にも紹介しましたが、ストレスの受けとめ方は、実はこのセルフエスティームによって大きく影響を受けます。そのため、私どもでは、長期に渡って健康状態を維持していくために、自分のセルフエスティームの状態に気づいておくことが大切だと考えています。常に健康なセルフエスティームを保たなくてはいけないのではなく、自分のセルフエスティームの常態に気づいておくことが大切です。本当は、健康なセルフエスティームが保てていればいいのでしょうが、現実にはセルフエスティームが低くなることもあります。たとえば、担当しているプロジェクトで大きな損を出してしまうとか、幾つも重なる業務に対して自分の能力の限界を感じるとか、上司に叱責されたなど。何がキッカケになるかは分かりませんが、常に高い状態でいるということは難しいでしょう。それでも、自分の状態に気づいていれば、また体制を立て直すことができるものです。それが柔軟な行動につながるのです。私たちの研修でも、メンバーの中には何を言われても批判と受けとめる人がいたりします。また、今の仕事を負担と感じていたり、今のリーダーというポジションが自分の器ではない(重い)と感じていたりする人もいます。しかし、その背景にはセルフエスティームが関係していることが分かります。自分が自分自身をどのように受けとめているかが影響しているのです。このことに気づかずに、単に役割を変えたり、一方だけを責めても意味がないことは明確です。

◆ セルフエスティームの高い特徴例 

  • 自信をもって課題に取り組む。
  • 新しい仕事にも挑戦的になる。
  • 周囲や他者に対する気配りが自然と出る。
  • 部下や後輩に暖かくかかわる。
  • 状況に応じて統制的リーダーシップをとったり、任せたりする。
  • 他者からの指摘や失敗を素直に受けとめる。

◆ セルフエスティームの低い特徴例 

  • 新しい課題を負担に感じる。
  • 対人関係で冷たい印象を与える。
  • 意思決定を避ける。(他者任せ)
  • 気分の悪さを環境や他部門、他者のせいにする。
  • 失敗を自分のこととしてとらえない。
  • 口癖「どうせ...」「別に...」「まぁいいや」。

 職場の多くの人のセルフエスティームが低くなっているときには、無意識のうちに防衛のためにエネルギーが使われてしまいます。組織内には、嘘、ごまかし、いじめ、無視、辱め、人として扱わない、揚げ足取り、足の引っ張り合いといった防衛のためのエネルギーの浪費(これを私たちは防衛コストRと呼んでいます)が発生し、後ろ向きなことに時間と労力(特に心理的エネルギー)が使われてしまいます。これらのコストを減らすことができれば、間違いなく、組織はもっと生産的になります。 
 セルフエスティームについて、私たちに紹介してくれた学者であり、コンサルタントのウィル・シュッツは、しばしばこのように言っていました。"自分の弱さを話しても平気でいられるくらい強いセルフエスティームを持ってもらいたい。" 人間ですから、完璧な人はいないと思います。弱い点、足りない点を誰もが持っています。しかし、それらを隠そうとするのでなく、自分はこういう点で、いま少し自信が持てないでいるので力を貸してもらいたいと正直に伝え合うことができれば、もっと組織は生産的で創造的で、一人ひとりが生き生きと楽しく働くことができるのです。

運用研究レポート
職場のメンタルヘルス

各企業におけるメンタルヘルスの取り組みはここ数年かなり熱心になっているように思います。その背景には、うつなどの心の病気で仕事を離れる、もしくは会社を去って行くといった従業員の数が増加しているからでしょう。多くの企業でメンタルヘルスに対する取り組みが熱心になっている一方で、依然として心の病気にかかる従業員の数が減らないという状態が続いています。その理由としてはいろいろなことが絡んでいると考えられますが、今月からの連載では、メンタルヘルスの現状と課題、その対策について紹介いたします。

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筆者紹介

伊藤 弘子(いとう ひろこ)

1986年株式会社ビジネスコンサルタント入社。営業職を経て、コンサルタント部門へ移籍。メンタルヘルストレーニング、セルフエスティーム向上トレーニング、モチベーションの高いチーム・部下を支援するマネジャー研修に力を注いでいる。

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