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ITシステム運用が貢献する地球温暖化問題 第7回 設備環境管理の構成とポイント・管理方法
2010年06月09日 16:26

前回は事例を交えながら設備環境管理の構成とポイントを紹介しました。最終回となる今回は設備環境管理方法について説明します。

■□ 運用しやすい設備環境管理実践 □■

 設備環境管理を行う上で大前提となるのは「運用しやすい」ということです。「運用しやすさ」を測る基準となるのは以下の項目です。

    • わかりやすい
    • こわれにくい
    • 手間が少ない
    • 安全である
    • 正確である
      (機能、情報等)
    • 中立である
      (設備面からだけではなく運用面から設備環境管理を考えられること。例えば新規設備を売らなくとも、現有設備をどう運用管理していくか、という視点を持っているかなど。)
    • IT運用との親和性が高い
      (重要なのは設備ではなくあくまでシステム運用であり、設備を導入しても障害が発生するなどは問題外。)
    • バックサポートが充実している
 この他にも「極力安価である」「必要要件を満たしている」「意義や妥当性について社内外に説明説得できる」「維持保守計画が明確である」などが挙げられます。

 実践するには、他の運用管理と同様、設備環境管理も次の要領で進めます。なお、各分析は表(マトリクス)にします。(相関関係を表記するとわかりやすくなります。)

    • 方針策定(すでにある場合は確認)
    • 手順作成(以下プロセスをどう進めるか、5W2Hで)
    • 現状分析(容量=キャパシティと使用状況の両面から)
    • 方針と現状のズレ解析
    • 改善目標設定(理想型、5W2Hで)
    • 制約分析(費用、時間、労力、場所、他運用との関係等)
    • 現実的改善目標設定(他運用とのバランスや連関も含め、5W2Hで)
    • 効果分析(理想型現実的とも、定性定量)
    • 目標達成しなかった場合のリスク分析(定性定量)
    • 改善計画作成(維持保守も含め、5W2Hで)
    • プレゼン、関係者への説明
    • 実行
    • 効果分析、評価
    • 維持保守、改善
 まずは設備環境管理に関する運用方針を明確にすることが先決です。そして全体運用とのズレが無いように整合を取ります。例えば、設備というと電源空調ばかり取り上げられますが、電源空調だけを設計管理することは大変です。それ以外にもたくさんある管理項目を、バランスを意識しながら進めなくてはチグハグになってしまいます。せっかくの設備も正しく使われていなければ性能機能を発揮できません。個々の性能が良い設備でも、組み合わせ(相性)によって性能が落ちることもあります。サーバー類と同様、設備も仕様書に書かれていない仕様はたくさんあるのです。その隠れた仕様の中には、IT運用上重要なことが含まれることもあります。運用方法を検討せず機器の性能機能だけで選定すると、運用を開始してから問題が発覚する恐れがあります。自社の運用に最適な設備と運用方法は何なのか、正しく選択する(見抜く)ことが重要なのです。

■□ 自社にとって最適な設備環境管理を知る □■

 本連載でも何度も警告した通り、設備はITと距離のある専門分野です。しかしその設備を利用管理しないとITは成り立たちません。グリーンITを推進するにしても、設備やサーバー稼働環境に起因する事故障害を予防減少させるにしても、設備専門部署に一任するだけでは危険です。しかし、真にIT運用側の状況を理解してサポートするサービスは少ないのです。 
 設備工事会社は基本的に「頼んだこと」しかしないので、顧客側で要件定義基本設計しなければなりません。設備工事会社は「設備を売る、作る」ことが仕事であり、「顧客を運用支援する」「顧客の業務を円滑化する」ことを目標としていません。システム運用とは関係なく過大な余裕を見積もったり、追加改修が必要になるような仕様を出したりもします。取引の関係などで、それぞれの顧客に対しベストマッチの機器やシステムを提案してくれるとは限らないのです。また、設備工事会社は自社が入れた機器はサポートをしてくれますが、既設設備や他社導入設備は関知しません。これは、自社設置設備の瑕疵を担保しているのであって、設備運用自体を支援していないためです。そのため最悪の場合は工事により運用障害を起こすこともあります。業者任せにせず、設備の知識を持ち、システム運用面から設備環境管理を診断できる専門家のサポートを上手に利用し、運用側でしっかりチェックしましょう。 
 設備と運用を切り離して考えがちですが、運用プロセスの一環として実施計画を立て改善活動を行うことが重要です。下図はITSMツールとの連携により設備環境を管理しています。例えばサーバルームに取り付けた温度計の異常を検知するとITSMツールに登録され、アラートがあがります。アラートを運用担当者だけでなく、外部の専門家へ飛ばして対策支援を依頼しても良いでしょう。このようなツールによって、設備を24時間監視し、障害発生時には過去の障害と照らし合わせ、素早く対応することが可能となります。運用担当者のツールへ入力する手間も省けますし、データを分析し改善活動に役立てることもできます。
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本連載は今回を持って終了となりますが、ただでさえ忙しい運用担当者にとって、設備は専門外でわからない、その上、管理に口を出すなんて余計な仕事を増やすだけだと考える方もいるかもしれません。しかし、本連載で紹介してきた設備環境管理によるグリーンITの推進策は、障害を削減し、コストの最適化を図る上でも非常に効果的です。さらに、社会貢献にも繋がるという複数のメリットがあります。これまでお伝えしてきたことが、システム運用に携わる方々の「プロアクティブな運用改善」に繋がれば幸いです。


株式会社ビーエスピーソリューションズ
「IT部門の環境管理」検討グループ
笠井 麻衣
運用研究レポート
ITシステム運用が貢献する地球温暖化問題

現代は、環境革命の時代である。
20世紀は、産業革命後の地球環境資源利用の加速やその後の情報革命による情報通信技術の飛躍的な発展等で人類の生活は先進国を中心に成長をとげた。しかし、その反面、地球環境は加速度的に悪化し、地球温暖化は深刻な事態を招く状況となった。2008年の洞爺湖サミットの開催や2009年の鳩山首相の国連での演説、デンマークでCOP15の開催等があり、既存媒体のニュースやインターネット配信等でこの問題は報道され、世界が注目する状況にある。
地球上の大気や海洋の温度は上昇を続け、地球温暖化による水面の上昇、異常気象が観測され、人類や生態系そのものにとって大きな脅威となっている。現在、温暖化が将来の人類や環境へ与える悪影響を考慮して、国際的にさまざまな対策が立てられている。
ITの世界でも大きな課題として注目され、「グリーンIT」というキーワードでくくられるようになった。しかし、「グリーンIT」は実施の範囲はひろくポイントがつかみにくいのが実態である。 本連載では、IT部門の視点で「環境問題」を考えると題し、
 ① 環境問題の背景
 ② 環境問題とグリーンIT概要
 ③ グリーンITの取り組み事例
 ④ IT部門としての環境問題解決の重要ポイント
 ⑤ 設備環境管理の推進
を順次掲載する。
掲載にあたっては、ビーエスピーソリューションズ内に「IT部門の環境管理」検討グループを立ちあげ、このグループメンバを中心に情報収集と資料作成にあたった。

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筆者紹介

株式会社ビーエスピーソリューションズ

「IT部門の環境管理」検討グループ 荷軽部 学

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